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週刊インドトピックス

Vol.0009 新型コロナウイルスの被害大のOYOグループ、今後巻き返しはあるのだろうか?

インドのOYOがコロナ禍のスタッフにストックオプションの権利付与

コロナ禍で休職中の職員向けにストックオプションの権利を付与

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2020年6月1日付報道によると、ホテル・不動産賃貸事業を手掛けるOYO(オヨ)は、新型コロナウイルスの影響で休職中の職員に向けて、総額13億ルピー(約18.5億円)相当のストックオプション(ESOPs:Employee Stock Ownership Plans)の権利を付与すると発表したようです。

OYOの創設者であり、OYOグループのCEOであるRitesh Agarwal氏は4月8日に世界各地で一定数の従業員を休職、または一時的に解雇扱いすると述べていました。同社は従前よりストックオプションの権利付与条件として勤続1年間を規定していましたが、過去1年間に採用した社員に対しては本条件を無効にすることを発表しました。これによって、勤続期間に関わらず、退職するすべての社員がOYOの株主になることができます。Agarwal氏はこれに加えて、新型コロナウイルスの影響を受けていない社員に対しても自社株を付与することを宣言しました。

同社は今回のような試みを実施するのは2013年に創業して以来、初めてのようで、新型コロナウイルスの蔓延によって厳しい経営環境がつづく中、いかに従業員の不安を減らすか、退職する人たちの不満を抑えることができるかを熟思したうえでの決断のようです。現在休職中の社員に対して転職活動支援も積極的に行っているようで、先行きが不透明な現在の状況下でただ解雇するのではなく、しっかりとサポートしつつ人員削減を進めているのは賢明な判断だと思います。

苦戦を強いられるホテル事業の今後は

OYOは2019年3月にヤフーとの合弁で『OYO LIFE』による日本での賃貸住宅事業を開始し、その翌月2019年4月にソフトバンク・ビジョン・ファンドと合弁でホテル事業『OYO Hotels』を開始しています。『OYO LIFE』は現在ヤフーとの合弁を解消しており、『OYO Hotels』はその当時2020年3月までに日本国内で100万室供給することを視野に入れていたようですが、今年2月中旬時点でOYOが扱うアパートは7500室と、目標の1%以下にとどまっており苦戦を強いられています。

ソフトバンクグループの社長、孫正義氏はOYOに約15億ドルを出資、さらにはAgarwal氏の持ち株を増やすために20億ドルを借りられるように銀行に対し孫氏個人がローンを組むなど、現在26歳のAgarwal氏に対し思い入れがあるようですが、今後しばらくは続くであろう観光産業の停滞に対し、何を考え、どう動いていくのでしょうか?

Sourse:OYOグループ、休職中の社員に向けてストックオプションの権利付与を発表

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