India Weekly Topics

週刊インドトピックス

Vol.0014 メッセージングアプリのユニコーン企業Hikeは競合他社との差別化に成功するだろうか?

インドメッセージアプリ業Hikeが目指すWhatsAppとの差別化

激化するインドのメッセージングアプリ市場の競争

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2020年6月17 日付報道によると、デリー拠点の人工知能を利用したメッセージングアプリを展開しているHike(ハイク)は元々計画していたマネタイズ化を数か月以内に進めていくことを発表しました。

Hikeは2012年12月にローンチされ、4年以内に評価額が10億ドルに達し、インド国内で最も速くユニコーン企業となったスタートアップ企業です。新型コロナウイルスの影響で給与削減や人員削減せざるを得ない企業が多い中、Hikeは企業拡大のために現在も社員の採用を進めています。

CEOのKavin Bhari Mittal氏は「景気悪化で人々の消費意欲が落ちており、7月から9月の第2四半期は厳しくなるだろう。しかし弊社は使用料が5ルピー(約7円)からスタートする低額課金を考えており、消費者にとって大きな障害とはならないだろう」と述べています。

今年1月にインド国内のHikeユーザー数は約5億人に達しており、週間アクティブユーザーは200万人いるようです。一方で、全世界に20億人のユーザーを抱え、シェア数世界一を誇るFacebook傘下のメッセージアプリであるWhatsApp(ワッツアップ)もインド国内に4億人以上のユーザーを抱えており、最も大きな市場であるインド国内の競争は激化しています。

HikeとWhatsAppの競争の歴史

Hikeは2017年に世界で初めてモバイル決済機能を導入したメッセージングアプリとして話題となりました。WhatsAppも今年モバイル決済「WhatsApp Pay(ワッツアップ・ペイ)」を導入することが発表され、6月16日にブラジルでの導入が決まりましたが、インドでは2020年6月現在でまだ導入されていません。また2014年時点でHikeで一度に送ることのできるファイル容量は100MBと、当時のWhatsAppの16MBに比べると約6倍のサイズまで送ることができたため、動画のシェアなどを多くする若者層から指示を得ていましたが、現在はWhatsAppも128MBまで制限を拡大しています。

両社ともアップデートを重ね機能が向上し、お互い引けを取りませんが、若年層ユーザーが最も気にする両社のサービス違いはスタンプ数にあると思います。Hikeはローンチ当初からスタンプでのコミュニケーションに力を入れており、豊富なラインナップが取り揃えられていましたが、WhatsAppがスタンプ機能を導入したのは2018年10月でした。実際私もインド人とのコミュニケーションはWhatsAppでとっていますが、スタンプを使っている人はほとんどいません。日本ではLINEが主流ですが、LINEスタンプが豊富なためスタンプのみの会話や、スタンプで会話を終わらすといった使い方をしている人も多いのではないでしょうか?

現在Hikeは人工知能(AI:Artificial Intelligence)や機械学習(ML:Machine Learning)、自然言語処理(NLP:Natural Language Processing)を活用した新しい付加価値の創出に力を入れており、今後競合他社とどのようにして差別化を図っていくのか期待がされます。

Souce:メッセージングアプリのHike、マネタイズ化に強気の姿勢

関連記事:Vol.0015 インド人従業員を増員するIBM、他の外資系企業にとってもインドはまだ魅力的な市場だろうか?