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Vol.0036 増え続けるインドのSNS人口。注目のインフルエンサー育成スタートアップ『NOFILTR』の戦略とは?

増え続けるインドのSNS人口。注目のインフルエンサー育成事業とは

注目が集まるインフルエンサー育成スタートアップ

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2020年9月18日付けの報道によると、主にインフルエンサーの育成事業を行うムンバイ拠点のスタートアップ『NOFILTR(ノフィルター)』が注目を集めているようです。

同社は2017年にSumedh Chaphekar氏によって設立され、これまでにMrunu、Ashi Khanna、Manav Chhabra、Awez Darbar、Nagma Mirajkarなど若者の間で著名な約40名のインフルエンサーを育成し、Amazon、インド大手ECサイトのFlipkert(フリップカート)、マッチングアプリのBumble(バンブル)、携帯キャリアのOnePlus(ワンプラス)などのクライアントにも繋げてきました。

クリエイターへの多岐にわたるサポートで競合他社と差別化

インフルエンサーとブランドを繋ぐスタートアップは他にもPulpkey(パルプキー)、Winkl(ウィンクル)、StarNgage(スターエンゲイジ)などがありますが、『クリエイターとブランドの橋渡しをするだけでなく、ブランディング、戦略立案、プロデュースなど様々な面でコンテンツクリエイターをサポートしている』ことで他社と差別化しているとSumedh氏は述べています。

実際に個性を理解し、その個性を伸ばすパーソナルブランディングやクリエイティブなコンテンツ作成を支援、また広告代理店と提携することでブランドが求めている条件を正確に理解し、その条件に合ったインフルエンサーとマッチングさせることで両社にとって最高の経験を提供することに成功しています。

専属のインフルエンサーが契約期間中にブランドとコラボレーションをした場合、その30%をNOFILTRが手数料として受け取ることで収益を得ています。Sumedh氏によると、『2019-2020年の最終四半期のコラボレーション数は前年比の2倍』になったとのことです。

さらなる拡大が想定されるSNSと変わりゆくマーケティング戦略

Statista(スタティスタ)のレポートによると、世界のインフルエンサーマーケティング市場は2018年に1億3700万ドル(約143億4300万円)と評価されました。2020年には1億6,200万ドル(約170億円)までさらに成長し、2027年には3億7,000万ドル(約387億4000万円)を突破するとされています。

また、インド人のアプリダウンロード数は2019年に190億ダウンロードと世界1位になっており、ソーシャルメディア使用時間の平均も週17時間と、米国、中国よりも長いという調査結果があります。

インドのSNS人口は今後増え続けると推測されており、2021年には約4億5000万人に達するだろうと言われています。SNSの発展に伴いマーケティング戦略も変容しており、以前主流だったペイドメディア(※1)からここ5年ほどの期間にアーンドメディア(※2)が重要視されるようになりました。

実際に私たちも商品の購入やレストランなどを選ぶ際に、広告よりもSNS上の口コミを基に意思決定していることが多いのではないでしょうか?こういったマーケティングの変容とインドのSNS人口の多さ、今後も増え続けると予測されているインドのSNS人口を考えるとNOFILTRへの期待が高まるばかりです。

※1 ペイドメディア(Paid Media):主に4マス広告と呼ばれる媒体に料金を支払って広告を掲載するメディアのこと。

※2 アーンドメディア(Earned Media):消費者やユーザーが情報の起点となる、ブログやSNSなどのメディアのこと。

Source:
インフルエンサー育成のスタートアップ『NOFILTR』に期待集まる
インドのSNSトレンド統計と推測

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