Vol.0031 関心が高まる物流テック産業。サプライチェーンの最適化を目指すFarEyeのサービスとは
物流テックスタートアップ「FarEye」が5100万ドルを調達
インドの大手スタートアップメディアであるInc42社の2020年8 月21日付けの報道によると、ニューデリーを拠点とし、現在シリーズDの物流テックスタートアップである『FarEye(ファーアイ)』は1300万ドル(約13.8億円)の追加調達に成功し、合計調達額が5100万ドル(約54億円)に到達したようです。同社はDHL、Amway、Walmartなどを含む150以上の企業にサービスを提供しており、現段階で20ヵ国以上の国々でサービスを展開しています。
機械学習によるラストワンマイル物流の高品質化
FarEyeは企業とエンドユーザー間のラストワンマイル(※1)の物流サービスにおいて、機械学習を用いることで正確性、効率面、コスト面においてより質の高いサービスを提供することで絶大な人気を得ています。
具体的にはリアルタイムで配送状況を確認することのできるサービスで顧客に安心感を与え、同社のカスタマイズ可能なSaaS(Software as a Service)によって3PL(※2)通信事業者のオペレーションをデジタル化し、外部システムと統合、可視化することで配送ルートの最適化、走行距離の削減による二酸化炭素排出量、燃料コストの削減を実現可能にしているとのことです。
またこれまで物流企業にとって課題であった非効率性による配送の遅延を最低限に抑えることができ、この点においても高い顧客満足度を得ているようです。オペレーションの改善、効率化によって配送量の増加が見込め、コスト削減と配送量の増加の両方から収益拡大が期待できます。
その他物流テックスタートアップにも注目集まる
今日、物流はEdtech(エドテック)、Enterprisetech(エンタープライズテック)、Healthtech(ヘルステック)、Fintech(フィンテック)と並んで、最も高い収益を生み出すセクターの一つとして認識されています。
インド財務省によると、物流市場の市場価値は1600億ドル(約17兆円)以上で、2020年の市場価値は2150億ドル(約22兆8,000億円)に達すると予測されています。また、新型コロナウイルスの蔓延によって浮き彫りになった物流とサプライチェーンの問題を解決するための最先端テクノロジーを採用しているB2B物流テックスタートアップが投資家の関心を集めているようです。
FarEyeの競合として注目を得ているスタートアップにはLetsTransport(レッツ・トランスポート)、Fr8(エフアールエイト)、Shadowfax(シャドウファックス)、BlackBuck(ブラックバック)、Delhivery(デリーベリー)、Freightwalla(フレイトワラ)などがあります。
新型コロナウイルスにより求められる物流の進歩
新型コロナウイルスの影響で配送に遅れが出たりと商品を受け取る側としてストレスを感じている人は多いのではないでしょうか?運送会社側もロックダウンなど政府による急な発表によりオペレーションの変更、配達地域の制限の問題など、これまで気にすることのなかった事象に対応する必要が出てきました。
このようなことを背景に物流産業ではこれまで以上に企業間、また企業と顧客間のクリアなコミュニケーションが必要とされてきているように思います。FarEyeのサービスはより透明性が高く、シームレスで、既存のサプライチェーンの課題を解決し、企業とエンドユーザーの両者にとって安心感と満足感を与えてくれているように思います。
※1 ラストワンマイル:最終拠点からエンドユーザーへの物流サービスのこと。顧客へ商品を届ける最後の区間。
※2 3PL(サードパーティー・ロジスティクス):企業が抱える業務のうち、物流部門を第三者企業に委託する業務形態。
Source:物流テックのFarEyeが1300万ドルの追加調達に成功
FarEyeホームページ:https://inc42.com/buzz/fareye-raises-additional-13-mn-in-series-d-round-led-by-fundamentum/
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