Vol.0048 Flipkart、AR企業買収でショッピングに新体験を
インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2020年11 月17日付けの報道によると、Flipkart Group(フリップカートグループ)は、YourStoryが2018年のTech30スタートアップ(※1)に選出したバンガロールを拠点とするAR(Augmented Reality:拡張現実)スタートアップの『Scapic(スキャピック)』を買収したようです。
Flipkartは、Scapicの持つVR(Virtual Reality:仮想現実)やAR体験を作成・構築できる独自のSaaS型クラウドプラットフォームを利用して没入型のショッピング体験機能の強化を目指し、消費者にオンラインショッピングをよりシームレスで楽しいものにするための体験を提供することに注力していくようです。
Flipkart GroupのCEOであるKalyan Krishnamurthy氏は『今年は教育であれ、コミュニケーションであれ、ショッピングであれ、人々が健康と安全を優先する中で、オンラインの普及が加速した。私たちは、小売エコシステムの開発と育成に重点を置いた投資を行う一方で、コンテンツや体験面で消費者にとってより使いやすく、より豊かなプラットフォームを実現することにも力を注いでいる。』と述べています。また、Scapicの共同創業者であるVK Sai Krishna氏とAjay PV氏は『今日、これまで以上にオンラインでの購入頻度が増え、特に今年はその傾向が強まった1年である。顧客はこれまで以上に優れたビジュアル体験を必要としている。弊社は、ARと3Dを使って製品に命を吹き込むビジュアル技術を構築しており、日々進化することで顧客のニーズに対応している』と発言していました。
2019年のインドEコマースのシェアトップはFlipkartでしたが、今年に入ってAmazonがインド投資に力を入れ始めたことなどによって今年はFlipkartとAmazonの首位争いが白熱しています。個人的にはAmazonの方が品揃えが豊富なこと、また、先月インド鉄道と提携したことでAmazonのプラットフォーム上で航空券やバスのみならず、インド鉄道のチケットがワンストップで購入できるようになったことなどからAmazonの利用頻度の方が高いですが、カスタマーサービスや返品対応などはFlipkartの方が優れているようです。今回のFlipkartによるScapicの買収がこのインドEコマースのシェア争いにどのような影響をもたらすのか注目です。
※1 Tech30スタートアップ:YourStory社が選出するその年の優良スタートアップ30社のこと