Vol.0082 小売テックShoopy、中小企業向けにテクノロジーソリューションを提供
小売テックのShoopyがシードラウンドの資金調達成功
インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2021年3月6日付けの報道で、デリーNCR(※1)に拠点を置くインドの中小企業向けの小売テックスタートアップ『Shoopy』を取り上げています。IIT Roorkeeの卒業生であるAmit Kumar氏とIndar Kriplani氏によって2020年1月に設立されたShoopyは先日、米国に拠点とするCampanile Investments LLCとデリー拠点の投資会社Redcliffe Capitalから25万ドル(約2710万円)のシード資金を調達しました。
Shoopyが提供するサービスとは
同プラットフォームは、中小企業向けにデジタル化と収益の増加、成長を支援するためのサービスを提供しています。具体的には請求書、見積書、在庫管理、アカウント管理などのソリューションを提供しており、WhatsApp、Facebook、モバイルカメラなどのデジタルツールを活用して中小企業を支援することを目指しています。Shoopyのアプリを利用することで、携帯ひとつで簡単に請求書や見積書を希望言語で作成することができ、それをWhatsAppなどの使い慣れたSNSを通じてベンダーや消費者に共有することが可能となります。また新商品発売の際も、商品の写真を撮り、商品名、販売価格、消費税やその他の情報を提供するだけで、同アプリ上で販売が可能となり、これまでのような複雑な書類の処理にかかる労力と時間を短縮することができます。さらに広報も同アプリ上で対応可能となっており、簡単にWhatsAppやFacebook上で商品情報をシェアすることができます。
このようにShoopyはインド全土の小規模小売業者に「技術的優位性」を提供し、インドのオンライン eコマース大手との競争を助け、多様な中小企業のデジタルトランスフォーメーションの道のりを簡素化することを使命としています。Kumar氏は『インドの中小企業部門はほとんどが未組織化されており、これまでのところテクノロジーの恩恵を受けていない。私たちは、最高で使いやすく、手頃な価格のテクノロジーソリューションがインドのすべての中小企業に利用可能であることを保証することによって、現状を変えるために常に努力している。』と述べています。
現状と今後の道のり
Shoopyは現時点ですでに4万を超える小売業者と中小企業をかかえており、忠実な顧客基盤を開発しています。また、アプリを利用している小売業者は毎月4000万ルピー(約6000万円)以上のビジネスを行っているようです。
同社は調達した資金を使って、既存製品の最適化を加速させ、より多くの顧客にリーチするためのプラットフォームと事業活動を拡大していくようです。また、将来的に新製品開発も計画しているとのことです。
小売業者や中小企業にとって最先端のテクノロジーを導入することは、コスト的にも、テクノロジーに対応できる人材を育成する面においても厳しいという現実があります。また、マーケティングや、金銭管理を外注するとさらにコストがかかるため、従来のアナログで非効率なビジネスモデルを採用し続けている企業は多くあります。そのような企業にとってShoopyのような1プラットフォーム上で、在庫管理から、請求書や見積書の管理・作成、さらには広報までを簡単にかつ手ごろな価格で対策できるサービスはかなり魅力的だと思います。サービスや商品がよくても、テクノロジーの発展についていけず、競争力を失ってきている小売業者や中小企業がShoopyのようなスタートアップと出会い、その結果、産業全体が盛り上がってくれることを期待しています。
※1 デリーNCR:デリー首都圏。National Capital Regionの略。
Source:小売テックのShoopyが25万ドルの資金調達に成功
Shoopy web site: https://www.shoopy.in/