Vol.0140 食の未来形―Ghost Kitchensが切り開く、インドにおけるクラウドキッチン革命
クラウドキッチン運営のGhost Kitchensが、グジャラート州に拠点を置くベンチャーキャピタル、Gujarat Venture Finance Limited (GVFL) をリード投資家とする資金調達にて500万ドルを調達したと報じられています。この資金は、著名シェフVicky Ratnani氏によるクラウドキッチンSpeakBurgersや、昨年2月に買収したレストランチェーンのStarboy Pizza and Shakesを含む既存ブランドのインド国内の店舗網拡大およびプレゼンスの向上に使用されます。また、今後数ヶ月内に3つの有名人主導のブランドを導入する計画もあります。同社は、2019年の設立以来、ムンバイとアーメダバードを中心に15以上の自社運営クラウドキッチンと、40都市にわたる1200以上のインターネットレストランを運営しています。2022年2月には、レストランが地元発の食品・飲料向けテクノロジー企業「WTF」という技術会社を株式交換により買収しました。また、同社が独自開発したソフトウェアを利用して、レストラン運営における様々なプロセス(注文管理、在庫管理、顧客管理、財務管理など)をデジタルで一元的に管理することが可能となりました。現在、同社は次の2年間で約2億ルピーの年間収益を目指しています。
Ghost Kitchensの取り組みは、有名シェフの社会的影響力や人気を利用したインフルエンサーマーケティングによって、飲食ブランドの認知度を高め、顧客基盤を拡大することです。これにより、消費者の注目を集め、ブランドへの興味や関与を促すことが期待されます。今後12-15ヶ月での黒字化の達成が見込まれています。特に、SpeakBurgersは、オフライン店舗を25まで増やす見込みです。
GVFLのKamal Bansalマネージングディレクターは、Ghost Kitchensの実行能力と、ブランドのリピーター顧客および内製技術によるアグリゲーターアルゴリズム(ユーザーの好みやニーズに合わせた最も関連性が高い情報やサービスを提供する手法)の最適化に注目してパートナーシップを結んだことを明かしています。
Source:Ghost Kitchensが描く、有名人ブランドとテクノロジーの融合
インドでのクラウドキッチンの増加により、新規レストランの参入コストが下がることで、フードデリバリーサービスが特に充実している都市部での生活において、多様な食事を楽しむことが可能になるのではないかと期待しています。
また、アグリゲーターサービスの最適化によってパーソナライズ化された推薦が、食の選択肢の数と比例して、個人の食事の多様化につながるのか、反対にSNSで顕著にみられるフィルターバブルのように好みが固定化されていくのかが興味深いです。
(文責:大森太郎)