Vol.0143 SoftBankがフィンテック巨人Paytm株を減少
SoftBank Groupが、フィンテック企業Paytmの株式を2.2%売却し、保有株式を減少させたと報じられています。この動きは、2021年にPaytmが公開されて以来、SoftBankが同社の株式を継続的に売却している中での最新の行動です。経済紙The Economic Timesによると、孫正義氏率いるSoftBankは1月に、Paytmの親会社であるOne 97 Communicationsの株式を1300万株以上売却しました。この売却により、SoftBankの関連会社SVF India Holdings (Cayman)を通じての同社への持株比率は、以前の5.01%から現在の2.83%に減少させました。SoftBankは、2021年のPaytmのIPO: Initial Public Offering(新規公開株)前には18.5%の株式を保有していました。
特筆すべきは、SoftBankのこの動きは、RBI:Reserve Bank of India(インド準備銀行)がVijay Shekhar Sharma氏率いるPaytmに対して厳格な指示を出す前に行われたことです。Paytmの株価は、2021年に上場されて以来下降傾向にあり、RBIの指示を受けてさらに株価が下落し、木曜日の時点では405ルピーで取引が終了し、0.23%下落しました。最近、One 97 Communicationsは他の投資家であるWarren Buffet率いるBerkshire Hathawayや中国のAlibaba Groupによる完全な撤退を見ました。また、Alibabaの子会社であるAnt Financialも同社の持株を減少させています。
Source:ペイティーエムの投資家離れが進む
SoftBankがPaytmの株式を売却することは、とても先見の明がある行動であったと思います。またこれにより、日本の投資銀行がインドのフィンテック企業に対して今まで持っていた楽観的な見方が変化せるかもしれません。特に、Paytmが直面しているRBIからの規制上の課題や株価の下落は、同社にとっては大きな課題であり、投資家にとっては懸念材料になっているように感じます。SoftBankのような大手投資家の動きは、フィンテック業界の将来性や安全性を考える上での重要な指標となると思います。
(文責;大森太郎)