Vol.0163 未来への一歩: Boson WhiteWaterが切り拓く、飲料水革命
インドのシリコンバレーとして知られるベンガルールは、500年の歴史なかでかつてないほど深刻な水不足に苦しんでいます。しかし、この危機の中、ベンガルールを拠点とするBoson WhiteWaterという企業が革新的な解決策を提供し、注目を集めています。
同社は、廃水を飲用水に変える11段階の精密な濾過プロセスを開発しました。この技術は、ビル・ゲイツ氏が以前に行った、下水から作った水を飲むという試みに触発されたものです。
彼らの取り組みによって、毎日、80万リットル以上の下水が清潔で安全な飲用水に変換されています。この技術は、水不足に悩む都市にとって救命線となる可能性があります。
Boson WhiteWaterの最大の課題は、技術的な面だけではなく、人々の認識に対するものです。廃水を利用した飲用には、科学的根拠は明確であり、水の安全性は証明されていますが、”気持ち悪さ“という心理的障壁が強く存在します。同社は一般市民への教育と啓発キャンペーンを通じてこれを乗り越えようとしています。インド最大の証券会社ZerodhaのCEO、Nikhil Kamath氏もBoson WhiteWaterを支持しており、そのイノベーションと環境問題に対する実践的な解決策の必要性を強調しています。
Boson WhiteWaterの取り組みは、ベンガルールのみならず、世界中の多くの都市にとって希望の光となる可能性があります。水不足は全世界的な問題であり、慢性な水源の枯渇や脱塩プラント(塩分を含む水源から飲用水を生成する技術)のコストとエネルギー消費の問題に直面しています。現代において、既存の資源を活用した持続可能でコスト効率の高い解決策を提供することの重要性が高まっています
Source:ベンガルールの水不足問題への一手
筆者が生活するベンガルールは、現在深刻な水不足に直面しており、特に郊外では大きな問題となっています。
記事にあるように、Boson WhiteWaterのような取り組みは、それが画期的なアイディアであろうとも、どれだけ社会が心理的にそれを受け入れるかが重要となります。
インドは、伝統や文化をとても大切にする一方で、環境意識が高まりつつある側面もあり、この取り組みが許容され、水不足問題に対する大きな解決策となることを期待したいです。
(文責:大森太郎)