【基礎から学べる!】インドへの進出方法について解説
インドへの進出方法について解説
今回は”基礎から学べるインドへの進出方法”というテーマで話していきます。
あなたがもしインド進出プロジェクトの責任者になった場合、どのような論点を、どのような順番で検討しますか?
自社に合った最適なインド進出方法やその具体的なステップがわからないと、後で取り返しのつかない選択をしてしまったり、想定していた以上に時間やコストがかかってしまうなんてことも起こりかねないと思います。
今回の動画を見ていただくことで あなたの会社にとって最適なインド進出の検討方法と、その具体的な方法論を正しく理解できるようになります。 私は2014年に創業以降、200社以上の日本企業のインド進出を支援してきました。その経験も踏まえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
このチャンネルでは、インドをはじめとした海外進出を目指す企業様の後押しになるようなノウハウを発信しています。今回お話しする内容はインドへの進出を検討している方にとってとても重要な内容となりますので、インドビジネスの特徴や注意点、最後には新しいインド進出の方法論についても解説していきます。
インドビジネスの特徴
まずは、インドビジネスの特徴について解説します。 キーワードは多様性・スタートアップ・社会課題の3つです。
多様性:
インドはいろんな宗教・22の指定言語、そして所得格差・教育格差があって、地域によっても文化的価値観が大きく異なります。インドという国も、インド人も、ひとくくりには語れない難しさがあります。誰でもインド人に対して何らかのイメージを持ってると思うんですけど、例えば毎日ナンを食べてるとか、10人中2〜3人はターバン巻いてるとか、みんなよくしゃべるとか、時間をまもらないとか、たしかにそういう人もいるんですけど、そうじゃない人や地域もむちゃくちゃ多いわけですね。
なので、あなたが知っているインドを常に疑いつづけるマインドがとても重要になってきます。実際、私が2012年に初めてインドに住み始めたときは、私が日本にいたときに漠然と持っていたインド人に対するイメージを良い意味で大きく壊されたわけなんですけど、それでも12年経った今でさえも、インドのことをまだほとんど理解できていないような感覚さえ持っています。
スタートアップ:
インドは100社を超えるユニコーン企業を輩出しているスタートアップ大国で、ユニコーン企業の数ではアメリカ・中国に次ぐ世界第3位です。 世界中のベンチャーキャピタルがインドのスタートアップに投資をしていますし、外資系企業もインドに開発拠点をつくっています。 とにかくやってみるインド人の起業家気質や、ジュガールという圧倒的なポジティブマインドは、新しい事業の立ち上げやオープンイノベーションに貢献してくれるんじゃないかと感じます。
2015年にチェンナイで大洪水が発生して、自宅もオフィスも浸水したときでも、インドで起業をしたときも、「まーなんとかなるか!」と思って前向きにやってこれたのはインド人のおかげです、笑
社会課題:
インドは、他の新興国にも見られるようなリープフロッグ型の発展を遂げています。 例えば、テレビやパソコンよりも先にスマホが普及したり、日本のようないろんなプリペイド方式や電子マネーが乱立することなく、インド全土で統一されたUPIを通じたモバイル決済が普及しています。
地方の医師不足や医療規制の未整備を背景にコロナ禍以降急速にオンライン診療サービスやオンライン薬局も普及しました。 インド国内のインフラが不十分で、法制度も未整備な部分がまだまだ多いからこそ、スタートアップを中心に新しい技術やサービスが生まれ、インドの社会課題を解決していくプロセスとともにインド経済が遅々として着実に発展を続けてるように思います。
インド進出検討時の留意事項
さて、ここからはインド進出を検討する時の留意すべき事項について6つ解説します。
①外資規制の有無
インド政府は、一般的な業種であれば自動認可で100%まで出資することを認めていますが、自国の産業を守るために一部の産業については外国直接投資(FDI)を制限しています。具体的には、こちらの表にあるとおり、複数ブランドの小売業やインベントリー型のEコマース事業、銀行業、保険業、印刷出版業など一部の産業が規制されているため注意が必要です。例えば、ユニクロや無印良品は単一ブランドの小売業としてすでにインドに進出をしてきていますが、イオンなどの外資規制が厳しい複数ブランドの小売業については日本企業はまだほとんど進出してきていません。
②産業ライセンスの要否
業種や取り扱う商材によっては一定の許認可・ライセンスの取得が必要となる可能性があります。 インドに進出前に必要なライセンスがないかを事前に確認しておく必要があります。
③投資インセンティブの活用
インドでは製造や輸出を促進するさまざまな投資インセンティブがあります。 例えば、インド中央政府が2020年に発表した生産連動型インセンティブスキーム(PLI : Production Linked Incentive)だったり、各州政府が発表している産業政策(Industrial Policy)、SEZなどの特別経済区における優遇措置、100%輸出志向型ユニットなどがあります。生産連動型インセンティブスキームにおいては、すでに多くの日本企業が採択されていて、2020年の発表以来、外資系企業の中でも日本企業の採択数が一番多くなっています。
④従業員の採用と人事労務対応
インドで従業員を採用することを見据えて、従業員の勤怠管理や給与計算をどのように対応するか、内定通知や雇用契約書等のフォーマット作成、就業規則や規定類をどこまで整備するか、インドにはどのような労務コンプライアンスが求められるのかを理解しておく必要があります。
⑤経理業務やコンプライアンスの遵守
インドでは原則、毎月税務申告と納税をして、すべての企業が会計監査を受ける必要があります。また、取締役会を最低年4回開催する必要があり、税法や会社法を中心に年間を通じてさまざまなコンプライアンスへの対応が求められます。これらのバックオフィス機能やコンプライアンスへの対応を進出当初から自社でやっていくのは難しいため、信頼できる専門家を事前に選定しておく必要があります。
⑥資金調達の選択肢
現地法人の設立プロセスで発生した創業費や、現地法人の払込資本金、自社が想定しているビジネスモデルなどにもとづいて、インド事業の立ち上げに運転資金がどれだけ必要か、それらの資金をどうやって調達するのかを事前に検討しておく必要があります。増資や本社からの親子ローン、金融機関から融資を受ける、本社への何らかのサービスを提供して役務提供の対価としてお金を送金してもらう、などいろいろな方法が考えられますが、それぞれの選択肢におけるメリット・デメリットを評価しておく必要があります。
インド進出形態の方法論
次に、インド進出の方法論について解説します。
この表のとおり、日本企業がインドへ進出する場合の一般的な進出形態としては主に4つありますが、その中でもっとも多いのが非公開会社(Private Limited Company)としての現地法人です。
現地法人は、活動の範囲や資金調達方法にほとんど制限がないので、自社が想定しているビジネスモデルに応じて、柔軟に取引スキームを構築することができます。法人税率も実効税率25〜35%ぐらい、製造業の場合だと約17%なので他の進出形態よりも相対的に低く、事業の成長フェーズに応じて組織を拡大したり柔軟に再編したりできるメリットもあります。
LLPは日本語で有限責任事業組合などとも言われますけど、2015年の規制緩和により外資系企業でも利用できるようになりました。ただ、日本企業での利用はまだそこまで進んでいないのが実態です。
あとは、支店や駐在員事務所での進出方法もあるんですけど、いずれもいわゆる恒久的施設と呼ばれるPEを中心とした税務リスクが高かったり、支店は製造活動ができない上に法人税率が高いですし、駐在員事務所はそもそも営業活動ができないという活動の制限もあります。
また、設立手続きや設立後の対応すべきコンプライアンスやそれによって発生するコストという観点でも、現地法人と比べても大きな違いはなくて、むしろ進出事例が比較的に少ないがために、状況によっては現地法人以上に管理・運営が難しいケースもあって、結果的に苦戦を強いられている企業もたくさん見てきました。
なので、これまでは現地法人という進出形態を選択してインドに進出をするのが一般的な方法だったわけです。具体的な現地法人の設立方法については別の動画をご覧いただければと思いますが、コロナ禍以降、EORという新しいスキームを活用した新しいインド進出方法が登場しました。というのも、現地法人を活用するメリットはたくさんあるものの、さまざまな課題もあるからです。
例えば、現地法人の設立を社内で承認するまでの時間に加えて、設立手続きや事業の立ち上げには普通は1年以上の時間がかかりますし、現地法人の設立コストや設立後の管理・運用コストの負担が非常に大きい、さらにコンプライアンス違反のリスクが常に付きまとうといった課題もあります。 これらの課題を解消して、よりスピーディに、リスク・コストを抑えた形でインドに進出ができる新しい海外進出方法に期待が集まっているわけです。
新しいインド進出方法(EORの活用)
ここではEORを活用した新しいインド進出方法について解説します。
EORの活用による解決策 「EOR」っていうのは、Employer Of Record(日本語では「記録上の雇用主」と訳される)言葉の略称で、インド国内の給与計算や労務管理を中心としたバックオフィス業務を専門機能として持つ第三者のインド現地法人(これがEOR事業者ですね)、このEORが、日本企業の代わりに法的な雇用主となり、インド国内拠点の設立・運営を代行します。
日本からの出向者を代わりに受け入れたり、皆さんが現地で採用した人材をEORが代わりに雇用することで、インド現地法人を設立しなくてもリモートでスピーディーにインド国内にチームを構築できて、低コスト・低リスクでインドへの進出ができる仕組みです。
EORを活用することで、インド市場にスピーディかつ柔軟に進出ができて、インド人材の雇用と管理体制を最適化できて、さらに、法的コンプライアンスの対応にかかるコストやリスクを軽減できる、というのが最大のメリットです。弊社でもEORをサービスを提供していて、実際にサービスをご利用いただいた企業のインタビュー記事を公開していますので、ご興味のある方は概要欄からぜひ確認してみてください。
ということで今回はインドビジネスの特徴や進出形態について解説しました。 ぜひインドビジネスの特徴を理解し、自社に合った進出形態を検討する上で参考になれば嬉しく思います。