【海外進出を目指す企業は必見!】日本企業が海外でビジネスをすべき理由とは?
日本企業が海外でビジネスをすべき理由とは?
今回は日本の中小企業が海外進出すべき理由について話していきます。
日本は少子高齢化・国内市場の縮小などと言われてひさしいですが、最近の日本はさらに物価高に人手不足・賃金上昇と、かなり厳しい経営環境が続いてますよね。最低賃金の全国平均は2023年についに1,000円を超えましたけど、日本政府はこれを2030年代までに1,500円にする、という目標を打ち出しています。うちは業績が好調だから大丈夫、って思われている経営者の皆さんもいらっしゃるとは思いますが、むしろ好調だからこそ今のうちに次の一手を打っておく必要があります。
この動画を見ていただくことで、日本企業がなぜ海外進出を目指すべきか、その理由とメリットを具体的に理解することができます。また、海外進出に伴うリスクとその対応策についてもご提案したいと思いますので、ぜひ御社が海外進出について考える上で参考にしていただければ幸いです。
日本国内の経営環境がますます厳しくなっていく日本企業にとって、海外でビジネスを展開することはこれまで以上に重要になってきています。まずは、日本企業が海外進出すべき理由について解説していきましょう。
日本企業が海外進出すべき3つの理由
1. 市場
日本企業が海外進出すべき理由、まずは1つ目は何より市場という観点です。
周知の事実として、日本国内市場は縮小傾向にあって今後継続的な成長が期待ができる事業領域はそう多くありません。総務省の統計によると2004年をピークに毎年約50万人以上の人口が減少し続けている日本は、2040年代には1億人を割り込む見込みです。
少子高齢化や国内市場の縮小がますます進行していく中で、売上拡大だけでなく、事業の多様化を進めたり、ブランドのグローバル化を実現するために、多くの中小企業が海外市場に新たなチャンスを見出し始めています。そもそも、日本は品質の高い商品やサービスがむちゃくちゃ安い価格で売られていますけど、海外市場に目をやると同じものを倍以上の値段で買いたい人は世界にたくさんいるんですよね。また、最近はジョーシスとかエニーマインドのようなスタートアップ企業は、創業当初からグローバル市場を見据えたプロダクトをつくるケースも増えてきています。
2. 労働力
日本企業が海外進出すべき理由、2つ目は労働力という観点です。
日本は高齢社会であると同時に労働力不足が深刻化していて、特に若年層の労働力確保が困難になってきています。
帝国データバンクの調査によると、こういった職種での人手不足が顕著で、特にIT業界や建設業界、旅館・ホテル等のホスピタリティ業界における人手不足が深刻化しています。
さらに、ITリテラシーの低い高齢者や海外経験がない若者が多い日本は、日本国内の人材だけでDXやグローバル化を推進することの難易度がますます高くなってきています。
労働力が豊富な国に海外進出することによって、ITリテラシーの高い若い海外人材を採用することができますし、自社の外国籍人材の受け入れ体制を強化したり、自社の従業員をグローバル人材に育成することにも繋がっていきます。
3. 人事戦略
日本企業が海外進出すべき理由、3つ目は人事戦略という観点です。
これは最近インドに進出してきているいろいろな日系スタートアップ企業の駐在員と話していて「なるほど!」と思ったことなんですけど、日本人が日本人だけでいきなりアメリカに進出をするのってかなりハードルが高いけど、日本人がインド人を仲間にして、インド国内でコスト・リスクをある程度抑えながらPoC・実証実験をして、それがある程度うまくいってからインド人と一緒にアメリカを攻めれば勝てる確率を引き上げることができるっていう話をされていたんですね。
アメリカに限らず、世界中にフットプリントを持つインド人や海外人材と一緒にチームをつくって世界を攻める、つまり、海外市場ではなく、海外の人材に目をつけて、人事戦略という観点から海外進出について考えてみると、これまでハードルが高いと思っていた海外進出に対して新しい可能性を見出せるきっかけになるのではないかと考えています。
日系企業がよく直面するリスク
それでは次に、海外進出をした際に日系企業がよく直面するリスクについて整理しておきたいと思います。
1. 市場リスク
日系企業がよく直面するリスク1つ目は市場リスクです。
事業においては当然、顧客企業や消費者がどのような課題を抱えているのか、どのようなニーズがあるのか、その本質を理解しない限り、物やサービスを買ってもらうことはできません。なので、新しい市場に進出した際には自社が想定している課題やニーズをいったん破壊した上で、ゼロベースで再構築する必要があります。顧客の声を聞き、現場を見て、ある意味特殊な国で育った私たち日本人の常識をどれだけぶっ壊せるかが鍵になります。
例えば、インドの富裕層のご家庭だとメイドさんが料理をしているようなケースもあります。この場合、キッチングッズにお金を払う富裕層の方とそれを実際に使うメイドさんが異なるので、どれだけ便利なキッチングッズを提案してもなかなか理解してもらえないかもしれません。
2. 法規制リスク
日系企業がよく直面するリスク2つ目は法規制リスクです。
各国にはそれぞれ異なる法律や規制があります。自社の事業規模や事業領域、ビジネスモデルに応じて適用されるその国の法令や、現地国の労働法規を正しく理解して、コンプライアンスの内容と対応期限、万が一対応できていない場合のペナルティやリスクを把握しておく必要があります。
例えば、インドのコンプライアンスには延滞税や罰金などの金銭的ペナルティだけでなく、違反した場合の罰則として禁固刑が規定されているものも少なくありません。ただでさえ生活環境ヤバいのに、インドで牢屋にぶち込まれたらたまったもんじゃないですよね。
突然発表される規制や、曖昧な法制度も含めて、数多くのコンプライアンスが無数に点在するインドにおいてはすべてを期限内に、かつ、完璧に実施することが難しい状況も起こり得るので、コンプライアンスの重要度や優先順位をつけながら、時には、取るに足らない小さなリスクは積極的に取っていくという経営判断も求められます。
3. 文化リスク
日系企業がよく直面するリスク3つ目は文化リスクです。
国によって異なる文化的価値観やビジネスマナーをまずは理解することが大切です。郷に入っては郷に従え(ごうにいってはごうにしたがえ)という言葉の通り、現地の人々の考え方や文化を理解・尊重した上で、その国の人たちと信頼関係を築いたり、一緒にビジネスをする上で、どのようなアプローチ方法、どのようなコミュニケーションを取った方がより良いのかを知る必要があります。
例えば、日本人は不確実であいまいな状況に不安を感じて、できることならそれを回避したいと考える傾向にありますけど、インド人は不確実であいまいな状況を怖がらずにむしろ許容してスピーディーに行動にうつそうとする傾向にあります。また、日本人はある種プライベートや健康を犠牲にしてでも目標を達成することに対するコミットメントが高い傾向にありますけど、インド人は家族の事情や自分の健康状態によっては仕事を後回しにすることに日本人ほど抵抗に感じない傾向があります。
新しい海外進出方法
ここからはこれらのリスクを回避するための具体的な戦略として、新しい海外進出方法についてご紹介したいと思います。
先ほどご説明をした市場リスク・法規制リスク・文化リスクという3つのリスクを回避するために必要なアクションは次の4つです。
(1)市場調査をじっくり時間をかけて実施する、(2)現地パートナーを慎重に選定する、(3)適用法令と対応方法を理解する、(4)文化的価値観の違いに橋をかける。ただ、いずれも時間がかかりますし、出張ベースでは限界があります。
つまり、これらのアクションを実行するためにはその国に駐在員事務所や現地法人をつくり、日本人駐在員を派遣し、現地の人と一緒に働いてみる以外に方法がないんですよね。ただ、駐在員事務所や現地法人をつくると経理や税務申告、監査、給与計算、労務管理、さまざまなコンプライアンス対応が求められるので、多額の投資が必要になってしまうと同時に、バックオフィス業務だけでも日本人駐在員にかなりの負荷がかかってしまうので、本来集中すべき事業の立ち上げに十分な時間がさけなくなってしまいます。そこで最近はEORを活用して海外にパイロットプロジェクト的に進出する企業が増えてきています。
「EOR」っていうのは、Employer Of Recordの頭文字をとった言葉で、日本語で言うと「記録上の雇用主」という意味になります。
海外現地国の給与計算や労務管理・税務対応を中心としたバックオフィス業務を専門機能として持つEOR事業者が、日本企業の代わりに法的な雇用主となって、その国の拠点運営やコンプライアンス対応を代行するものです。
私たちもインド専門のEOR事業者として数多くの日本企業のインド進出をご支援しております。このサービスをご利用いただくことで、日本企業はインド現地法人を設立することなく、低コスト・低リスクでインド進出を試験的に事前検証ができて、インド進出時のさまざまなリスク回避に必要なこの4つのアクションをじっくり時間をかけて実施していくことができます。
一方で、EORの活用には注意点もあります。もっとも注意が必要なのはEORを活用してその国でどのような活動を行うか、という点です。例えば、EORが雇用した人材がその現地国において積極的に営業活動を行うような場合のPE課税リスクという論点です。PEというのはParmanent Establishmentの略語で、日本語では恒久的施設とかって訳されますけど、つまり、日本企業が海外で事業を行うときに、その国にもし日本企業のPEがあると見なされた場合、その活動から得られた日本企業の所得に対して、その国の税務当局が課税権を主張してくる、というものです。
例えば、先ほどご紹介をしたリスク回避のための4つのアクションという範囲内であれば問題ないんですけど、もしインド国内のEORが雇用した営業マンが、インド国内で営業活動をして、その結果、日本本社名義で契約を受注した場合、インド人がインド国内で仕事をしたにもかかわらず、その利益は日本企業に計上され、したがって法人税も日本にしか納税されないことになりますよね。
インド税務当局からすると「それはけしからん!」ということでインド税務当局がその所得(いわゆるPEの帰属所得ですね)これに課税権を主張してくる、ということになります。
なので、もしEORを活用してインド進出をすることを検討される場合には、インド国内でどのような活動をするのか、どのような活動をすべきではないのかを事前に弊社のようなEOR事業者に相談されることをおすすめいたします。
実際に弊社のEORを利用してインド進出を実現した日本企業のインタビュー記事を公開していますので、ご興味のある方はぜひ概要欄から確認してみてください。
「文化的価値観の違いに橋をかける」方法論
最後に、海外進出リスクを回避するために必要な4つのアクションのうちの1つ、「文化的価値観の違いに橋をかける」というアクションについて、具体的な方法論をご紹介したいと思います。文化的価値観の違いを認識して、さらにこの違いを「組織のチカラ」にするということをいかに実践していくかがこれからの日本企業に求められていると感じています。
ここで最近特に海外で注目されているのがCQ(文化知性:Cultural Intelligence Quotient)という言葉です。つまり、文化的背景が違う人たちと一緒に仕事をして、成果を出せる力ですね。これは知能指数であるIQ、心の知能指数であるEQ、これに加えて3つ目の知性として重要視されているものです。このCQをどうやって開発していくのかが、いろいろなグローバル組織でもテーマになっていて、GoogleやStarbucks、Coca Cola、ハーバード大学などでも積極的に取り上げられています。
今回は本題から少し話がズレてしまうので簡単にだけご紹介をしますけど、このCQをどうやって鍛えていくのか、という点について、CQにはこの図のように4つのコンピテンシーがあると言われています。
1つ目がDriveという違う文化の人たちと一緒に働くという意志を持っているかどうかという動機、2つ目がKnowledgeで、異文化に対する理解・知識や自分が持っているバイアス等に対する認知力、3つ目がStrategyで、知識をどのように活用して文化が違う人たちと一緒に働くべきかを戦略設計できるメタ認知力、そして、最後にAction、知識とメタ認知力に基づいて自分の行動を実際にどれだけ変えていけるかという行動力、この4つのコンピテンシーですね。
この文化の相対的な違いを測定して、その違いを6つの次元に分けて定量化できるようにしたのが、世界的権威のオランダの社会心理学者ゲールト・ホフステード氏が開発したCWQ(Culture In The Workplace Questionnaire)というものです。
弊社関連会社INDIGITALでは、この3名がCWQ認定アソシエイトの国際資格を持っておりまして、例えば、あなたの会社にCWQアセスメントを実施してその結果に基づく分析や研修の実施、受検者へのフィードバックなどを実施することができます。
組織開発やリーダーシップ研修、チームビルディングなどと組み合わせることもできますので、ご興味ある方はぜひ概要欄からお問い合わせをいただければと思います。また、このホフステードの6次元モデルやCWQアセスメントについては、別の動画詳しく解説をしたいと思っていますので、ご興味のある方はぜひチャンネル登録をして公開までお待ちください。
さて、みなさんいかがでしたでしょうか?今回の動画では、日本企業が海外進出すべき理由、海外進出に伴うリスクとEORを活用した対応策、そして、文化の違いを組織のチカラに変えるための方法論CWQについてご紹介いたしました。