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【航空業界】インド国内LCCインディゴの誕生秘話と成長戦略!

今回はですね、インドのオフショア開発のやばすぎる実態について赤裸々に解説したいと思います。

多くの日本企業が開発コストの削減やIT人材の確保のためにインドでのオフショア開発を選択するケースが増えています。ただ、その裏側には、期待とは異なるやばすぎる実態が見え隠れします。バグだらけのコード、遅延するプロジェクトスケジュール、疲弊した日本人従業員、、、そこで今回の動画では、実際にインドで駐在し、オフショア開発の現場を見てきた生の声を元に、その現実を赤裸々にお伝えしたいと思います。

近年、日本企業におけるIT人材不足が深刻化する中、海外のIT人材の活用や海外へのソフトウェア開発の委託、いわゆるオフショア開発が注目を集めています。ただ、実際にオフショア開発をしている企業の事例を見ていると、最近はベトナムへのオフショア開発の話をよく聞く一方で、インドのオフショア開発について語られるケースはそこまで多くないように思います。まずは、なぜここまでベトナムが注目されるているのかの背景について整理しておきたいと思います。

なぜオフショア開発といえばベトナムなのか?

まず、オフショア開発白書(2024年版)の調査結果によると、オフショア開発を活用するメリットとして常に上位に上がってくるのが「開発リソースの確保」と「コスト削減」この2つになっています。そして、実際にオフショア開発をする際にハードルの低さも極めて重要な要素になってきますよね。まず、このハードルの低さという点で、ベトナムがその要素を兼ね備えている可能性があると見ています。つまり、コストと品質のバランスが取れていて日本語学習者が多く、かつ、勤勉で細かい作業が得意、納期を守るといった基本的なプロ意識を持っている人が多いなど、日本人にとって一緒に仕事がしやすい文化的類似性もあるっていう点がそうですね。また、ベトナムの生活環境や食文化の相性を考えるとベトナムに住む日本人現地採用のブリッジSEなどの人材確保のしやすさや、2時間という時差がオフショアと言ってもリアルタイムでのコミュニケーションがしやすい時差の範囲内ということもあって、日本人が日本式の開発マネジメントスタイルを比較的導入しやすい環境・素地がベトナムにはあるわけですね。毎年6万人以上のIT人材を輩出していて、さらに最近では、SAPなどの統合基幹業務システムEPRの機能開発が担えるような高度なIT人材やAI人材も多く輩出しているようで、一定の技術力も同時に期待できる点もベトナムが選ばれる理由の1つになってきています。

その点、インドは優秀なエンジニアが多くても人件費がかなり上がってきていて、かつ、比較的に日本語学習者は少ない、さらに、インドに住む日本人現地採用のブリッジSEの人材確保の難しさもあり、こういったところをベトナムと比較して考えるとインドで日本式マネジメントスタイルをもとにオフショア開発をするハードルの高さはどうしても解消しがたい壁になってるように思います。

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インドでオフショア開発はうまくいくのか?

では、これだけIT大国として注目されていながら、なぜオフショア開発といえばインドとはならないのか、この点をもう少し深掘りしていきたいと思います。
もともと1991年以降に欧米企業のITオフショア拠点として成長してきたインドは、ベトナムにはない技術力の高さと圧倒的な英語人材の開発リソースを抱えています。ただ優秀な人材ほど、欧米諸国に留学をして欧米企業に就職したい、というインド人が共有する成功のロールモデルがあってですね、なのでインド人にとっては、欧米企業と比べた時に、英語が通じない上に、さらに給料も低い傾向にある日本企業をわざわざ選ぶ理由はあまりないと思いますし、逆に日本企業側からインドを見ると、日本語が通じない上に、マネジメントが難しそうなインドをオフショア開発先としてわざわざ選ぶ日本企業もあまりいない、というシンプルな構図になっているんだと思います。

ここで重要な論点はインドの特徴である「技術力の高さ」と「英語人材の開発リソース」、つまり、世界で通用するグローバルIT人材の豊富さ、ですね。


つまり、プロダクトを開発するという短期的でミクロな生産性を追求する必要があるのか、もしくは自社の開発組織をグローバル化したい、プロダクトをアメリカや世界中に販売していきたいという長期的でマクロな海外事業戦略を追求する必要があるのか、オフショア開発に対して自社が何を期待しているのかを見極める必要があるということです。言い換えるならば、日本で販売予定のプロダクトの開発コストを削減したい、日本で販売予定のプロダクトをスピーディに開発したい、こういった期待値であればベトナムのオフショア開発を選択した方が良い可能性は高いような気がします。

ただ、アメリカを中心とした世界に通用するプロダクトを開発したい、グローバル市場を狙っていきたい、こういった期待値があるのであれば時間はかかってもインドに自社のGCC拠点を立ち上げた方が良いかもしれません。ここで、インドでのオフショア開発という表現をしなかったのは明確な理由がありますので、ここからはインドのGCC拠点と、外注できない課題に向き合う重要性について考察してみたいと思います。

GCC拠点の概要と外注できない課題に向き合う価値

インドは外国直接投資を受け入れるようになった1991年以降ぐらいから、欧米系企業のコールセンターやさまざまなバックオフィス業務を担うBPO拠点として発展してきた経緯があるんですけど、そんな欧米系企業の下請け・オフショアのアウトソーシング先として成長してきたインドの役割が、もともとはサポート業務中心だったところからバリューチェーンの上流工程にまで拡大してきた、という経緯があります。単なる下流工程を担うオフショアのBPO拠点だったところから、今や研究開発やマーケティング、サプライチェーンマネジメント、リスクマネジメントなどの領域、上流工程を担う戦略拠点として、つまり、インドを事業戦略の一部を担う重要拠点として位置づける企業がどんどん増えてきているわけですね。こういった拠点のことを、グローバル・インハウス・センター(GIC)とかグローバル・ケーパビリティー・センター(GCC)と言っているわけです。

インド政府によると2025年3月現在で1,700社以上がインド国内にGCCを設置していて、その30%超である約500社がバンガロールがあるカルナタカ州にGCCを設置していると言われています。それこそ、誰もが知っているこういった超一流企業の多くがインドにGCCを設置していて、インド人材が担っている役割も多岐にわたることがよく分かると思います。

このインドにおけるGCC拠点と、ベトナムにおけるオフショア開発拠点の決定的な違いは、外注ができない課題に向き合うかどうかという点に尽きます。
ベトナムのオフショア開発という文脈はあくまでプロダクトの開発作業の外注、という意味合いが強いわけですけど、インドにおけるGCC拠点というのは、もはやグローバル戦略そのもの、そして、外注ができない課題に向き合うこと、つまり、私たち自身が変わるための重要な戦略拠点と位置付けることを意味するわけですね。グローバル化、デジタル化の波に乗るためにいちばん大切で、かつ同時に、いちばん難しいことは、いかに自分たち自身が変わることができるか、ということだと思います。この課題は外注すればするほど問題を先送りにしてしまうのでタチが悪いわけですけど、この課題に果敢に向き合うためには自らがチャレンジして、そこから学習するプロセスを経験する以外に方法はないわけですね。

ここで重要なのは、インドとの付き合い方を理解し、適切な戦略を立てて、リスク管理をしながら、時間をかけて立ち上げていくことです。単純なコスト削減を目的とした従来型のオフショア開発や短期的な成果を求めるのであれば、ベトナムの方が有効であろうことはすでにご説明のとおりですけど、一方で、時間をかけて自社の戦略に沿った高度な技術力を徐々に引き出していく、グローバル展開を見据えた組織力を中長期的な視点をもって醸成していく、つまり、この外注ができない課題に向き合う上で最高の舞台がインドだと考えています。外注ではなく、自社のGCC拠点を立ち上げること。文化の違いをお互いに理解・尊重して、中長期的なビジョンを示して、自社が期待している品質レベルや信じているプロダクトの価値を直接チームに浸透させていくこと。外注による結果を求めるのではなく、外注できない課題に向き合うそのプロセスを求めていくことが、これからの時代に求められているものと信じています。

そもそもインドのIT人材は優秀なのか?

そもそもインドのIT人材は本当に優秀なのか、という問いについても触れておきたいと思います。実際にインドで開発チームのマネジメントをしている日本人駐在員の話なども踏まえると結論「日本人が定義する優秀なIT人材がたまーにいる」というのが正解のように思います。もちろん超一流大学IITを卒業したインド人エンジニアや、アメリカ企業で活躍するインド人エンジニアは優秀な人が多い傾向にはあるでしょうし、こういったIT人材は優秀なインド人の中でもトップオブトップにいる超エリートなので、優秀なのはもはや当たり前の話です。一方で、一般的なインド人エンジニアのコードの品質は日本人が期待する50〜70%程度のレベル感だと思っておいた方が良い、という話はよく聞きます。つまり、エンジニアが書いたコードのレビュー依頼、いわゆるプルリクを上げるスピードが早くても、日本人が期待するコードの品質にはなっていないケースが多くてそのレビューにかなり負担を強いられる。なので、プルリクが上がってきても、レビュー者側で本番環境に反映されるまでに時間がかかってしまう傾向にあるわけですね。

これは、人材アセスメントおよびタレントマネジメントソリューションを提供するイギリス企業SHL社が、機械学習ベースのプログラミング能力評価ツールであるAutomataを使って、2018年にインド全国500以上の大学から36,800人の工学部の学生に受けてもらったコーディングスキル調査結果なんですけど、コンパイル可能なコード、つまり、最低限Syntaxでエラーにならないコードがかけるのはトップ100の優秀校でも全体の7割弱、でも過半数は機能的に間違ったコードしか書けていなくて、さらに、機能的かつ効率的に正しいコードが書ける学生は全体のわずか8%程度という結果が出ています。

トップ100圏外の大学だとさらに酷い結果が出ているので、このあたりの現実はある程度把握した上で、優秀なIT人材をいかにして見つけるか、そして、人材を採用した後も、自社が期待しているコードの品質レベルやそこに到達するためのトレーニングを実施したり、開発方針やその優先順位を丁寧に、粘り強く伝え続ける必要があるかもしれません。インド人は本当に優秀なのか、という論点についてはこちらの動画でも詳しく解説していますのでご興味のある方はぜひご覧ください。

さて、皆さん、いかがでしたでしょうか?今回はオフショア開発におけるインドとベトナムの違い、そして、インドでのGCC拠点を立ち上げることの価値について解説してみました。インドで開発拠点やGCC拠点の立ち上げを検討されている企業様は、ぜひ参考にしていただければと思います。