Vol.0013 新型コロナウイルスで見えてきた自家用車の必要性。トヨタの新戦略はインドでの四輪車普及に一石を投じることになるか?
トヨタのインド法人がロックダウン後の営業を再開
インド大手経済メディアのThe Economic Times社の2020年6 月12日付報道によると、トヨタのインド法人であるToyota Kirloskar Motor(トヨタ・キルロスカ・モーター / 以下“TKM”という)はロックダウンの解除に伴いショールームの営業を再開、また売上げ促進のため、新戦略を採用する旨を発表しました。
今回発表された新戦略には (1)6月中にBS-VIモデル購入の場合、割賦支払い90日間延期、(2)Innova Crysta、 Fortuner、Camry Hybrid、Yaris、Glanzaは頭金ゼロでの購入が可能、(3)最初の6ヶ月間、10万ルピー(約14万円)あたり899ルピー(約1250円)の手数料での定額月賦払い(EMI:Equated Monthly Installment)が可能、(4)YarisとGlanzaの買戻し補償などがあります。
コロナ禍で自家用車が注目を集める
今回の新型コロナウイルスの蔓延で“ソーシャルディスタンス”という言葉が流行り、段階的にロックダウンが解除されているインドでも、ショッピングモールやレストランなどで一定数以上を同時に入店させないなど対策が取られています。
また、インド国内での配車サービスの普及により以前と比べて移動が便利になりましたが、同大手であるUber(ウーバー)やOla(オラ)も現在一度に2人以上の乗車は受け付けていません。
こういったことを背景に今、四輪の自家用車があらためて注目を浴び始めています。2018年12月時点で1000人当たりの四輪車の保有数はわずか22台で、日本の591台、中国の164台と比較するとかなり低い数値であり、インド国民の所得水準の低さと同時にこれからの四輪車の普及の余地が大いにあることが分かります。
ロンドンのキングス・カレッジの社会学者Maryam Aslany氏によると、四輪車を買うことができる年収120万ルピー(約168万円)以上のミドルクラス、アッパーミドルクラス層はインドの人口の14%を占めているとされていますが、この層が今後はさらに増え続けていくと考えられています。今回TKMが発表した新戦略は中所得層を含む幅広い層に魅力的に映るものと思われ、四輪車購入の敷居を低くするものとなることを期待しています。
Source:トヨタインド、売上げ促進のための新戦略を発表
インド中級層内訳
インド階級別年収
1000人あたりの自家用車保有台数