Vol.0022 Biocon社のItolizumabが新型コロナウイルス治療薬として確立する日は近いだろうか?
バイオコン社の医薬品がコロナ治療薬への導入に反対される
インド大手経済メディアのThe Economic Times 社の2020年7 月26日付報道によると、インド健康・家族福祉省(MoHFW : Ministry of Health and Family Welfare)はバンガロールを拠点とするバイオ医薬品メーカーのBiocon(バイオコン)社の医薬品“Itolizumab(イトリズマブ)”を新型コロナウイルスの治療薬として医療マネジメントプロトコルに導入することに対し、効果を証明するデータが十分でないとの理由で反対したようです。
“ALZUMAB(アルズマブ)”の商品名で販売されているItolizumabは慢性プラーク乾癬治療薬として2013年より承認されており、今回新型コロナウイルス感染症患者の致死率を低下させたとする臨床試験データを発表し、7月11日にインド医薬品管理局(DCGI:Drug Controller General of India)から新型コロナウイルスの治療薬として緊急使用許可を得ていました。Biocon社の広報担当者は「これまでに約1000人の患者がALZUMABを使用し、いい結果がでている。今後も臨床試験を続け、データを提出するつもりでいる。インド政府MoHFWには今回の結果を再考してもらいたい。」と述べています。
増え続ける感染者と望まれる治療薬の早期完成
Biocon社のALZUMABはこれまでにムンバイとニューデリーの複数の病院で新型コロナウイルスによる急性呼吸窮迫症候群患者の症状を改善させたデータがでており、副作用については未だ発表されていません。重い副作用を伴うことなく、症状の改善、致死率の低下が期待できるのであれば今もなお蔓延し続けている新型コロナウイルスの治療薬として国が認め、開発研究のサポートなどを行うことで、新型コロナウイルスの猛威に対抗する第一歩となるのでは、と期待をしています。
インド国内の新型コロナウイルス感染者数は7月26日時点で累計140万人を超えており、1日の新規感染者数も日ごとに増しています。現段階で毎日約5万人の新規感染者がでていますが、一方で、デリーやチェンナイ市内など一部の地域では6月末辺りをピークに毎日の新規感染者数は減少に転じた地域も出始めています。いち早くワクチン、治療薬が完成し安心して生活できる日がくることを望んでいます。
Source:インド健康・家族福祉省、Biocon社のItolizumabをコロナウイルス治療薬として認めず
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