Vol.0145 インド政府、AI革新の新ルール – スタートアップへの道を開く
インド電子情報技術省(MeitY)が人工知能(AI)プラットフォームに対して、AI製品を発表する前に政府から許可を得るよう指示する勧告を出しました。これに関して、電子情報技術国務大臣のラジーヴ・チャンドラセカール氏はX(旧Twitter)で、この指示はスタートアップには適用されないことを明確にしました。この勧告は、実験的または試験段階のAIプラットフォームが一般に公開された際に、不法なコンテンツが流布されることを防ぐためのものです。またこの勧告は、これらのプラットフォームがIT法や刑法に基づく法的義務を理解し、遵守することを促すために設けられています。
他にも彼は、ラベリング(製品やサービスに関する情報の明示)やユーザーの同意を得ることが、ユーザーとの信頼関係を築き、訴訟リスクを軽減するための“保険“として機能するとも述べています。
勧告には、AI生成コンテンツにラベルを付けたり、識別子を埋め込むことも推奨しています。これは特に偽情報やディープフェイクの作成者を特定しやすくするためのものです。すべての仲介者やプラットフォームは、そのコンピューターリソースを通じて、あるいはその上で使用されるAIモデル、LLM(大規模言語モデル)、Generative AIのソフトウェアやアルゴリズムが、IT法規則に記載されている不法なコンテンツを許可しないようにすることが求められています。
この勧告は、電子技術省の12月の指針に続くもので、ソーシャルメディアプラットフォームに対して、ディープフェイクに対抗するために既存のIT規制を遵守するよう促したものです。また、プラットフォームは規制当局からの勧告から15日以内に行動計画および状況報告を省に提出するよう要求されています。
この動きは、インドのインターネットの安全性と信頼性を確保するという共通の目標に向けた政府、ユーザー、プラットフォーム間の共有された取り組みの一環です。
しかしこれに対しては、企業の創業者を含む複数の人物がX上で反論する事態となっています。
Source:インドAI規制に新たな動き
インド政府の、AIに関する規制から、スタートアップを除外し新興企業のイノベーションを促進する一方で、影響力の強い大手プラットフォームには厳格な規制を課すこのような指針は、とてもバランスの取れたものだと感じます。
世界各国が、急激な進化を遂げるAIに関する、様々な規制を行うなか、このような規制がどのような影響を与えるのか、また実際に意味を成すものになるのか推移を見守りたいです。
そして、個人的にも、AIがもたらす利便性を積極的に取り入れつつ、リスクを理解し賢く利用していきたいです。
(文責:大森太郎)