India Weekly Topics

週刊インドトピックス

Vol.0168 廃棄物を資源に変える技術:Ricron Panelsが示すサステナブル建材の未来

プラスチック廃棄物は大きな環境問題です。
インド・グジャラート州に拠点を置くスタートアップRicron Panelsは、このリサイクルが難しいプラスチック廃棄物を高品質の建築材料に変えることに成功しています。
共同創設者兼CEOのラディカ・チョーダリーは、「リサイクルが難しいこの廃棄物こそ、私たちはリサイクルする」と述べています。彼らの革新的な技術は、リサイクル不可能なプラスチック廃棄物を防水性、防錆性、耐火性、耐熱性を持つシートに変換します。

Ricron Panelsのパネルは、従来の材料と比べて20%コストが削減されるという経済的な利点のほか、高い防水性能により水害に弱い地域でも安心して使用できる耐久性を持っています。さらに、住宅、家具、建設業界など幅広い産業で応用可能な汎用性も備えています。これらの特長が、多くの利点を提供しています。

 

さらに、このパネルの利点は製品自体にとどまりません。Ricron Panelsは廃棄物を通常は捨てられてしまう廃材回収から調達し、よりクリーンな環境作りを促進しています。また、これらは公式な廃棄物処理業者ではない、個人や小規模事業者が行う廃棄物の回収・処理活動を支援することにもつながっています。
製造プロセス自体も極めて持続可能であり、使用される原材料がリサイクルされたものであるため、パネル素材1トンを生産するごとに、1トンの二酸化炭素排出量を削減できます。さらに、このプロセスでは追加の廃棄物が一切発生しません。

 

このようにRicron Panelsは単に家を建てるだけでなく、より持続可能な未来を築いています。彼らの革新的なプラスチック廃棄物へのアプローチは、環境問題への有望な解決策を提供し、より責任ある建築業界への道を開いています

 

Source:Ricron Panelsのプラスチック廃材活用法

 

急激な都市化や人口減少に伴って、筆者が暮らすベンガルールの街中には、たくさんのごみが放置されています。

このような社会課題に対して、Ricron Panelsの取り組みは、単にリサイクルが難しいプラスチックで建築材料を生産すること以上の価値をもたらしていると感じます。

政府が推進する様々な環境推進プログラムも十分に機能していない中で、彼らのような取り組みが少しでも増え、環境改善につながることを期待したいです。

 

(文責:大森太郎)