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週刊インドトピックス

Vol.0041 可能性広がるインドアグリテック。『GramworkX』はインド全土に普及するだろうか?

IoTとAIによる農業新興サービスはインド全土に普及するか?

IoTとAIによる農業管理

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2020年10 月26日付けの報道によると、バンガロールを拠点とするアグリテックスタートアップの『GramworkX(グラムワークス)』が注目を集めているようです。

同社は兄妹であるK A Gopalakrishnan氏とSupriya Ananthakrishnan氏によって2019年に設立され、IoT(Internet of Things:モノのインターネット)とAI(Artificial Intelligence:人工知能)対応のスマートファームリソース管理ツールを構築することで、農場周辺の細かな気候の状態を監視し、灌漑状況を数値化することで、正確な灌漑予測に基づいた判断、予防的な意思決定の支援をしています。

Gopal氏はアグリテックの分野で起業した背景について『天候と水が作物の収量に影響を与える最も重要な要素であるが、農家はデータが乏しかったり、意思決定に至るまでのシステムがないため効率的な農業が行えていない。また、農業は最も古い職業でありながらテクノロジーの普及率は非常に低い。』と述べています。

GramworkXは農家にとって必要な農場パラメータを設定し、その主要なパラメータを継続的に監視するIoTデバイスを提供しています。つまり、そこで得られたデータを同社が事前に構築したML(Machine Learning:機械学習)予測アルゴリズムと組み合わせて情報解析を行い、農家の意思決定において判断基準となり得る情報をプラットフォームを通じて提供しているようです。

アグリテックでインドの農業全体を推進

農民は今年8月15日にローンチされたアンドロイド専用無料アプリ『Kison(キソン)』を通じて日々の推奨情報やその他のデータを得ることが出来ます。同アプリは現時点で5言語に対応しており、500人以上のユーザーがいるようです。また、同社はロックダウン中にデジタルマーケットプレイスを立ち上げ、農家と潜在的な買い手がつながる場を生みだし、現在100を超える農家と会員制農民団体FPO(※1)が同プラットフォームを利用しています。

現在GramworkXは、インド全土で5つのパイロットプログラムを実施中で、主にマハラシュトラ州、タミル・ナードゥ州、テランガーナ州で実施しています。収益モデルとしては、露地栽培やポリハウス栽培用のIoTハードウェアは固定費ベースで提供、一部サブスクリプションモデルで提供することで収益を得ています。また、FPO向けのSaaS(※2)プラットフォームをサブスクリプション提供しています。

Ernst&Young Servies(EY)社のレポートによると、インド全人口13億人のうち約48%が農業に依存しており、同国の農業GDPは2018年時点で3960億ドル(約41兆3500億円)、農業生産高は中国に次ぎ世界第2位です。これは世界の農業総付加価値(GVA:Gross Value Added)3兆3,204億ドル(約346兆7150億円)の11.9%を占めています。  しかし、インドのアグリビジネスのエコシステムは、農業バリューチェーン全体で複数レベルの中間業者が存在し、組織化されていないのが現状です。

EY社の最新レポートによると、ここ数年、アグリテック部門への投資が活発に行われているにもかかわらず、同部門での市場浸透率は約1%と非常に低いとされています。インドは世界に60種ある土壌のうち46種類を保有しているといわれており、広大な土地と気候に恵まれています。農作物の輸出はFY19には385億ドル(約4兆200億円)に達しており、新政策では2022年までに農産物の輸出を600億ドル(約6兆2657億円)まで増やすことを目指しています。

災害や貧困などの課題解決にアグリテックの盛り上がりに期待

インドは洪水やサイクロンなどの災害が多く、農民は大きな被害を被っていましたが、GramworkXが提供しているようなAIやMLを活用したサービスを利用することで効率的な農耕栽培が期待できます。未開拓な市場の可能性はもちろんのこと、貧困を無くすという社会課題においても根が深いインドの農業領域において、インド政策の強力な政策と世界中からの投資によって今後アグリテックがインド国内でますます盛り上がりを見せてくれることを願っています。

※1 FPO:Farmer Producer Organisationsの略。インド政府、州政府、その他組織のイニシアチブの下形成された会員制の農民組織。

※2 SaaS:Software as a Serviceの略。クラウドで提供されるソフトウェア。

Source:

アグリテックスタートアップ『GramWorkX』がサービスを拡大中

インド農作物の情報

GramworkX HP:https://gramworkx.com/#/

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