India Weekly Topics

週刊インドトピックス

Vol.0052 コリビングスタートアップのSettl、コロナ禍の中順調な駆け出し


インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2020年11 月25日付けの報道で、バンガロールを拠点とするコリビングスタートアップの『Settl(セトル)』を取り上げています。

Settlは今年7月、Abhishek Tripathi氏、Bharath Bhaskar氏、Ashok Reddy氏によって大都市での宿泊施設不足と家賃の高騰問題を解決すべく立ち上げられました。インドではバンガロール、デリー、ムンバイなどの大都市に高等教育やより良い就業環境を求めて移住することは珍しくありません。しかし、近年都市生活を求める移住者が増え滞在先を探すのが難しくなっているのが現状です。Settlは若い専門家や学生をターゲットに家具付き、24時間365日可能な電源バックアップ、定期的な清掃とメンテナンス、敷地内のランドリー、高速インターネットなどが設備された、すぐに入居できる物件を提供しています。コロナ渦の中サービスを開始したSettlはコロナ対策も万全で、施設内の複数の人が触れる箇所の定期的なクリーニング、タッチフリーの食品提供やEコマースの配達受取り、入居前の清掃など安全対策を徹底しています。また施設内に部外者がエントリーできないように、防犯カメラやデバイスによる仕組みが施されているようです。

利用可能なテナントの情報や賃料は公式ウェブサイトやSettlのモバイルアプリを介して確認をすることが出来、部屋の修理やサービスに対するリクエストも同アプリで報告することで対応してくれます。現時点でバンガロール内に4つの物件を所有しており、既に300以上の入居者がいるようです。家賃はベッド1台あたり10,000ルピーから25,000ルピー(約14,000円から35,000円)で、立地や一部屋のベッド数、施設内のアメニティによって変動します。今後の計画についてAbhishek氏は、『今後15ヶ月間で、ハイデラバード、プネ、デリーNCRなどの市場に参入し、2,000台以上のベッドの導入を計画している。』と語っています。

インドのコリビング市場は今後ますます成長していくと考えられており、2023年までに上位9都市で2兆ルピー(約2兆8000億円)の市場になると言われています。Settlの競合の新興企業にはZolo Stays、Stanza Living、CoHo、Coliveなどがありますが、ほとんどがPG(※1)との連携で、既にあるPGを自社ブランドに改良しテナントに提供しています。一方でSettlは民間の建物と提携し、ターゲットに合わせ設備設計するというアプローチをすることで他社との差別化をしているようです。

現在は新型コロナウイルスの関係で未だにほとんどの学校がオンライン授業の形式を採用しており、学生は実家に帰省している人が多いですが、私がバンガロールに引っ越してきた2019年には、空室のあるテナントが少なく、滞在先を探すのに苦労した記憶があります。学生の期間だけ大都市に移る学生や、社会人になったばかりの人たちにとって家具を揃えるのは金銭的にも、時間的にも負担がかかるため、Settlのようなコリビングのサービスは今後需要が増していくと思います。インドは日本に比べ学生の間は勉学に集中する、という特性があるため、食事付き、部屋の清掃サービス付きというのもコリビング施設を探している人たちにとって魅力的なようです。

※1 PG:Paying Guest。インドにある家具つき、食事付きの宿泊施設。
Source:コリビングスタートアップSettl、バンガロールでサービス展開