India Weekly Topics

週刊インドトピックス

Vol.0073 注目のグリーンパッケージング市場。Paiviが目指す先は?

サステイナブルな日用品を提供するPaiviができるまで

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2021年2月4日付けの報道で、サステイナブルでエコフレンドリーな製品を提供している『Paivi』に焦点を当てています。

プネを拠点とするPaiviは2019年にRuchi Jain氏によって設立されました。同社は使い捨てプラスチック製品をなくすことを目的に、プラスチックが使用されている日用品の代替品を販売しています。現時点で同社の製品には食用プラスチック製の飲料ストロー、竹製の歯ブラシ、カミソリ、舌クリーナー、木製のくし、生分解性の高いペンや鉛筆などがあります。

Jain氏は自身の論文で歯ブラシについて研究しており、それをストローにも応用しようとしました。そこでPaiviのビジネスにつながる衝撃的な事実を発見したのです。研究の結果、一人の人間が一生のうちに使うストローは平均で約34,000であり、1本のストローが分解するのに500かかること、さらに少なくとも600種の生物種に悪影響を及ぼすことが分かりました。Jain氏は『これが未来の世代、少なくとも次の6世代、7世代に残したい遺産なのか。』と熟考し、その結果これがJain氏にとって再発明に貢献できる分野であり、拡張性のあるビジネスであるだけでなく、環境にも貢献できる分野であることに気付きました。

 

Paivi設立後の歩みと競合

Paiviは主にホテルや外食産業向けにバルク販売(※1)を行っており、プラスチック製品の使用頻度が高く、頻繁に補充が必要なホテルや外食産業向けに製品を販売しています。また、eコマースサイトで個人向けにも販売しています。現在、Hilton、Sula Vineyards、Shambhala Resortsなどを含むインドの50以上のホテルと、Drunken Money、Chai Stop、Pandhalなどの100以上の飲食店に商品を提供しています。同社は、立ち上げから半年後には黒字化し、設立からわずか2年で200万本以上の環境に優しいストローを販売することに成功しています。インドでの主な競合企業には、竹製の歯ブラシを販売するNicobar、竹をベースにしたトイレタリー製品、電話ホルダー、綿棒、メモ帳、プラスチックフリーの歯磨き粉などを販売するBamboo India、生分解性が高く、地球に優しい日用品を40種類以上販売するEverwardsなどがあります。

 

 

グリーンパッケージング市場の可能性

Mordor Intelligenceのレポートによると、グリーンパッケージング市場は2020年には2667億ドルと評価され、2026年には4049億6000万ドルに到達、年間平均成長率7.4%で成長すると予測されています。さらに、ネスレコカコーラなどの数十億ドル規模の巨大企業も、リサイクル、再利用可能が可能なエコフレンドリーパッケージにすることを約束しています。

また、ジョー・バイデン米大統領が就任初日に行った最初の政策の一つは、気候変動と温室効果ガスの排出量を扱うパリ気候協定からの米国の脱退を覆すことでした。彼の行動は、気候変動に対処し、世界レベルの政策立案に参加することへの米国の再コミットメントとみなされ、気候変動問題は重要視されるべき危機であることが再確認されました。バイデン大統領の決定は多くの人の環境問題に対する認識にも影響を与えたことでしょう。

さらに、インド政府も“2022年までに使い捨てのプラスチック製品を完全になくす”、という意の政策をだしており、Paiviのミッション、ビジョンと一致しています。

気候変動対策の責任は政策立案者や科学者だけにあるわけではありません。今日の多くの消費者は、特にサイクルの速い消費財(FMCG※2)を購入する際には、環境に配慮した意思決定を行っています。オーガニックフェアトレードエコフレンドリーパッケージ動物虐待のないものリサイクル可能なものなど、これらのワードは、主要なeコマースサイトの検索ランキングで常に上位を占めており、特に最近設立されたスタートアップ、これから出てこようとしているスタートアップは、「目的を持った利益」に焦点を当てて、この市場に飛び込んできています。『私たちが販売するすべての製品は、埋め立て地を埋めることなく、リサイクルするか、完全に分解して自然に戻すことが可能である。気候変動が氷河、陸地、海に与える影響を目の当たりにしてから、消費者の間では環境に優しい製品への関心が高まっており、ここにソーシャルメディアが果たすべき役割がある。』とJain氏は述べています。Paiviは、増加する需要に対応し、生産コストを削減し、流通チャネルを構築するために、今後数ヶ月間で資金調達をしようとしています。また、海外への進出も計画しているようです。

日本でもサステイナブル、エコフレンドリー、プラントベースなどの言葉を多く耳にするようになりました。ただ環境にやさしいだけではなく、ファッション性にも優れた商品もここ数年で格段に増えたことで、消費者の満足度や購買意欲も上がってきているように思います。日常のあらゆる場面で“使い捨てのモノをできる限り減らす”、という選択はできると思うので意識していきたいなと思いました。

 

※1 バルク販売:大量販売、一括販売の意。

※2 FMCG:Fast Moving Consumer Goodsの略。商品回転率が速く、新商品開発までのプロセスが短い消費財のこと。

Source:サステイナブルな商品を提供するPaivi