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Vol.0102 インドの新たなる課題、真菌感染症「ムコール症」と新型コロナウイルスの関係とは

真菌感染症「ムコール症」と新型コロナウイルスの関係

コロナ患者・回復者に見られる、カビがもたらす「ムコール症」

ザ・ヒンドゥ紙5月20日付の記事によると、現在インドでは、新型コロナウイルス感染拡大の第2波が、新型コロナウイルス感染患者や回復した人から、珍しい真菌感染症「ムコール症」(ムーコル症とも記載あり)の患者が増加するという、さらなる別の深刻な課題を生んでいるとのことです。

この感染症は、土壌や朽ちた葉・木などで繁殖し、土壌や空気、健康な人の鼻や粘液に存在する真菌(カビ)の一種「ムコールミセテス」が原因です。この菌は通常の環境下ではほとんど無害ですが、慢性的な健康問題や免疫力を低下させる薬を服用している方には発症の危険性が高まります。

インドの新型コロナウイルス1日あたりの新規感染者は5月6日の41万4千人をピークにして減少傾向にあります。この傾向が継続し、インド全体がコロナ禍を乗り越えていくためにも、ムコール症への対策は新たな課題となっています。

糖尿病患者などのステロイド治療が影響

糖尿病などの基礎疾患を持つ新型コロナウイルス感染患者がステロイド治療を受けた後に菌の胞子を吸い込むと、肺や副鼻腔に感染が起こる可能性が指摘されています。

また、血糖値が正常でも、ステロイドを無差別に使用すると血糖値が上昇し、そのような患者はムコール症に感染しやすくなります。

重度の新型コロナウイルス感染患者は、肺障害や多臓器不全につながる全身の炎症反応を起こす傾向があり、WHOは、重症・重篤な新型コロナウイルス感染患者の治療にデキサメタゾンなどのコルチコステロイドを使用することを強く推奨していますが、重症ではない新型コロナウイルス感染患者には使用すべきではありません。

新型コロナウイルス感染患者を効果的に治療するための新しい薬剤や再利用された薬剤がないことや、特定の薬剤を使用する際の明確なガイドラインがないことから、ステロイドを含む無差別な薬剤使用が行われています。

糖尿病患者への新型コロナウイルスワクチン接種の必要性が高まる

ムコール症の増加により、ステロイドを限られた期間・適切な量で使用すること、糖尿病患者には慎重に使用することが強く求められています。また、新型コロナウイルス感染患者に感染した糖尿病患者には、インスリンを用いて血糖値をコントロールすることがムコール症の予防につながります。

ムコール症は診断が容易で、早期発見ができれば、手術をしなくても治すことができます。また、糖尿病患者はステロイドがなくとも、新型コロナウイルスワクチン接種によって重症化を防ぐことができるので、ムコール症への懸念が軽減されます。速やかな新型コロナウイルスワクチン接種が求められています。

求められるムコール症対策

関係保健省は現在、ムコール症を伝染病法に基づく届出対象疾患に分類するよう全州に要請しており、数州はこれに応じています。届出伝染病として、疑いのある症例や確定した症例はすべて州の保健局に報告されることになります。

現状ではムコール症患者の増加に伴い、真菌症の治療薬である「アムホテリシンB」の供給数が不足しており、インドでは5つのメーカーが生産を強化、供給を拡大するためにさらに5社がライセンスを取得を進めています。

ソース:「別の課題:ムーコル症の症例の増加について」

「マハラシュトラ州で黒菌の治療を受けた200人の患者のうち8人が目の視力を失った」

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