Vol.0114 Softbankの出資でEdtechの『Eruditus』が2021年、インド23番目のユニコーンに
インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2021年8月12日付けの報道で、Edtechの『Eruditus』がユニコーン(※1)の仲間入りとなり、2021年23番目となるインド発のユニコーン企業となったことを取り上げています。
2021年に誕生したインドユニコーン企業
2021年に入って8ヶ月、インドのスタートアップエコシステムでは、憧れの評価額10億ドルクラブに、すでに23社が新規参入しています。(以下、今年ユニコーン企業となった23社)
- Digit Insurance(インシュアテック)
- InnovAccer(ヘルステック)
- Five Star Business Finance(ノンバンク金融事業会社)
- Meesho(ソーシャルコマース)
- Market(B2B Eコマース)
- CRED(fintech)
- Pharmeasy(healthtech)
- Groww(fintech)
- Gupshup(会話型メッセージング)
- Mohalla Tech(ソーシャルプラットフォームであるShareChatとMojの親会社)
- Chargebee(SaaS)
- Urban Company(ホームサービスマーケットプレイス)
- Moglix(B2B コマース)
- Zeta(fintech)
- BrowserStack(SaaS)
- BlackBuck(物流)
- Droom(自動車)
- OfBusiness(B2Bコマース)
- BharatPe(フィンテック)
- Mindtickle(セールスイネーブルメント)
- upGrad(高等教育)
- CoinDCX(仮想通貨)
- Eruditus(Edtech),
2021年に向けて、調査会社や業界の専門家は、インドではユニコーンの数が大幅に増加するだろうと予測していました。以前のNASSCOMのレポートでは、2021年年末までにインドで50のユニコーンが誕生すると述べられています。今年中にユニコーンになる可能性のあるSoonicornsには、AgritechスタートアップのCropIn、AutotechスタートアップのCarDekho、EdtechスタートアップのVedantuなどが含まれています。
SoftbankがUnacademyに続きインドEdtechスタートアップに大型投資
ムンバイに本社を置き、有名大学と提携してエグゼクティブ教育プラットフォームを提供しているEdtech企業の「Eruditus」は、今回、Accel(※2)とSoftbank Vision Fund 2(※3)が主導したシリーズE資金調達ラウンドで6億5000万ドルの調達に成功し、評価額が32億ドルに達し、憧れのユニコーンクラブに入りました。EruditusのシリーズEラウンドはまだクローズされておらず、今後3週間のうちに既存および新規の投資家からの参加があるだろうと言われています。今回のラウンドは、Softbankにとって、インドで急成長しているEdtech分野への2度目の大型投資となります。
今週初めには、ライバル企業のUpGradが、Temasek Holdingsを中心とした1億8,500万ドルの資金調達で12億ドルの評価額となり、インドユニコーンの仲間入りを果たしました。その他のインドエドテックユニコーンには、NaspersとTiger Globalが出資するByju’sとSoftBankが出資するUnacademyがあり、それぞれ165億ドルと34億4,000万ドルの評価額となっています。
技術的発展が急速に進んでいる今日の雇用市場では、継続的なスキルアップが必要です。Softbank Investment AdvisersのパートナーであるSumer Juneja氏は、『エリート大学とのパートナーシップや、テクノロジーとデータを活用して高品質なコースを作成・提供することで、Eruditusはこの分野をリードする立場にある』と述べています。また、Accel社のパートナーであるAnand Daniel氏も『高等教育と継続学習のアンバンドリング(※4)は、まだ始まったばかりだ。我々は、このプラットフォームと世界最高の大学との深いパートナーシップにより、Eruditusとそのパートナー大学が、この高等教育の革命の最前線にいると確信している』とEruditusを高く評価しています。
Eruditusの調達資金の使い道
Eruditusは今回の資金調達により、大学のパートナーと共同で新しいコースを開発したり、新たな業界に向けた製品を開発したり、新産業分野の開拓に加え、政府や企業などの新たな分野への拡大を図ります。また、市場の拡大や買収資金にも使用するようです。
Eruditusの共同設立者でエグゼクティブ・ディレクターのChaitanya Kalipatnapu氏によると、同社は特にB to Bの分野で、新しい学習技術の買収を検討しているようです。また、中東、ヨーロッパ、ラテンアメリカにも進出したいと考えています。
11年前に設立されたEruditusは、プロフェッショナルを対象としたアップスキリング・プラットフォームを提供しており、ハーバード大学、ウォートン・スクール、インド経営大学、インド工科大学など、50以上の大学と提携して開発した250以上の学習プログラムを提供しています。現在米国、欧州、中国、ラテンアメリカに拠点を置き、14カ国で1,550人のチームを擁し、法人顧客向けに特化したコースを作成しています。ユーザーは世界80カ国に25万人以上いるようです。
同社によると、来年6月までに5億ドル以上の予約を達成する見込みです。
インドEdtech産業の傾向
Eruditusの今回の資金調達は、iD Techを2億ドルで買収したことに続くもので、EruditusはK-12(幼稚園から高校まで)の分野に進出しました。また、同社は少人数制のプライベートオンラインコースを提供していますが、このカテゴリーには最近、KnowledgeHutの買収によってライバルのUpGradが参入してきました。
その他、ここ数カ月では、Byju’sがGreat Learningを6億ドルで買収し、アップスキリングやリスキリングの分野に参入しており、Unacademyも、最近の資金調達の後、アップスキリング分野への参入を志しているようです。
昨年のコロナウイルスの流行によって一気に存在感を増したEdtechですが、その勢いは未だ衰えていません。世界中のどこにいても、時差も気にすることなく、有名大学や、名の知れた専門家の教育を受けることが出来るということが証明された今、教育の在り方は変わってくるのではないでしょうか?そしてEdtechが教育産業に与える影響もますます大きくなってくると予想ができます。
今回新たにユニコーンの仲間入りとなったEruditusは、Softbankが出資をしていることもあり今後も引き続き注目していきたいと思います。
※1 ユニコーン:評価額が10億ドルを超える未上場のスタートアップ
※2 Accel:米国のトップベンチャーキャピタル(https://www.accel.com/)
※3 Softbank Vision Fund 2:テクノロジー分野に特化した投資ファンド
※4 アンバンドリング:関連する二つ以上の商品やサービスを組み合わせ、ひとつのセットとして提供する販売手法
Eruditus:https://www.eruditus.com/
Source: Eruditusが今年23番目のインドユニコーン企業に
SoftbankがインドEdtechに大型出資