Vol.0116 インド2021-22年度第1四半期のGDP成長率20.1%の回復
インド・コロナ禍を超えて昨年比で成長
タイムズ・オブ・インディア紙によると、インドの4-6月期の経済成長率は、製造業や建設業が回復したことに加え、コロナウイルス感染拡大禍の中でも農業が堅調に推移したことにより、過去最高を記録したとのことです。
国家統計局(NSO)が発表したデータによると、2021-22年度の第1四半期である6月までの3ヵ月間のGDP成長率は20.1%増で、前年同期の24.4%減という記録的なマイナス成長から改善され、また、2021年1-3月期に記録した1.6%の成長を上回りました。
専門家によると、回復の勢いはあるものの、第1四半期の数字は、新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐためのロックダウンや規制の影響で失われた地盤を回復するまでには至っていないため、ある程度慎重に見守る必要があるということです。
過去数ヶ月間の一連の指標によると、いくつかの業界は大幅な回復を見せていますが、特に重要なサービス業など、一部の業界ではまだ完全な回復は見られません。
政府の経済政策が実を結びつつあるか
クリシュナムルチー・スブラマニアン首席経済顧問は「2021-22年第1四半期のデータは、V字回復が間近に迫っているという、政府が昨年同時期に作成した予測をあらためて確認するものでした。4月から5月にかけて新型コロナウイルスの深刻な第2波が発生したにもかかわらず、GDPが20.1%増加したことは、景気回復が続いていることを示しています」と発言しています。
スブラマニアン氏は、昨年から一貫して、ロックダウンがあっても経済はV字回復すると主張していました。また、6月期の数字は、政府が急激な回復を確信していることや、猛烈な感染拡大状況を背景に、成長を強化するための改革の追求が実を結んだことを裏付けるものと期待されています。
経済学者によると、インドは3四半期連続で前年同期比成長を達成した数少ない国のひとつであり、4-6月期に最も成長率の高かった国のひとつでもあります。
製造業は前年同期比49.6%増(前年同期は36%減)、建設業は68.3%増となりました。農業分野は、前年同期の3.5%の成長に対し、4.5%の成長となりました。
回復兆候、だが楽観は禁物
いくつかの指標は力強い回復の兆しを見せていますが、経済全体が感染拡大前の水準に追いつくにはまだ長い道のりがあります。
ICRAの主席経済研究者であるAditi Nayarは、6月の四半期における前年同期比での急激な拡大は分析上のミスリードであり、2020年度第4四半期比では16.9%の減速、コロナ禍前の2020年度第2四半期比では9.2%の縮小であると述べています。
この結果をもってして楽観はできないものの、一時期に比べてインド経済が回復兆候にあるとは言っていいかもしれません。