India Weekly Topics

週刊インドトピックス

Vol.0126 コロナ禍にも成長を見据えたインド・ホテルチェーンの大胆な開発戦略

多くのホテルチェーンが計画見直さず

インドのホテルチェーンは、新型コロナウイルスの感染状況が続いているにもかかわらず、今年の契約発表やホテル開業計画の見直しをまだ行っていないようです。

ジ・エコノミック・タイムズ紙の1月20日付の記事によると、同紙が取材したほとんどのホテルチェーンは、2022年の計画を進めており、新型コロナウイルスの第3波はまもなく終わると予想しています。

2000室増を見込むマリオット・インターナショナル

マリオット・インターナショナルの南アジア地域開発担当副社長Kiran Andicot氏は、同チェーンが今年インドで10~12軒、約2000室のホテルをオープンする見込みであることを明らかにしました。

同氏の発言によると、昨年2021年9月から18ヶ月の間に22の新規ホテル契約を締結し、傘下に2,700室以上の追加を計画中とのことです。

同社は有する傘下ホテルのブランド力、培った予約・マーケティングメソッド、世界最大のホテルプログラム「マリオット・ボンヴォイ」によるゲストのロイヤルティ向上など、様々なベネフィットによってより多くの既存ホテルオーナーと提携し、さらなるリゾート開発の活発化を視野に入れています。

他ホテルチェーンも積極的な戦略をうたう

Radisson Hotel Group

Radisson Blu、Radisson RED、Radisson Individualsなどの世界有数のホテルブランドを有するRadisson Hotel Groupのマネージングディレクター兼南アジアオペレーション担当副社長のZubin Saxena氏は、ゲストは旅行の予定を変更してはいるものの、今回の感染拡大状況に対する一般的な国民感情はかなりポジティブであり、同グループは3月に向けてより早い消費動向の回復を期待していると述べています。

同グループは2022年、ゴア、ポンディシェリー、クフリ、クンバガルなどでのホテル開業を予定しており、国内販路の強化を目指します。

さらに同社は、すでに高いサービス水準を持つ独立系ホテルへグループのノウハウと販売力を加えていくことで、ブランド傘下ホテルのさらなる拡大に重点を置いています。

インターコンチネンタルホテルズグループ

インターコンチネンタルホテルズグループ(IHG) Hotels & Resortsの南西アジア地区マネージング・ディレクターのSudeep Jain氏は、同社が展開するブランドHoliday InnとHoliday Inn Expressで、今年オープン予定のホテルが多数あることを明らかにしました。

IHGは、既存の独立系ホテルのオーナーがIHGチェーンとそのブランドの恩恵を享受できるよう、提携の機会を探っており、Jain氏は「インドでは、新しいホテルの計画は長い成長サイクルを持つ傾向があります。ホテルのオーナーはインドの観光とホテル・レジャー産業に強い見通しを持っており、我々はより多くのホテルと契約するために活発に話し合いを進めています。」と述べています。

Wyndham Hotels and Resorts

他にもインドに50以上のホテルを持つWyndham Hotels and Resortsは、アジア全体で拡大を続けることを目指して約30のホテルの開発計画を進めており、2022年はうち7つをジャイサルメール、シリグリ、ジャンムー・カトラ、コポリなどに計画通りにオープンを予定しています。

いずれのホテルチェーンも、コロナ禍に消極的にならず、積極的な成長戦略をとっているのが見て取れます。

業界コンサルタントのそれぞれの見解

ホテル・レジャー施設などのコンサルタント企業・HVS and ANAROCK社の南アジア担当社長Mandeep Lamba氏は、感染拡大状況が縮小し、旅行制限が解除されれば、国内旅行が力強く回復すると予想しており、「過去2回の感染拡大の波から学んだホテル経営者は、国内観光の大きな可能性を理解しています。インドのレジャー地や第2、第3の都市での存在感を拡大することに重きを置いて、将来に向けた拡張計画を継続しているところでしょう。」と述べています。

一方、ホテルアドバイザリー会社Noesis Capital Advisors社のCEOであるNandivardhan Jain氏は、銀行はホテル・レジャー部門を否定的に見ており、決算の段階に達したプロジェクトは進行するが、新規またはごく初期のプロジェクトは進行に問題があると現状を見ています。

前述のIHGのJain氏は、「開発初期段階にある一部のホテルプロジェクトは開発ペースが落ちているかもしれないが、新型コロナウイルスの感染拡大状況が安定すれば再び開発ペースはアップすると期待しています。」と付け加えました。

コロナ禍によって、ホテル・レジャー産業にとってはまだまだ逆境の中にあるとは言えそうですが、大手ホテルチェーンの数々はコロナ禍が明けた先を見据えた戦略に果敢に挑んでいることが分かります。コロナ禍後のホテル・レジャー産業の躍進がいかほどのものになるか楽しみなところです。

ソース:ホテル経営者はまだ今年の拡張計画をキャンセルしないでしょう