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【知らないとマズい】インド現地法人設立後に知っておきたいコンプライアンスとは?

インド現地法人設立後に知っておきたいコンプライアンスとは?

今回は”知らないとマズい!インド現地法人設立後に知っておきたいコンプライアンスとは?”というテーマで話していきます。

皆さん、インド現地法人を設立したあとって何をすればいいのって不安に思ったことはありませんか?

実は現地法人の設立は、それが終わってからこそ、やるべきことがたくさんあるので、そういった手続きやコンプライアンスについて正しく理解していないと、インド法人ができた後いきなり出鼻をくじかれる、なんてことにもなりかねません。

ただ今回の動画を見ていただくことで、インド現地法人を設立した後に遵守すべきコンプライアンスの全体像と、ついつい対応が遅れがち・忘れがちな手続きについて正しく理解できるようになります。

私は2014年に創業以降、200社以上の日本企業のインド進出を支援してきました。 その経験も踏まえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

今回お話しする内容はインドへのビジネス進出を検討している方にとって非常に重要な内容となります。 インド法人設立後に知っておくべきコンプライアンスはたくさんあるので、一つずつ解説していきたいと思います。

現地法人設立後に必要な手続きとは?

インド法人の設立後に必要な手続きについて解説します。

インド現地法人が設立されると、登録したEメールアドレスに対して会社設立証明書COIっていう書類がPDFデータで送られてくるんですけど、その時にインドの税務番号PANと源泉徴収番号TANも同時に発行されてCOIに記載されているはずなので確認してみてください。っていうかまた出てきましたね(笑)、インドあるある3文字単語。インドではむちゃくちゃよく出てきますので、単語の意味がよく分からないっていう人はぜひこちらをご覧ください。

さて、インド現地法人を設立したあとに対応すべき項目の全体像としてはこんな感じなんですが、

  1. 第1回取締役会の開催(設立後30日以内)
  2. 銀行口座の開設と出資金の送金
  3. 出資金送金証明書FIRCと出資者確認書類KYCの発行
  4. 第2回取締役会の開催と株式割当(設立後60日以内)
  5. 株式割当に関するRBIへの報告(FCGPR)
  6. 事業開始の届出Form 20Aによる登記(設立後180日以内)
  7. 株券の電子化
  8. 物品サービス税GSTの登録
  9. 輸出入コードIECの取得
  10.  店舗および施設法に基づく登録
  11. プロフェッショナル税の登録
  12. 創業費用の精算
  13. 源泉所得税TDSの納税準備

別の動画ですでに6番までは解説していますのでご興味のある方はまずそちらをご確認ください。

今回はついつい対応が遅れがち、忘れがちな、7番目以降の手続きについてひとつひとつ解説していきます。

株券の電子化

株券の電子化について解説します。

株券の電子化についてはもともと公開会社にだけ義務付けられていたんですけど、2023年10月27日に発表された法改正で、非公開会社にも適用されることになった新しいコンプライアンスですね。原則、2024年9月末までに株券を電子化してください、っていうスケジュール感になっていて、それ以降は株券の電子化がされていないと新株の発行(つまり増資)とか、株式の譲渡手続きができなくなることになるので注意が必要です。

ちなみに、株券を電子化するためには、インド証券取引委員会SEBIに正式に登録された金融機関を通じてDEMAT口座(いわゆる証券口座ですね)これを開設する必要があるんですけど、そのためには株主もPAN番号を取得したり、法人株主の場合いろんな書類・情報を出さないといけないので、早めに対応しておく必要があります。

物品サービス税(GST)の登録

物品サービス税GSTの登録について解説します。

GST Goods and Service Taxはインドの消費税にあたる税金なんですけど、現地法人を設立したあとに登録をする必要があるんですね。一般的に、GSTの登録のときに必要な情報・書類はこんな感じです。

州の管轄当局によっては別の情報や書類を求められる可能性もあるので、自社の登記住所が属する州ごとに最新の情報を確認して手続きを進めていくのが良いと思います。これらを提出して、アーダール番号によるオンラインでの認証手続きが終われば、GST登録申請が完了する流れになっています。

・法人のPAN番号
・取締役の本人確認情報(DIN番号、PAN番号、パスポート番号、アーダール番号、住所、メールアドレス、携帯番号など)
・定款MOAと附属定款AOA
・会社設立証明書COI
・銀行口座情報(キャンセル済小切手のコピー)
・オフィスの賃貸借契約書や電気代等の請求書
・取締役の写真

輸出入コード(IEC)の取得

輸出入コードIECの取得について解説します。

IEC Import Expord Codeは輸出入業務を行うために必要な番号です。必要な情報・書類はGSTと似ていてこんな感じですけども、申請先がDGFTというインド商工省の外国貿易部に対してオンラインで申請をする形です。あと、一度取得をしたあと登録した内容に変更がなかったとしても、毎年オンラインでその内容を確認して有効期間を更新をする必要があるので念のため確認してみてください。

・法人の基本情報(正式な商号名、設立登記日、CIN番号、PAN番号、GST番号など)
・取締役の本人確認情報(DIN番号、PAN番号、パスポート番号、アーダール番号、住所、メールアドレス、携帯番号など)
・銀行口座情報(キャンセル済小切手のコピー)
・オフィスの賃貸借契約書や電気代等の請求書
・支店の有無など

動画を見る

店舗および施設法の登録

店舗および施設法の登録について解説します。

これはThe Shops and Establishment Actという各州政府によって施行されている法律で、特に店舗やオフィス等の商業施設、レストランとかで雇用されている労働者の労働条件等が規定されてる労働法のひとつなんですけど、州によって営業を開始してから30日以内に登録をしなければならないっていうような規定になっています。これは州によって違うのでそもそも登録が必要かどうかも含めてですね、自社が登記している州の法律を確認してみてください。

プロフェッショナル税(PT )の登録

プロフェッショナル税の登録について解説します。

各州政府へ納税する地方税のひとつで、日本で言うところの事業所税に近いものでして、事業所として雇用主が納税する部分と、従業員から徴収をして納税する部分があります。

例えば、ベンガルールがあるカルナタカ州の場合は、事業所としては1年あたり2,500ルピーを納税し、従業員としては月給が25,000ルピー未満の従業員の場合は非課税、25,000ルピー以上の従業員は一律で1人当たり200ルピーを給与から徴収する形ですね。

これも州ごとに徴収すべき時期や納税のタイミングが異なるので、自社が登記している州の法律を確認してみてください。

創業費用(Preliminary Expense)の精算

創業費用(Preliminary Expense)の精算について解説します。

インド現地法人が設立されるまでの間に、日本の親会社が立て替えていた費用をインド月次法人に請求する場合、それらの立替費用を創業費用(Preliminary Expense)として日本本社に送金しますけど、この精算をする際にはいくつか注意点があります。 まず1つ目の注意点としては、インドでは全ての創業費用を税務上損金算入することができず、インド所得税法35D条に規定されているこのような項目のみ、損金に算入をすることができます。

①定款作成にかかる費用
②会社設立登記に関連する費用
③予備調査やプロジェクト報告書作成費用
④事業化可能性調査等に関連する市場調査費用
⑤事業開始に関連するエンジニアリングサービス

2つ目の注意点としては、これらの立替費用を創業費用としてインド国外に送金ができるのは、USD 100,000または払込済資本金の5%のいずれか高い方までと決められているので、それを超える金額を日本本社が立て替えて支払っている場合には全額を精算することができないので注意が必要です。

最後3つ目、これは注意点というよりは留意事項という程度ですけど、この創業費用については会計上と税務上で取り扱いが違うんですね。つまり、会計上は一括で費用計上をすることになるんですけど、税務上は最大5年間で均等償却をすることになるので、会計上の費用計上額と、税務上の損金計上額が一時的に異なる結果になります。

源泉所得税TDSの納税準備

さいごに、源泉所得税TDSの納税準備について解説します。

日本だと給与から天引きする源泉所得税以外ではそんなに源泉徴収しなければならない状況って多くは発生しないと思うんですけど、インドの場合いろいろなサービスの提供の対価として支払をする際に、インド所得税法に基づいて源泉所得税いわゆるTDSというものを源泉徴収して取引先に支払いをする必要あってですね、この徴収したTDSを翌月7日までに納税しなければならないというルールがあります。

例えば、給与だけじゃなくて、家賃や業務請負、仲介手数料、プロフェッショナルサービス、技術サービスなどサービスの性質によって、そして、支払先が法人か個人かなどによって適用される源泉税率や免税基準額がそれぞれ違うので、そもそも源泉徴収すべきかどうか、すべきだったらいくら源泉徴収して納税する必要があるのかとかをひとつひとつ確認をしていく必要があるんですね。なので、現地法人を設立したばかりでまだ事業が立ち上がっていない初期フェーズであっても、いろいろな支払は先行して発生していると思うので、TDS納税漏れや申告漏れが発生しないように注意が必要です。


ということで今回はインド法人設立後に知っておくべきコンプライアンスについて解説しました。

今回の動画をまとめますと、主に必要な手続きの中からつい対応が遅れがち、忘れがちな項目を7つご紹介しました。

  1. 第1回取締役会の開催(設立後30日以内)
  2. 銀行口座の開設と出資金の送金
  3. 出資金送金証明書FIRCと出資者確認書類KYCの発行
  4. 第2回取締役会の開催と株式割当(設立後60日以内)
  5. 株式割当に関するRBIへの報告(FCGPR)
  6. 事業開始の届出Form 20Aによる登記(設立後180日以内)
  7. 株券の電子化
  8. 物品サービス税GSTの登録
  9. 輸出入コードIECの取得
  10. 店舗および施設法に基づく登録
  11. プロフェッショナル税の登録
  12. 創業費用の精算
  13. 源泉所得税TDSの納税準備

これらを漏れなく遵守することで、インド現地法人の立ち上げと管理体制の構築・運営を円滑に進めることができます。

本日ご紹介した内容はほんの一例ですが、インドについて全く分からない方が現地でいきなりビジネスを行うのはとてもリスクが大きいと思います。

私たちGlobal Japanでは、インド現地の実務を深く理解した日本人メンバーが多くインドに常駐しており、インド進出に関するご相談を積極的に受け付けています。 インドの市場調査から現地法人の設立代行サポート、経理代行や雇用代行、労務管理にいたるまでを一気通貫でご支援可能です。インド進出についてご相談したい方は、ぜひお気軽にお問合せください。

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