【インドに移住?】海外事業展開・海外移住で南インドを選んだ3つの理由
海外事業展開・海外移住で南インドを選んだ3つの理由
今回は海外移住でインドを選んだ3つの理由というテーマで話していきます。
海外移住に興味はあるものの、生活環境も職場も急に変わるとなるとなかなか思いきれない、という人も多いですよね。
海外移住を考えている理由も人によっていろいろあると思います。海外の文化に興味がある、という人もいれば、日本だと給料が上がらない、どんどん円安がすすむ、どこか閉塞感を感じている、キャリアアップに限界を感じる、シンプルに環境を変えたい、などなど。
そんな海外生活に興味を持っているみなさんに、海外に移住をするメリットや、海外移住によって中長期的に広がる視野や可能性、そして、私自身の海外での起業経験についてお話することで、海外移住について一緒に考えるきっかけになればいいなと思ってます。さらに、なぜインドなのか?の具体的な理由とその魅力についても詳しくお話しします。
今回の動画を見ていただくことで、成長市場に身を置きながら、海外の人との交流から学んで、そして、ライバルの少ない環境で成功を掴むための秘訣について理解できるようになります。
私は2012年にインドに移住して依頼、200社以上の日本企業のインド進出を支援してきました。 その経験も踏まえて解説していきますので、海外移住や海外起業を考えている方はぜひ最後までご覧ください。
本題に入る前に、まずは日本の現状についてざっと整理しておきたいと思います。
海外移住よりももっともっと簡単にできるのは海外旅行ですよね。ただ、海外旅行に行く日本人も2019年には2,000万人を突破していましたが、2023年には半減して960万人にまで下がっているようです。もちろんコロナの影響で2020年以降減少しているのは理解できますけど、2023年になってもコロナ以前と比べてかなり激減しているというのが実態です。
そもそも、日本国内でパスポートを持っている人でさえ年々減ってきてきて2023年には17%にまで下がっています。日本のパスポートって世界最強なの皆さん知ってますか?イギリスのコンサルティング会社が発表している「ヘンリー・パスポート・インデックス」の2023年度のレポートによると、日本のパスポートは227ある国・地域のなかでなんと193カ国・地域にビザなしで行けるという世界ランキングナンバー1です。世界中の人が欲しがるこの世界最強パスポートを、日本人は6人に1人しか持っていないんです。ちなみに、2024年の最新ランキングでシンガポールが194カ国・地域に増えたのでついにナンバーワンの座を奪われてしまいました。
海外に行く日本人が減っているというのは、もちろん円安の影響も、言語障壁も、そもそもの日本の快適さも含めていろいろと理由はあると思いますが、中長期的な日本の成長を考えると日本人が日本のために日本を出るという視点も必要なのではないかと感じたりしています。
なぜ海外に移住したか?
それではまず、「なぜ海外に移住するのか?」という点について一緒に考えてみたいと思います。
理由①セルフブランディング
まず一つ目に考えられる理由は、セルフブランディングです。 私自身もそうだったんですが、自分のことを特別優秀ではなくむしろ平凡だと感じている方にとって、日本国内で自分自身を差別化したり、ましてや日本でナンバーワンになることは簡単ではないですよね。そんな中で、海外での経験を積むことは大きなアドバンテージになると考えています。私の場合は、インドに移住してから、もともとのバックグランドである会計に、インド英語とインド人起業家マインドが重ね合わさることで、結果的にインドで起業をするという選択肢に出会いました。このように、海外移住の経験を通じて、自分自身のセルフブランディングと同時に、それによって日本にいたとき以上に新しい人生の選択肢を広げることができます。
理由②思っているよりもきっと世界は広い
二つ目の理由は、思っているよりもきっと世界は広いということです。 日本にいると、どうしても狭い視野で物事を見がちで、海外に出て始めて気づくことも多いんですけど、日本の当たり前が世界ではむしろ異常なんだな、っていう感覚だったり、逆に日本を出たからこそ日本の凄さを知ることも結構多いんですよね。
例えば、2017年につくばエクスプレスが定刻よりも20秒早く出発してしまって乗客に対して謝罪をした、というニュースが海外でバズっていましたよね。むしろ電車やバスが5分、10分遅れるのなんか当たり前の海外からすると20秒早く出発しただけで謝罪をする日本がかなり異常に見えるのがわかります。また、寿司や伝統工芸の世界における職人の多さだったり、身近なところではマンガやアニメ、子供に持たせるキャラ弁までもそのクオリティが半端ないところとかも含めて細部にまでこだわるところは日本特有のすごい文化であると海外に出て始めて感じます。
一方で、例えば、日本と違って曖昧さを許容できて短期的な思考をする傾向にあるインド人は日々の生活やビジネスの進め方にもそのインドらしさが面白いぐらいに現れているので、日本では考えたことのない新しいアイデアや発見もあります。なので、世界にはまだまだ知らないことが多くあってですね、そもそも個人の成長って環境に大きく左右されるものだと思うので、海外に環境を変え、少しずつでも新しい経験・体験をすることで、自分自身の可能性をひらくことができます。
理由③外貨を稼ぐ力をつける
最後の理由は、外貨を稼ぐ力をつけるということです。 人口減少や高齢化、円安などいろいろな要素はあると思いますが、日本国内だけに依存をしていくことのリスクを感じ始めている人もいるように思います。こういったことを背景に最近はマレーシアやシンガポールなどに母子留学を検討されるご家庭も少しずつ増えているという話もちらほら聞きます。為替リスクを軽減することができるようになったり、グローバルな視点で日本を客観視できるようになったり、海外の人と物怖じせずにコミュニケーションが取れるようになることで、外貨を稼ぐ力をつけることができて、人生のリスクをコントロールできたり、人生の選択肢を増やしたり、より自由な人生を送ることができるようになります。
なぜインドなのか?
次に、「なぜインドなのか?」という点について私の視点から解説したいと思います。
理由①:成長市場に身を置くこと
まず一つ目の理由は、なんといっても成長市場に身を置くということです。 インドは、現在世界で最も急速に成長している国の一つです。平均年齢も約28歳と若く、乗用車の販売台数も2022年に日本を抜いて世界第3位になったように、特に中間層や富裕層の消費意欲がますます高まっているので、さまざまなビジネスチャンスが広がっています。
特に、インドはテック人材の宝庫でもあって、かつ、世界中の一流企業でリーダーシップを発揮するマネジメント人材の宝庫でもあります。例えば、GoogleのCEOであるサンダー・ピチャイ氏や、MicrosoftのCEOであるサティア・ナデラ氏などのIT企業トップだけでなく、シャネルやスタバなどのIT以外でもインド出身のCEOが多く存在します。
これらの超優秀なトップTierの人材と直接話す機会はなかなかありませんけども、成長市場に身を置いていると優秀なインド人材と直接接する機会が増えて、彼らがどのような競争社会で生きているのか、どのような価値観で仕事をしているのかに触れることは大きな刺激になります。生まれてから今まで、おそらく成長することしか知らないインド人と一緒に話していると、いつの間にか自分自身もこの上昇気流に乗ってとにかくポジティブなエネルギーを体で感じ続けられるのは自分のマインドセットにも大きな影響を与えます。
理由②:ライバルが少ないこと
二つ目の理由は、ライバルが少ないことです。 インド市場には、多くの可能性があるにもかかわらず、2023年10月時点で在留邦人の数は約8,000人程度とまだ少ないです。在留邦人が減り続けている中国でも10万人近くいますし、タイにも約70,000人です。これは、少なくとも日本人や日本企業向けのビジネス、また、日本に興味があるインド人向けビジネスも含めて、日本とインドの架け橋になれる人材がまだまだ少ないため、競争が比較的少ない環境でビジネスを展開できる可能性が高いことを意味します。
例えば、ここ数年で日本食レストランの数は少しずつ増えてきましたし、ラーメン屋を始めるインド人や、寿司屋を始める韓国人も出てきましたが、農林水産省の調査によるとタイ国内には5,000店舗以上の日本食レストランがあるそうですが、インド国内には400店舗程度しかなく、そもそも市場規模の違いを考慮してもとにかく圧倒的に数が少ない。南インドにはまだ日本人が経営する美容院も薬局もクリーニング屋もなければ、日本人向けフリーペーパーも月刊Chalo1つしかありません。他の新興市場と比べて、インドはまだ手つかずの領域も多く、先行者利益を得るチャンスが多い領域がたくさんあると思います。
理由③:生きている感覚
最後の理由はちょっと概念的な話になっちゃいますけど、でも海外に来てから強烈に感じているのが「生きている実感」です。 私が日本で仕事していたときは正直、何の不満・不自由もなく、生活も仕事も充実していたんですけど、ただただ、安定的な仕事があり、居心地のよい住環境やお金を出せばなんでも楽しめるエンターテイメントがあり、あらゆるものがすでに整備されている満たされた世界で、ただただ自分の時間とお金を消費しつづけているだけのような感覚になったことが何度もあって、自分の人生これで良いんだっけ?とどこかつまらなく感じてしまうこともよくありました。自分らしい人生を歩んでいる感覚や「生きてる感」が欠けているような感覚です。
ただ、インドに来てからは、生活や仕事における不便やリスクもたくさんありますけど、ただ、それを当たり前に受け入れているインド人の生き抜く力とか懐の大きさとか、インド人のポジティブなメンタリティに触れていると、日本に生まれて、恵まれて育った等身大の自分を俯瞰して見たときに、きっともっとできることはあるよなーと考えさせられました。
あと、日本ではおそらく実感することのない若者の失業率もインドでは問題になっています。国際労働機関ILOの最新の報告書によると、大学を卒業した人の失業率は29.1%と言われていて、優秀な人材であっても安定した仕事につけないケースも見られますし、インドの街中を歩いていると、「何をやっているのかよく分からない暇そうな人」もたくさん見かけます。
この成長市場において次々に新しいサービスや商品が生まれ、今まで買えなかったものが買えるようになったり、街がどんどん発展していく様子、そして、インド人が直面している社会課題や人生の厳しさなどを目の当たりにするだけでも、自分の中に生まれてくるいろんな感情の振り幅がほんとに大きくて、それが「生きているという実感」にもつながっているんじゃないかと思っています。
ちなみにインドでは、例えばタイや台湾にあるようなメイドインジャパンのブランド力も、日本に対する特別なリスペクトもないと考えておいた方が良いので、もし日本人がインドでビジネスをするのであれば、基本的にはインドに完全移住をして、現場でゼロイチで立ち上げるぐらいの覚悟や長期的なコミットメントは最低限必要かなと感じます。
なぜ南インドなのか?
最後に、「なぜ南インドなのか?」という点についても私の視点から話してみたいと思います。
理由①:チェンナイ・バンガロールの生活環境
まず一つ目の理由は、(北インドと比べたときの)チェンナイとバンガロールの生活環境です。 まず、南インドには北インドのような大気汚染も、40度を超える暑さや10度を下回る寒さもほとんどないので、住みやすいと思います。 その中で、チェンナイは40度超えることはなくても年中暑い亜熱帯気候なので好き嫌いはあると思いますが、海に面した港湾都市でかつイギリス統治時代の名残が今もなお残る歴史ある街です。温厚な気質のタミル人が多く、どこか南国のような落ち着いた雰囲気が特徴です。リラックスできるビーチリゾートもあるので、日本の忙しい都市生活から解放されるには良い場所です。
一方で、バンガロールはデカン高原の南に位置していて、年間を通じて高原気候が続き、非常に過ごしやすい街です。牛が神様とか言われてますけど、インド国内で唯一ステーキハウスが至るところにありますし、グジャラート州のようにレストランでお酒が飲めない州もあるのに、バンガロールではウイスキーの蒸溜所も、ワイナリーも、マイクロブリュワリーもあります。IT産業を中心に発展して、インド国内外から多種多様な人材が集まるコスモポリタン都市なので、外国人にとってとても住みやすい街です。
と、まーあえて良いところを頑張って褒めてみたんですが、総じていうとチェンナイもバンガロールも観光地やエンターテイメントはほとんどないので、決して楽しい場所ではないです。南インドを拠点にヨーロッパや中東、東南アジア、スリランカやモルディブなどいろいろな場所に旅行するには良い拠点だと思います。
理由②:インド人の地域的特徴
二つ目の理由は、インド人の地域的特徴です。 私は北インドに住んだことがないのであくまで出張ベースで出会ったインド人や、いろいろな人から聞いた話ではありますけど、北インドの人々はとにかくよく喋る人が多くて、自己主張が強くアグレッシブな人が多い印象です。一方、南インドの人々は比較的に温厚な人が多く、意外かもしれませんが会話をしていても空気を読んだり、むしろ寡黙な人さえもいます。
あとは、北インドはヒンディー語圏が多いので英語よりもヒンディー語を好む方も多くて、タクシーに乗っても英語が通じないケースは多いんですけど、南インドは例えばチェンナイはタミル語、バンガロールはカンナダ語、ハイデラバードはテルグ語といった感じで、州ごとにローカル言語が異なるのでインド人同士であっても英語で話すのが当たり前になっていて、タクシーの運転手にも英語が通じます。もちろん、極論「人による」というところはありますけど、この南インドの特徴は、英語が通じやすいという点も含めて日本人との相性が良いように感じています。
理由③:豊富なテック人材
最後の理由は、豊富なテック人材の存在です。 インドのシリコンバレーとも呼ばれるバンガロールは、特にテック人材が多く、新しいスタートアップが多く誕生しています。また、多くの外資系企業が、IT・エンジニアリング・研究開発という分野の機能を担うGCC(いわゆるグローバルケーパビリティセンター)を数多くバンガロールに設置していて、特に欧米系企業での業務経験がある優秀なテック人材が多いエリアです。
また、同じく南インドのハイデラバードも、多くのIT企業や製薬メーカー等が研究開発拠点を設置していて、バンガロールに次ぐIT都市として注目を集めています。JICAの円借款事業において日本政府との強いつながりがあるインド工科大学IITハイデラバード校もありますし、ここのキャンパス内にはスズキイノベーションセンターが設置されていて、日本の起業家精神を刺激してインドで意欲的な挑戦や新境地の開拓をサポートしています。
つまり、日本が中長期的に抱えていくであろう高度IT人材不足を考えたときに、バンガロールを中心とした南インドを自身の今後のキャリアやグローバルビジネス展開のハブと位置付けることは大きな意義があると感じています。
インドに移住する場合のビザの種類
それでは、最後にインドに移住する際のビザについて簡単に解説しておきたいと思います。 インドに移住をする場合のビザは主に3つです。
短期で移住する場合は
1、観光目的で取得する観光ビザを取得するのが一般的だと思います。
原則、滞在日数は最大60日です。インドに到着したときに空港でビザが取れるVisa on arrivalという制度も2016年からスタートしているので、比較的ビザは取りやすくなったと思います。ただ、もし長期で移住する場合は就労ビザかビジネスビザに分かれます。
2、就労ビザ(Employment Visa)は通常インドに駐在もしくはインド企業に就職をする場合に取得するビザになりますが、この就労ビザを取得するためには最低給与基準があってですね、年収1,625,000ルピー以上でなければビザが発給されないという規定があります(2024年7月現在の為替レートでざっくり年収300万円ぐらいですね)。就労ビザの場合は通常有効期限が2〜3年なんですけど、同じ会社で継続して勤務する場合はインド国内でそのままビザの更新ができます。一方で、もしインド国内で別の会社に転職をするようなケースだと一度日本に帰国をしてビザを取り直す必要があります。
3、あとは、インドで起業して取得するビジネスビザ(Business Visa)ですね。インドに出張で来るケースにもこのビジネスビザが発行されていて、原則、有効期限は最大5年なんですけど、あなたが個人の株主としてインドで起業して取得する場合にはビザの有効期限が1年しか発行されないケースもあります。
というのも、インド外務省の規定で、インドでベンチャービジネスの立ち上げを目的にビジネスビザを取得した人は、事業を立ち上げた日もしくはビジネスビザを取得した日いずれか早いタイミングから2年以内に、年間売上高1,000万ルピー(今のレートでざっくり年商1,900万円)を達成しないとビジネスビザの更新はしません、という規定があるので、毎年インドで立ち上げた会社の決算書を当局に提出した上で、ビザが更新できるかどうかを毎年審査される形になり、もし2年以内に売上目標を達成できなかった場合には、最悪、ビジネスビザが更新できなくなる可能性もあるので念のため注意が必要です。
さて、いかがでしたでしょうか? 本日ご紹介した内容はほんの一例ですが、インドについて全く分からない方が現地でいきなりビジネスを行うのはとてもリスクが大きいと思います。
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