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【知らなきゃ損】インドビジネスを成功させるための5つのポイント

インドビジネスを成功させるための5つのポイント

今回はインドビジネスが難しいと言われる理由TOP5について話してみたいと思います。

最近、海外に進出しようと考えている方から、インドでのビジネスに挑戦したいというご相談をよく受けます。一方で、「インドでのビジネスは難しい」という声もよく耳にするんですよね。インド駐在員が日本本社に対してよく言う口ぐせとして有名な「OKY(おまえ、ここに来て、やってみろ)」と叫びたくなる気持ちは、私自身インドに長く住んでいるからこそ本当によくわかります。

今回の動画を見ていただくことで、インドでのビジネスが難しいと言われている理由とOKYと叫びたくなるその背景にあるインド特有の難しさをクリアに理解できるようになります。もちろん、多くの課題には、自分でコントロールができることと、コントロールができないことはありますけども、事前にインド特有の難しさの本質を知っておき、インド特有の不確実性に対する心構えを合わせてもっておくだけでも皆さんのビジネスがインド市場で成功する確率がグッと高まります。

私は2014年に創業以降、200社以上の日本企業のインド進出を支援してきました。 その経験も踏まえて解説していきますので、ぜひ最後までご覧ください。

今回お話しする内容はインドへの進出を検討している方にとってはまず最初に知っておくべき基礎であり、かつ、とても重要な内容となります。 インドビジネスの難しさについて5つの観点に整理をして、事例とともにランキング形式で解説したいと思います。

第5位. スピード感(即決できるか)

まず第5位はスピード感です。 インドビジネスの成功には、スピード感がとても重要です。インド市場は基本的に競争が激しくて、インド国内外からもどんどん新しいプレイヤーが参入してきています。また、重要な案件であれば、商談の初期フェーズであっても経営陣トップがいきなり商談の場に出てくるケースも多いので、その場で決断をして、次のアクションを決める、というスピード感が求められることもあります。

例えば、新しい進出候補地の不動産関連の契約や企業との業務提携などを進める際には、即断即決ができないとその機会を逃してしまうことも多々起こります。日本本社に説明する書類を作成して、他の候補と比較検討している間に、他の競合他社に先を越されてしまいます。先日驚いたのは、あるインドの中堅財閥企業のトップから突然私の携帯に電話がかかってきてですね、「とある日系企業とビジネスがしたいから力を貸してほしい、会いに行ってもいいか?日時はそちらの都合に合わせる」っていきなり連絡があってですね、私は半信半疑で指定した時間にオフィスで待っていたのですが、なんと財閥企業トップ自らがデリーからわざわざ飛行機でバンガロールの弊社オフィスまで来ました。このスピード感についていくことは決して簡単ではないんですけど、インドのトップマネジメントのスピード感と行動力には本当に驚きました。

こうした体験から感じるのは、インドのトップマネジメントは、スピード感を持って動く権力者を信頼し、好意的に受け入れる傾向があります。即断即決できることで、信頼関係を築くことができ、結果としてビジネスの成功につながる可能性を高めることができるので、日本人駐在員に対してある程度の意思決定権限を持たせておくこと、場合によっては日本の経営陣自らがインドに乗り込む覚悟も重要です。

第4位 人脈(誰を知っているか)

第4位は人脈(誰を知っているか)という観点です。インド市場で成功するためには、正確でかつ最新の情報を収集することが不可欠です。

例えば、競合製品が今どのような機能を持ち、いくらぐらいで販売されているのか、インドの富裕層はどのような商品やサービスにお金を使っているか、今インドではどのような商品が人気で、それはどの地域で売れているのか、といった市場に関する情報もそうです。インドで頻繁に起こる法改正とかインドでビジネスをしていると定期的に訪れるピンチ、インド企業との提携などの重要な局面においてはスピード感を持って対応していく必要がありますけど、その業界事情に詳しい有識者や、場合によっては政府関係者やOB/OGから入手する非公式な情報が経営の意思決定に大きな影響を及ぼすことも少なくありません。先日、弊社内で重要なキーパーソンが退職をすることになってむちゃくちゃピンチになったんですが、昔からお世話になっている監査法人の代表に相談をしたら、その3日後に彼のネットワークから優秀な候補人材を見つけてきてくれて、面接をした結果、すぐに後任を見つけることができました。

普段から信頼できる情報源や人的ネットワークを確保しておいて、業界の相場感であったり、業界特有の裏事情などの情報収集や、困ったときに助け合える関係を構築しておけるかどうかがインド市場で成功するための鍵になります。

第3位 ハードな言語力(ロジカルに伝達できるか)

第3位はハードな言語力という観点です。
インド人との交渉はハードって言われたりしますけど、そもそもハイコンテクストな社会で生きている日本人にとって日本とは異なる文化・前提で生きているインド人とのコミュニケーションっていうのはかなりハードな言語力が求められます。

例えば、「明日までに日本本社に提出しないといけないんだけど、レポートの作成、明日までにできる?」っていう会話ひとつとっても、「レポート」の定義も、「明日」の定義も、「できる」の定義もすべてが違うんですよね。日本人が期待するレポートのレイアウト・体裁に整った形では出てこないですし、明日っていうと、インド時間の明日23:59までが明日の定義になるので日本時間の就業時間までに間に合わせようという感覚はもちろんありません。できるという定義もいったん自分なりにドラフトを作成してみる、という感じになるので、ドラフトを仕上げてから上司のレビューでOKが出るまでが「できる」という意味だよね、という理屈はまったく通用しません。

あと、経営者クラスのインド人は特に議論好きで、ほんとよく喋りますので、どうしても面倒くさいって感じてしまうかもしれないですけど、とことん付き合うことは大切です。相手から急に「お前はどう思うんだ?」って意見を求められることもたくさんありますし、今話しているトピックに対して真っ当な主張を自分の中で正しく持って、ロジカルに相手を説得できるだけの英語力・コミュニケーション能力が求められるので、リスニングだけじゃなく、ビジネスの現場で伝えたいことを相手に伝えるスピーキング能力もかなり鍛えられます。

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第2位 感情のコントロールと忍耐力

第2位は忍耐力という観点です。 もちろん「人による」ので全てのインド人がそうではないのですが、インドで生活をしたり、仕事をしたりしている中で必ずみなさんが体験するであろうインドが嫌になるパターンとしてよくあるのが、
① 問題発生の原因を別のところに持って行く「まさかの責任転嫁」と、
② 全く関係ない話を突然説明し始めて、論点がうやむやになる「突然の話題変更」 、
③ あくまで自分の非は認めずにとりあえずその問題を解決して結果的に問題が起きていなかったことにする「ちゃっかり問題隠し」
という3つのパターンがあります。

いずれの状況に直面をしたとしても、大きく深呼吸をして、イライラすることのないように感情をコントロールして、話が長くなりそうであれば途中でさえぎってでもちゃんと問題の本質に向き合う、冷静に論点をもとに戻す、粘り強く問題が起きたことを相手に認識してもらう必要があるので、ひとつひとつ対応していくにはかなりの忍耐力が必要になります。

この点においては、忍耐力とともにある種「人間力」も合わせてもっていないとインドではビジネスがうまくいかないように感じます。っていうのも、よく考えてみると先ほど説明した3パターンに代表されるインドの難しさって別に日本人だけが経験していることではなくて、インド人も同じような難しさに日々直面しているんですよね。でも多くのインド人を見ていると、インド人はちゃんと自分の機嫌を自分で取りながら、感情的にならずに相手にたんたんと説明して、粘り強く相手を説得しているシーンをよく見かけるので、そういう状況を目の当たりにしたときに、ついイライラしてしまう自分はまだまだだなーと思わされる瞬間が結構あってですね、自分の器や、自分の人間力を試されているような感覚にさえなるので、この忍耐力と人間力という点は日本人がインドでよく直面する課題だと思います。

第1位 否応なく発生する政府の規制

第1位は政府の規制という観点です。 インドでビジネスをする上で、おそらくこれが今日お話しする中でいちばんキツいところなんですけど、インド政府が突然、しかも、行き当たりばったり的に何かを規制したりするんですよね。

インド居住者の生活の観点では、2016年に突然発表された高額紙幣をその翌日からいきなり廃止してインド全土が混乱したり、2020年3月の強烈なインド全土ロックダウンが発表された時も、実質「翌日からいきなり21日間の外出禁止令」だったわけですけど、この時なんかは、インドの叙事詩「マハーバーラタ」のストーリーを引き合いに出してコロナとの戦いに21日で勝利するって言って強引に宣言していました。

あとインドに進出している日系企業のビジネスにおいてもいろいろな影響が出ています。例えば、2020年10月に冷媒封入済のエアコン輸入を経過措置なく即日禁止されたんですけど、その時は多くの空調機器メーカーがこれまで輸入していた完成品を、生産していたタイなどでいったん冷媒を抜いてから、インドに持ってきてまた冷媒を入れ直す、という作業を強いられるなどの影響が出ていましたし、2023年8月にはノートパソコンやタブレットなどのIT機器の輸入にライセンス取得を義務付ける制度が即日発効されて、IT機器業界で大騒ぎになったんですがその後いったん解除される、といった騒動もありました。最近では、インド標準規格局であるBISの規制が強化されて、IS準拠証明に基づくISマークの使用が突然義務付けられて、これまで輸入できていたものが輸入できなくなるなどの影響も出ています。

こういったことは、インドに進出している日系企業のサプライチェーンに大きな影響が出る可能性があるので、大きな課題になっています。もちろん自社でコントロールができるものではないので、法律に従うしかないという側面はあるんですけど、例えばMake in India政策や自立経済圏を掲げて製造業振興を目指すインドの政策の方向性なども見据えながら、自社のビジネスに影響を与えそうな規制の可能性がないかなど、を事業環境を敏感に把握した上で、最終的には自己責任で事業運営していけるかどうかという観点は大切です。


ということで、本日はインドビジネスが難しいと言われる理由TOP5についてお話しをいたしました。

  • 第5位 スピード感(即決できるか)
  • 第4位 人脈(誰を知っているか)
  • 第3位 言語力(ロジカルに伝達できるか)
  • 第2位 忍耐力(感情をコントロールできるか)
  • 第1位 否応なく発生する政府の規制

これらの理由をしっかり把握した上で、インドビジネスの立ち上げにおいて誰がインドに赴任をすべきか、どのような経営管理体制を構築すべきか、自社のビジネスにはどのようなビジネスパートナーが必要となるかをじっくりと検討することで、より地に足の着いたインド進出ができるようになると同時に、OKYと叫びたくなるインド駐在員の数を減らせるかもしれません。

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