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【知らなかったではマズい!?】日本人駐在員がインド赴任前に知っておくべきこと5選

日本人駐在員がインド赴任前に知っておくべきこと5選

今回は日本人駐在員がインド赴任前に知っておくべきこと5選というテーマで話をしていきます。

インドへの赴任が決まったばかりで何を準備すればよいのか不安を抱えている方、インド就職に興味があるけどどんな手続きが必要になるのか事前に知っておきたい、という方も多いですよね。そんな方のために、インド赴任経験者が「日本にいる間にこれやっておけばよかった」と実際に感じた情報をすべて集めてきましたので、それを5つの重要なポイントに整理をしてお伝えしたいと思います。

この動画を見ていただくことで、日本を出国する前にすべきことや、インド渡航直後からインドでの生活立ち上げ、仕事で必要となる基本的な情報までを網羅的に理解し、スムーズにインドでの新生活をスタートできるようになります。

日本出国までに対応しておくべきこと

日本人駐在員がインド赴任前に知っておくべきこと1つ目は、「日本出国までに対応しておくべきこと」です。

まずはビザの取得手続きが最優先です。最近はオンラインで電子ビザ(e-Visa)を申請できるようになりましたけど、駐在員として赴任する場合に必要となる就労ビザ(Employment Visa)の場合には、オンライン申請のe-Visaではなくインド大使館を通じた通常の申請方法でなきゃダメなのでなるべく早めに準備をしておきましょう。次に、インド渡航後の滞在先ホテルやアパートの手配、移動手段の確保をしておきましょう。駐在員のケースだと事前にインドに出張しておいてアパートの候補を内見しておき、ドライバー付レンタカーも合わせて日本出国まで契約を済ませてしまうケースも多いと思います。

次に予防接種です。在インド日本大使館が以前公表していた情報をもとに整理するとこんな感じで、ワクチンによっては一定の期間を空けて2回目・3回目を打つ必要があるものも多いので時間に余裕がある限り日本側で打っておきましょう。

あと、日本側で本人が手続きをしておくべきこととして「海外転出届」と「マイナンバーカードの返納」ですね。海外転出届は赴任予定日の14日前から受付してくれるはずですので、身分証明書とマイナンバーカードを持って住民票のある市区町村にインドへの転出届けを提出しておきましょう(まだマイナンバーカードを持っていない人は住民票の登録住所に届いている通知カードを返納する形になるはずです)。ちなみに、住民票が残ったままだと日本に住んでいないのにもかかわらず住民税が徴収されてしてしまう可能性があるので注意が必要です。

最後にSIMカードです。もちろんインドに赴任した後にSIMを買えばいいんですけど、インド到着直後にインドの空港でSIMの手続きをするのはかなりハードルが高いのと時間がかかる可能性も高いので、1週間程度使える使い捨てSIMを買っておくことをおすすめします。あと、例えば、楽天モバイルだと海外でもそのまま継続的に使えるのでむっちゃ便利です。Rakuten最強プランに入っていれば毎月2GBまで海外ローミング通信が無料で、それを超えても1GB当たり500円で利用できます。インド到着直後に利用できるのも楽ですし、インド駐在員は頻繁にタイやシンガポールに海外旅行に行くのでその時も楽天モバイルがそのまま使えて、現地SIMを買う必要がないのは楽ですよね。っていうのも、インドに住んでいると2〜3ヶ月ごとに旅行に行かないと精神がもたないからですね。あと、海外赴任をすると空港利用が増えると思いますので、プライオリティパスを持っていると空港のラウンジが利用できて便利です。

インド赴任直後に対応すべきこと

日本人駐在員がインド赴任前に知っておくべきこと2つ目は、「インド赴任直後に対応すべきこと」です。

次にインド赴任直後にすべきことについて解説していきたいと思います。
インドに到着してすぐにすべきことはこの5つで、この順番で手続きを進めていくことになります。
(1)SIMカードの取得
(2)FRROの登録
(3)PANの取得申請
(4)銀行口座の開設手続き
(5)生活必需アプリのインストール

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(1)SIMカードの取得

まずは現地SIMの確保ですね。会社が契約をする場合には事前に会社がSIMカードを準備しておくこともできますし、前任の駐在員から引き継ぐ場合は簡単ですが、ご自身で手続きをする場合はAirtelやJioなどの店舗に行って手続きをすることになります。ご自身で手続きをする際には、現地在住者の携帯番号が必要で、そこに飛んでくるOTPというワンタイムパスワードを使って登録手続きを進めていくことになるので、一緒に手続きに同行してくれる人を事前に確保しておくことをおすすめします。手続きが完了すると数時間でアクティベート・有効化されて使えるようになります。

(2)FRROの登録

次に、FRROの登録です。FRROはForeign Regional Registration Officeの略語でインド内務省の入国管理局当局に対する外国人登録です。インド滞在が180日を超える場合に、VISAの種類関係なく必ず登録しないといけないもので、入国した日から14日以内に申請を行う必要があります。期限を過ぎてしまうと、数万ルピー程度の罰金が課されるのでインドに赴任をしたらすぐに手続きを済ませておきましょう。手続きの内容としてはビザの申請時に提出した書類や情報に似ているのですが、居住地の証明書としてForm Cという書類をアパートのオーナーに発行してもらう必要もあるので、宿泊先のホテルやアパートのオーナーと事前にコミュニケーションを取っておくとスムーズです。

(3)PANの取得申請

3つ目はPANカードの取得申請です。これはParmanent Account Numberの略語でインドの税務番号が記載された個人IDカードのことです。このPAN番号に紐づいて銀行口座が開設されたり、給与からの源泉所得税が天引きされたり、年度末の確定申告を実施したりすることになります。ちなみに、PAN番号を取得するためには先ほどのFRROの登録が必要で、この次にご説明をする銀行口座を開設するためにはこのPAN番号が必要になるという仕組みになっています。

(4)銀行口座の開設手続き

4つ目は銀行口座の開設です。日系の金融機関は基本的に個人向けリテールバンキングはやっていないのでインド地場銀行もしくはその他外資系の銀行の口座を開設することになりますが、勤務先のインド現地法人が持つ法人口座と同じ金融機関を利用するケースが一般的だとは思います。銀行口座が開設できると、インドの電子決済システムであるUPIが使えるようになるので一気に生活が楽になります。ちなみに、この銀行口座についてはインドに到着してから口座開設が完了するまでに通常2〜3ヶ月ぐらいはかかるので、口座が開設できるまでは日本から持ち込んだ外貨をルピー札に換金をしたり、国際クレジットカードで支払をしたりしながらなんとかやりくりするケースも多いんですけど、この外国人旅行者向けのCheq UPIというアプリを使うとクジレットカードでチャージをしてプリペイド式でUPIを使うことができるので、口座ができるまでの期間に活用することをおすすめします。

(5)生活必需アプリのインストール

最後は生活必需アプリのインストールですね。口座開設までいくと一気にいろいろなアプリが使いやすくなります。これは住んでいる地域によって変わってくるかもしれないですけど、特に電子決済アプリ、モビリティ、デリバリー、生活インフラ系のアプリはぜひインストールしておいて損はないと思います。例えば、私が住んでいるバンガロールでは今こういったアプリを利用しています。

PaytmやPhonePe、Google Payなどの電子決済アプリは、自分の携帯番号と銀行口座を紐づけて利用することができるんですけど、レストランや屋台でもQRコードを読み取ってパスワードを入力するだけで支払が完了しますし、QRコードや携帯番号を相手に共有するだけで銀行口座に対して直接個人間送金ができるので、飲み会で割り勘する時もむちゃくちゃ便利です。

Uberやインド国産アプリのOla、まだ利用地域は限られていますけどEV専門のBluSmartあたりのモビリティ系のアプリはご滞在先の市内移動だけでなく、出張先・旅行先でも使えて便利なのでとりあえず入れておくと良いと思います。

さらにデリバリー系のアプリですね。EコマースのAmazonやFlipcart、フードデリバリーのSwiggyやZomato、生鮮食品デリバリーのLiciousやMeatigo、FreshtoHome、野菜デリバリーのGourmet GardenやDeep Rooted、乳製品デリバリーのAkshayaklpa、個人間のデリバリーであればDunzoなど、ほとんどのサービスが注文をした当日、遅くても翌朝には届きます。日本人向けに日本食材デリバリーサービスを提供しているMaindishはまだアプリはないですけど、海外では買いにくい薄切り肉であったり、冷凍のお刺身や日本米も買えるようになっています。

あとは生活インフラ系。清掃とか修理、美容、マッサージなどの出張サービスのUrban Companyや、オンライン診療やオンライン薬局として利用できる1mgなどのアプリを入れておくと便利だとと思います。少し余談にはなりますが、自宅から一番近い信頼できる病院や薬局がどこにあるか、また、医療通訳サービスなどを提供しているジャパニーズヘルプデスクというサービスもあるので、万が一の際にすぐに利用できるように基本的なライフラインになるような情報は念のため調べておくと良いと思います。

駐在員の給与・待遇パッケージの仕組み

日本人駐在員がインド赴任前に知っておくべきこと3つ目は「駐在員の給与・待遇パッケージの仕組み」です。

インドに駐在をする日本人は日本法人とインド現地法人それぞれから日本円とインドルピーの給与を受け取るケースが一般的です。税務リスクの観点から言うと、給与全額をインドルピーで受け取っておいた方が税務リスクを軽減できていいんですけど、そうはいっても日本に家族がいるので日本円が必要だったり、そもそも全額インドルピーで貰ってもさすがに困るわ、っていうケースがほとんどなので、各企業の海外勤務規定などのルールに基づいて給与を日本とインドに配分して支給しているわけですね。この配分割合をどうするのか、為替リスクは給与にどう反映されるのか、また、インドへの引っ越し費用や日本側の家財保管費用などの規定がどうなっているのかなど、インドに赴任する前に会社の規定を確認しておく必要があります。

インドへの赴任にあたっては一般的にこのような項目が検討されることになります。

海外赴任にあたって国を問わず共通する項目もあれば、こういった項目のようにインド特有の項目・予算が設定される項目もあると思います。会社の海外勤務規定や各項目の予算について事前に把握をした上でインドに赴任されることをおすすめいたします。

駐在員の社会保障の仕組み

日本人駐在員がインド赴任前に知っておくべきこと4つ目は、「駐在員の社会保障の仕組み」です。

インドで働く日本人駐在員は日本における社会保障(つまり、健康保険と厚生年金ですね)これに加入をしたまま、インドに赴任をするケースが一般的です。一方で、インドには日本のような国民皆保険制度はないのですが、Provident Fund(いわゆるPF)という厚生年金のような制度があります。日本人駐在員の場合には、日本の社会保障に加入し続けている限りにおいて、このインド側の社会保障制度については加入する必要はありません。っていうのも、2016年10月1日に発効された日印社会保障協定によって、日本とインドの両国で社会保険料を二重負担しなくてもよくなっています。ここで重要なポイントとしては、日本の社会保障に加入していることの証明書「適用証明書(Certificate of Coverage)」、正式名称としては「インドで就労する被用者のための日本国公的年金の適用に関する証明書」という書類をですね、日本年金機構から入手をして、インド側で保管しておく必要がありますので、インドに赴任する前にこの書類を準備しておくようにしましょう。ちなみにこの書類は、インド側でどこかに提出をしたりする必要はありません。

ちなみに、もしインドに赴任した後に病気や事故などによって医療費が発生した場合については、インド国内では日本の健康保険証を使うことができないので、いったんは全額自分で負担をするか、もしくは海外旅行傷害保険などに加入している場合にはそれを活用して医療費を支払うことになります。もし、自分で全額自己負担をした場合には日本に帰国した際、「海外療養費」として治療費を請求することができる点も覚えておくと良いと思います。この海外療養費の支払いは、日本で同様の治療を受けた場合の日本における医療費を基準・相場にして、海外療養費としての認定を受けた日の為替レートが適用された上で日本円で支給される形になります。あと、日本国内ではそもそも保険の適用ができない美容整形やインプラント等の医療行為や薬品の処方については、この海外療養費の対象外になると思いますので、詳しくは企業の人事部門や社会保険労務士などに確認をするのが良いと思います。

日本人とインド人の文化的価値観の違い

日本人駐在員がインド赴任前に知っておくべきこと最後5つ目は、「日本人とインド人の文化的価値観の違い」です。私がこれまで10年以上にわたってインド人の方と一緒に仕事をしてきた中で感じる、ぜひインド赴任前に特に知っておいていただきたい日本人とインド人の仕事における考え方・文化の違いはこの3つです。

(1)引き算思考が得意な日本人と、足し算思考が得意なインド人

まず、1つ目の「引き算思考が得意な日本人と、足し算思考が得意なインド人」についてですが、
インド人はあまり時間を守らない、っていう話はよく聞いたことがあると思うんですけど、これは足し算思考が得意なインド人だからこそ起こっている現象だと考えています。例えば、インド人でよく「2 minutes」って言うんですけど、これ日本語に訳すともちろん2分ということになりますけど、これ実際に2分という意味で使っているインド人はほとんどいないんですよね。要は「ちょっと待ってね」っていう感じなんですけど、2分経ったころに確認するとまた「2 minutes」って言われるわけですね、笑。で、結局実際には10〜15分ほど待たされることになります。あまり計画的ではなく、ゴールを見据えずとりあえずちょっと待ってね、とちょっとずつ足していく感覚が仕事のやり方にもよく現れています。よく言うと考えすぎずどんどん行動していく感じです。一方で、日本人は今やっている作業があとどれぐらいで終わりそうか、終わらせるためには何が必要かを考えて、事前に計画を立てます。ある種ゴールから逆算して2分かかりそうだと考えて、「2 minutes」と言う。そして、計画どおりに2分以内に終わらせようという意識がありますよね。この引き算思考が多くのインド人にはあまりない傾向がある、という点は知っておいた方が良いと思います。

(2)下が提案することを期待する日本人と、上が指示することを期待するインド人

次に、「下が提案をすることを期待する日本人と、上が指示をすることを期待するインド人」についてです。
これは、インドで社長という立場に初めてなった気づいたことなんですけど、良くも悪くも自分が指示をしたとおりに従業員は動いてくれるんですね。もし自分が的確に誤解を一切与えないような言い方でちゃんとスタッフに指示を出せていれば、きっとその通りに組織は動いていきます。ただ、自分の不十分な英語力のせいでおそらく60%ぐらいしか伝えたいことが伝わっていない可能性がありますし、日本人とインド人の文化や商習慣の違いのせいで60%ぐらいしか伝えたいことが伝わっていない可能性があります。60%かける60%、つまるところ36%しか伝わっていない可能性があるっていう危機感を持ってインド人とコミュニケーションを取っていく必要があると考えています。権力格差が大きいインドという社会において、トップがどれだけ的確な指示・コミュニケーションができるかが事業を大きく左右することになるので、これからインドに赴任をされる日本人駐在員の方は、インド現地法人で社長や取締役として赴任されるケースも多いので、この点をよく知った上でインド人との関係性を構築していただければと思います。

(3)仕事の期限を徹底的に守る日本人と、家族や健康を当然に優先するインド人

最後3つ目は「仕事の期限を徹底的に守る日本人と、家族や健康を当然に優先するインド人」ですね。
これも日本という国を出て初めて日本人のスゴさとある種の異常さを感じたところなんですけど、日本人は仕事における納期や目標に対してそれを達成しようとするコミットメントの高さが異常なほどに高いんですね。体調を崩そうが、外的要因で問題が発生しようが、納期や目標をなんとしても守ろうとします。ただ、ある種当たり前のことではあるんですけど、仕事がすべてではなく、自分の健康や、家族との時間も同じぐらい、もしくは、仕事以上に大切ですよね。インドに限らず、その他の国でも同様の傾向が見られるんですけど、インド人ひとりひとりの人生に対して、日本の基準や期待値を押し付けないようにすること、彼ら・彼女たちが優先していることを尊重しつつ業務の配分や指示をしていくことが大切だと感じています。

インドに赴任してインド人と一緒に仕事をしはじめた当初は、こういった考え方・文化の違いを理由に思わずイライラしてしまう状況に必ず直面すると思いますので、今日ご紹介したこの3つの文化の違いをぜひ思い出していただけると感情的になってしまいそうな自分を抑えて、少しはストレスを軽減できるのではないかと思います。ちなみに、この3つの文化の違いについてはこの分野における世界的権威で、オランダの社会心理学者へールト・ホフステード氏が開発したCWQアセスメントの6次元モデルにおいても、不確実性の回避、権力格差、達成志向という3つの次元においてこのような形で日本とインドの違いが明確にデータとして現れています。このホフステードの6次元モデルについてはまた別の動画で解説をしたいと思いますので、ぜひチャンネル登録をして公開までお待ちください。

皆さん、いかがでしたでしょうか?今回は、日本人駐在員がインド赴任前に知っておくべきこと5選についてご紹介しました。この動画が皆さんのインドでの新生活に少しでも役立てば幸いです。

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