【製造業がアツい!】インドで稼ぐ日本企業5社が急成長する理由を解説します
インドで稼ぐ日本企業5社が急成長する理由を解説します
今回はインドで活躍する日本の製造業5社を解説してみたいと思います。
多くのメディアがインドは今後もっとも有望な市場になると報道されていますけど、特に製造拠点としてのインドに注目が集まっています。高所得者層や中間層の拡大によって、これまでは購買決定要因が価格中心であったところから、より高い品質や機能を求めるインド人消費者がどんどん増えてきているんですよね。そのインドの経済成長の恩恵を受けているのは、地元企業だけでなく、すでにインドで大きなシェアを持っている日本企業にも同じことが言えます。そもそも、今インドに進出している日本企業の約5割が製造業になっていて、インドの製造業における日本企業のプレゼンスはむちゃくちゃ高いので、今回は、インドで活躍している日本の製造業5社について解説してみたいと思います。
スズキ (Suzuki Motor Corporation)
インドで活躍する日本の製造業1社目はスズキです。
スズキはインド政府との合弁で1980年にインドに参入していて40年以上の歴史があります。2022年度の連結売上高4兆6416億円の内、インドの売上高は、日本の売上高を上回って、全体の約39%を占めています。また、四輪の販売台数についても、全世界で約316万台を達成していますけど、インドでの販売台数は179万台に達していてグローバル全体の約56%を占めています。
また、2023年時点でインド国内の自動車市場においてもシェア1位と圧倒的な存在感を誇っていて、乗用車市場におけるインド国内シェアは約41.4%を占めています。スズキは、インド市場において幅広い製品ラインナップを展開していて、エントリーモデルの小型車からSUVに至るまで、さまざまな価格帯の車を販売しているんですけど、SUVの販売台数が2022年度の約20万台から、2023年度には約44万台にまで2倍以上に大きく伸びていることが確認できます。
インド国内にマネサール、グルガオン、グジャラート州と3箇所に主な製造拠点があってですね、インド国内および輸出向けに生産を行っています。2023年時点で、年間生産能力は約225万台となっていますが、今後、グジャラート州とハリアナ州に新工場を建設して、2030年度までに年間生産台数を400万台にまで引き上げる計画を進めています。
また、スズキは電気自動車(EV)の分野にも積極的に投資していて、初の電気SUV「eVX」の生産を2025年から開始する予定です。このEVは、最大550kmの航続距離を持つとされていて、2030年までにさらに6種類の電気自動車を投入して、総売上の60%をEVにするという計画です。グジャラート州の新工場では、EV生産に特化し、約3,200億ルピーを投資する予定のようですが、インドの不安定な電力供給や、充電ステーションの整備がどこまで早く進むかなど不透明な要素も多いので、今後、インド政府の政策も含めてEV業界における市場環境の動きが注目されます。
ダイキン(Daikin)
インドで活躍する日本の製造業2社目はダイキンです。
ダイキンは、世界のエアコン市場そしてインドのエアコン市場でシェア1位を誇る日本の大手メーカーです。
空調事業における2023年度の売上高4兆288億円のうち、海外売上比率は85%に達していて、そのうち、インドを含むアジアにおける売上高は4,552億円、売上高比率としては約11%程度ですが、インドに2010年頃から本格参入したダイキンは2024年3月期までに売上高が27倍に伸びていて、「インドの一大拠点化」を重点戦略の1つに掲げています。インド市場における圧倒的No.1の地位確立を目指して、2025年度までに売上高をインドだけで1750億円にする目標を掲げています。
インド国内のエアコンシェアはまだ10%以下とも言われるインドにおいて、急激な気温上昇と中産階級の拡大を背景に、エアコンの需要は急増していて、中国に次ぐ成長のフロンティアとして注目されています。そんな状況において、ダイキンは地方都市を含めた販売拡大とともに、新たに2023年8月に南インド・アンドラプラデシュ州のスリシティ工業団地に2箇所目の工場を稼働させていて、国内での年間生産能力を300万台に引き上げる計画です。ダイキンは、需要が急増しているインド国内市場のみならず、アフリカや中東への輸出も視野に入れていて、インドに進出して以来、成長を続けています。
あと、2024年には1,400億ルピーを追加投資して、スリシティでのコンプレッサー生産ラインをあらたに強化する予定です。この投資はインド政府の生産連動型インセンティブ(PLI)スキームに基づいていて、さらに部品の現地調達率を引き上げて、価格競争力を高めることを目指しています。
ユニ・チャーム(Unicharm)
インドで活躍する日本の製造業3社目はユニ・チャームです
ユニ・チャームは、子供用や介護用のおむつ、または生理用ナプキンなどで日本のシェア1位を誇り、アジア各国でもトップシェアを維持しています。2023年度における海外売上比率は66.5%、アジアでの売上は46.5%を占めています。
ユニ・チャームは現在、インド市場を急速に開拓しています。インドへの初参入は2008年頃ですが、当時のインドのオムツ市場は、再利用できる布おむつが99%以上、使い捨ての紙おむつは1%未満でした。インドでは紙おむつが贅沢品と見なされており、結婚式や旅行など布おむつを頻繁に変えられない時だけに使用されていました。しかし、経済成長とともに紙おむつの普及率は増加しており、現在は10%を超えていると言われています。そんな中で、マミーポコを販売するユニ・チャームは、パンパースを販売するP&Gを抜いて、2023年12月時点でベビー用の紙おむつ市場においてシェア1位になったと報じられています。
また、ユニ・チャームは2011年から生理用ナプキンの製造・販売を開始していますが、インドでは男女格差だけじゃなく「生理は不浄なもの」と見なされてきた経緯もあって、生理に対する理解があまり進んでいないという状況がありました。そんな中、ユニ・チャームは2013年からインド人に対する初潮教育や月経教育をスタートして、2024年6月時点でこれまでオンラインで63万5千人が講義を受講しています。さらに、2018年2月に公開されたヒンディー語映画「パッドマン」が一石を投じます。この映画は、ナプキンを購入する経済力が無い女性に対して、低価格のナプキン製造機を開発して、インド全土にナプキンを広めた社会企業家、アルナーチャラム・ムルガナンタム氏の実話をもとにした映画になっています。私もパッドマン観たんですけどむちゃくちゃ良い映画なのでまだ観ていない方はぜひ観てください。
ヤクルト社(Yakult Honsha Co., Ltd.)
インドで活躍する日本の製造業4社目はヤクルトです
ヤクルトは、世界的に知られている乳酸菌飲料の「ヤクルト」を製造・販売していて、日本を含む世界38か国で展開していて、健康食品市場において確固たる地位を築いています。販売本数で見ると、2022年度のデータで1日あたり4,254万本を販売しており、海外販売本数比率は約74%、海外売上高比率で見ると約45%です。
ヤクルトはヤクルト本社と仏ダノンの子会社ダノン・プロバイオティクスが折半出資する合弁会社として2005年にインド市場に参入して以来、デリー近郊の工場で製造を行っていて、インドの新興中産階級をターゲットに乳酸菌飲料の普及活動を続けてきました。インド人消費者に対して腸内環境の改善とか免疫力強化といった健康面でのメリットを訴求して、徐々に徐々に市場を拡大してきました。
販売方法については他の国と同様、インドでも「ヤクルトレディ」が家庭訪問販売を実施していて、インドの都市部を中心にヤクルトの認知度が広がってきています。実際に都心部ではどこのスーパーに行ってもヤクルトを見かけますし、高級ホテルのモーニングビュッフェでもヤクルトを見かけることがあります。一方で、海外全体のヤクルトレディ50,192人と比較をすると、インド国内のヤクルトレディは約300名程度なので、まだこれからという状況です。
また、2024年7月にはヤクルト初となる、インド市場に向けた新しいマンゴー味のヤクルトを発表しました。この新製品は、インドで最も人気のあるフルーツ、マンゴーを採用して低糖・低カロリーという健康の要素と同時に、フルーツの美味しさとの両立を図った新製品になっています。この新しいマンゴー味のヤクルトにもちゃんと「乳酸菌シロタ株」や「ビタミンD」や「ビタミンE」を配合した腸内健康促進効果をちゃんとうたっていて、現地インド人の健康志向の高まりと合わせて今後のますますの市場成長が期待されています。
亀田製菓(Kameda Seika Co., Ltd.)
インドで活躍する日本の製造業5社目は亀田製菓です。
亀田製菓は、日本を代表する米菓メーカーで、日本の主力商品はみなさんご存知のとおり「柿の種」や「ハッピーターン」など、日本国内外で幅広く親しまれている米菓子です。亀田製菓は米菓市場で日本国内トップシェアを持っていて、健康志向に合わせた商品開発を中心に、世界市場への事業展開にも積極的に取り組んでいて、ここ数年で海外売上が大きく拡大していて2024年3月時点で海外売上高比率は14.5%にまで上がってきています。ちなみに、代表取締役会長兼CEOのジュネジャレカラジュ氏はインド人で、日本本社の代表をインド人が務める数少ない日系企業の1社です。
インドへはバスマティ米のブランドであるDaawatのメーカーLT Foodsとの合弁会社としてインド市場に進出していて、2020年1月から「Kari Kari」というインド版の柿の種の販売を開始しています。
インド市場においては、米菓子(ライススナック)は比較的新しいカテゴリーで、インドでの事業拡大はまだまだこれからという状況なんですけど、インド人消費者の間で健康志向が高まっていることもあって、特に若年層や健康志向の高いインド人向けにライススナックのヘルシーさをアピールした積極的なプロモーションをおこなっています。「Kari Kari」は、チリガーリック、ワサビ、ソルト&ペッパー、スパイスマニアの4種類のフレーバーがあるんですけど、私個人的にも日本の柿の種よりもサイズが大きく、パンチが効いてるのでむちゃくちゃ好きで定期的に買っています。また、「Kari Kari」はインド市場のみならず、オーストラリアやUAEなどの海外市場への輸出もすでに開始していて、インドを起点としたグローバル展開も同時に強化されているので今後の事業展開が楽しみな企業の1社です。
さて、みなさんいかがでしたでしょうか?本日はインドで活躍している日本の製造業5社について解説いたしました。第3期モディ政権があらたにスタートし、さらなる製造業の振興、さらなる経済成長が期待されるインドにおいて、今後ますますインド人消費者の購買力も高まっていくものと思います。ぜひ今後御社の海外事業展開の参考にしていただければと思います。また、もしこのような動画を配信してほしいなどご要望があればぜひぜひコメント欄で教えていただけると嬉しく思います。