【駐在員事務所は設立するな!】コスト・リスクを最小限に抑えるインド進出の方法を3つ教えます!
コスト・リスクを最小限に抑えるインド進出の方法を3つ教えます!
本日はですね、失敗しないためのインド進出の方法論について、他社事例も踏まえて考察してみたいと思います。
最近はインド進出を検討される企業様が増えているんですけど、拠点立ち上げにこんなに時間がかかるとは思っていなかったとか、拠点の運営にこんなにコストがかかるとは思っていなかった、という声をよく聞きます。たしかに、インドは他国と比較してもただでさえ予定どおりに進まないことが多いのに、事業立ち上げ初期は特に対応すべきことが多すぎるんですよね。現地法人の設立手続きだけを見てもこれだけやるべきことがあって、法人登記までの手続きだけじゃなくて、設立後のコンプライアンスや登録義務・報告義務も多いので、事業が開始できる状態になるまでに6〜7ヶ月程度かかるケースが一般的です。
また、株主である日本法人やグループ会社側でもインドの税務番号PANを取得して、Dematアカウントを開設して、インド現地法人の株券を電子化する、という手続きも同時並行でやっていく必要があります。さらに、やっと事業開始の準備がととのったと思ったらさまざまなコンプライアンス対応や突発的な政府の規制、監査対応や税務リスク対策、税務調査対応、従業員との労務問題など、日々対応すべきバックオフィス業務やコンプラ対応に追われて、本業に集中できる環境をつくるのは至難の技です。
そこで今回の動画では、インド進出を検討されている企業様が本業に集中できる環境をいかにつくっていくべきか、という点にフォーカスをして、コスト・リスクを抑えてインドに進出をするための方法論について考察してみたいと思います。ちなみに、現地法人設立手続きや、設立後のコンプライアンス、株券の電子化についてそれぞれこちらの動画で詳しく解説していますので関心のある方はぜひ見てみてください。
インド進出形態の種別と典型パターン
まず最初に、インドに進出をする際によく検討される進出形態の種別について簡単にご説明しておきたいと思います。主にはここにある4つの進出形態の中から適切な法的主体を選択してインドに進出をすることになるんですけど、よくある典型的な流れとしては、まず最初は出張ベースでインドを視察して、まだ調査段階であればいったん駐在員事務所を設立、そして、本格的に進出をすることになれば現地法人を設立する、という形で段階的に拠点をアップグレードしていくっていうスタイルです。つまり、最初に設立する拠点(法的主体)として駐在員事務所を選択しようとされる企業様が割といらっしゃってですね、これは海外進出をする際の典型的なパターンなので、他の国でもこうやって進出しているからインドでもそうします、という企業様が結構多いんですけど、正直、インドにおいてこのスタイルはあまりおすすめしていません。
なぜ駐在員事務所はおすすめしないのか?
というのも、駐在員事務所は何かといろいろ面倒なんですよね。設立手続きにかなり時間がかかってしまうケースが散見されますし、設立してからのコンプライアンスも多く、毎月源泉税の納税や申告、年度末は会計監査を受けたり、年次活動報告書を金融機関や税務当局・警察署に提出したり、日本本社の決算書を英訳して、公証アポスティーユ認証を受けた上で決算登記をしなければならないなど、現地法人では求められないコンプライアンスも多くあります。駐在員事務所を設立する目的って、本来はフットワーク軽くインドの市場調査を実施しつつチャンスがあれば営業活動も並行してやっていきたいっていう感じだと思うんですけど、駐在員事務所だとそもそも法的に営業活動が禁止されているので、バックフォイスの負担が重すぎる割には活動範囲まで制限されてしまって柔軟性がないんですよね。さらに、現地法人にアップグレードするときには駐在員事務所をいったん閉鎖して、現地法人を別途立ち上げる形になるので、その手続きにまた多大な時間と労力がかかります。つまり、駐在員事務所を設立してしまうと、今後のインドへの事業展開をスピーディに進めていく上で大きな足かせになっちゃうんですよね。
なので、駐在員事務所での進出を検討されている企業には次の3つの選択肢をご提案するようにしています。
そこで、ここからはこの3つの選択肢のメリット・デメリットを比較しながら、特に3つ目の選択肢であるEORモデルについて解説していきたいと思います。
長期出張ベースの事業立ち上げの限界?
まず、3つの選択肢のメリット・デメリットをざっくり比較をするとこんな感じになります。
1つ目の長期出張ベースだと、コストやリスクは抑えられますけど、インド国内での活動にいろいろと制限がかかります。つまり、日印租税条約に規定される短期滞在者免除を活用して、1年間のインド滞在日数を182日以内に抑えながら出張を計画することになりますが、インド人材の直接雇用ができないので人材育成や組織づくりという点で制限がありますし、出張者はインド国内で事業上発生するルピー建の経費については都度日本本社に対して経費精算していく必要があります。出張者はルピー建口座を持てないので生活費用もなんとかやりくりしていく必要がありますし、当然家族帯同も難しい、ということになるので、事業活動も生活もいろいろと制限がかかって何かと面倒です。
現地法人設立の場合のボトルネックとは?
2つ目の選択肢である現地法人設立の場合は、コスト・リスクが高い一方で、インド国内の事業活動にほとんどん制限はなく、事業展開のさまざまな可能性を担保できるという意味では、理想的な選択肢です。一方で、法人設立となると、事業計画を作成しろとか、何年以内に黒字化するんだ、とかいろいろ言われて、日本本社での稟議・決済の難易度も高くなりますよね。事実、投資コストに加えてその後の管理・運営コスト、コンプライアンスや税務調査等の対応にかかる労力、万が一の撤退や法令違反・税務訴訟等によるリスクも高く、もう少し時間をかけて調査を実施したい企業様にとっては全体的にコスト・リスクが高すぎる上に、バックオフィス業務やコンプラ対応に時間が取られてしまって、本来集中すべき本業になかなか時間が割けなくなる、という事態に陥りがちです。
EORを活用して進出した他社事例を公開
そこで3つ目の選択肢としてEORを活用してインドに進出する、という方法をご提案しています。
これはEOR事業者との契約を締結して日本人をEOR事業者のインド現地法人に出向させたり、インド人材を代替雇用してもらうことで、インド側で発生するバックオフィス業務やコンプラ対応をEOR事業者に丸投げする形を取ります。つまり、コスト・リスクを抑えた形で本業に集中できる体制を構築して、じっくり時間をかけて市場調査をしたり、小さく事業検証を行ったりすることで、試験的にインドに進出をする方法です。
一方で、EORにはデメリットもあります。例えば、自社の現地法人を設立する場合と比べて、EOR事業者の現地法人名義ではビジネスができないという制限があったり、インド国内での活動内容や勤務体制、契約形態によっては日本本社の代理人PEと見なされるリスクがあるため注意が必要です。駐在員事務所のように営業活動自体が法的に禁止されているわけではないんですけど、例えば、個別企業に対する直接的かつ継続的な営業活動だったり、顧客企業との契約に関連した商談や価格交渉、契約締結にかかわる重要な業務に関与していたり、また、日本本社の利益に直接的に貢献するような活動を行なっている場合にはPE課税リスクが高くなる可能性があるわけですね。この点は、税務・労務管理の専門家であるEOR事業者や日本側の顧問弁護士・税理士にも確認をした上で、ご検討いただくのが良いと思います。
弊社関連会社INDIGILABでも、EOR事業者として多くの企業様のEOR活用をご支援をしておりまして、例えば、これまでこういった企業様の事例があります。
その他数多くの日系企業様もご検討されている状況ですので、ご興味のある方はぜひご遠慮なくお問い合わせをいただければと思います。
皆さん、いかがでしたでしょうか?今回は失敗しないためのインド進出の方法論について、その具体的なスキームやメリット・デメリット、そして他社事例についてご紹介しました。インド進出をご検討されている方はぜひ参考にしていただけると嬉しく思います。