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【高市×モディ政権】日本とインドが急接近!今がインド進出の“ラストチャンス”といえる理由を現地駐在員が解説!

本とインドが急接近!今がインド進出の“ラストチャンス”といえる理由を現地駐在員が解説!

今回はですね、高市政権の誕生によってインド進出の機運はどうなっていくのか?日系企業が今すぐ知るべき3つの好機と3のリスクというテーマで解説してみたいと思います。

先日ですね、自民党総裁に選出されて、ついに女性初の内閣総理大臣に選出された高市早苗総理の政策は、一言で言うならば「危機管理投資」、そのなかでも特に経済成長と技術立国を重視していて、「日本列島を、強く豊かに。」というスローガンを掲げています。特に、高市総理とインドのモディ首相は、ともに経済成長と技術革新を最重要視するリーダーとも言えるので、両者のビジョンには親和性がむちゃくちゃ高いことが指摘されていますけど、一方ですね、注意すべき対立構造の可能性についても知っておく必要があります。

そこで今回の動画では、高市政権の経済安全保障や先端技術への集中投資といった方針が、インド進出を検討されている企業様にとってどのような影響を与え得るのか、そして、なぜインド進出は今がラストチャンスなのかという点についても考察をしてみたいと思いますのでぜひ最後までご覧ください。

今がラストチャンス!?インド駐在員が知るべきインド進出の機運とインド経済の行方!

インド進出はこれまでにない最高の投資機会が訪れているとも言えますし、今がむしろラストチャンスとも言える時期に突入している可能性もあるのではないかと感じています。日経平均株価は一時5万円近くにまで上昇して過去最高を更新しているみたいですけど、帝国データバンクによると倒産件数もこの12年間で過去最高。日本の国内市場縮小や労働力不足、物価高などを含む厳しい経営環境の中で、すでに多くの中小企業が限界を迎えてはじめてます。

だからこそ今、まだ余裕のある企業こそが今のうちにですね、インドの市場や労働力獲得への足がかりをつくっておいて、近い将来、先行者利益を享受できるようにいかに準備をしておくか、という点でインドの重要度はますます高まってきています。

そしてさらに、今が最高の投資機会だと感じるもう1つの理由として、「日本列島を、強く豊かに。」というスローガンを掲げる高市政権と「自立した強いインド」というスローガンを掲げるモディ政権の政策は、高い次元で、お互いに整合している領域が多いんですよね。

「自立した強いインド」を目指すインドのモディ首相

なので、高市政権がどれぐらい続くかは分かりませんけど、日本企業としては今後、インド事業との関わりのなかで、日本とインドの政策的なサポートを得やすい極めて稀有な時期に突入する可能性も高いのではないかと見ています。経済安全保障の方向性もそうですし、技術立国戦略もそうですよね。自民党と日本維新の会の連立政権合意書にもスパイ防止法を含むインテリジェンス政策やエネルギー政策、食料安全保障政策に関する合意もありましたけど、日本とインドは今、お互いにAIや半導体、サイバーセキュリティなどの先端技術分野に積極的に投資をしようとしていますし、エネルギーや鉱物資源、食料自給なども含めて自立することを経済安全保障の柱にしています。

特にこれからAIがハードウェアに実装されていくロボティクスの時代も見据えると、日本の製鉄技術や製造全般の技術力はインドに対してもむちゃくちゃく大きなビジネスチャンスになり得ますし、インドにとっても重要なパートナーであり続ける可能性は高いと感じます。

モディ首相は2025年8月29日の日印首脳会談の中で、「日本は技術大国、インドは人的資源大国」であってこの両者が一緒に組めば21世紀の技術革命を主導できる」とまで表明しています。あと、モディ首相は安倍晋三元総理とむちゃくちゃ仲がよかったことは周知の事実ですけど、高市総理も安倍元総理の盟友であってかつ安倍政治の承継者とも言われているので、今後個人的な関係性も含めて日本とインドがさらに急接近する可能性にも期待ができます。

※日印首脳会談の内容については、こちらの記事(インド人材は“日本企業の救世主”か?日印首脳会談が示した未来の人材戦略)も是非ご覧ください。

それでは、まずここからは高市政権の政策が、なぜ日本企業のインド進出を加速させる可能性が高いのか?これについて、具体的な3つのポイントとして詳しく解説していきたいと思います。

サプライチェーン分散による製造業への追い風

まず1つ目はですね、サプライチェーンの分散・再構築です。

高市総理は経済安全保障を政策の柱に据えていて、重要物資のサプライチェーン強靱化を重視していますよね。これは、特定の国に対する過度な依存、つまり「中国依存からの脱却」を企業に求めていく方針なわけです。

この方針は、中国の影響を排除したサプライチェーン、いわゆる「ノンレッドサプライチェーン」の構築を目指すものですけど、インドが巨大消費市場であることや地政学的な重要性も相まってですね、日本企業がインドに生産拠点を移管していく動きはますます加速していくものと考えられます。実際、すでに日本政府はインドへの民間投資について、今後10年間で10兆円という新たな目標を設定しているので、日本の製造業各社にとっては、インド市場への長期的な投資やサプライチェーンの構築をこれまで以上に進めやすくなる環境整備が期待できます。

先端技術投資とR&D拠点設⽴の加速

2つ目は、先端技術分野におけるインドR&D拠点設⽴の加速です。

高市総理は「Beyond 5G」(つまり6G)やAI、サイバーセキュリティといった先端技術への集中投資と国際競争⼒の強化を公約に掲げています。一方で、インドは皆さんご存知の通り、優秀なIT⼈材の宝庫ですよね。日本国内のDX推進や人材不足を補うために、インドからIT人材や高度人材を今後5年間で5万人受け入れる、さらには双方向で50万人の日印人材交流を実現するという目標についても、すでに日印首脳会談で合意がされています。

日印首脳会談による、50万人の日印人材交流実現目標

さらにインド側も、R&D拠点を誘致するGCC(Global Capability Center)の政策を展開していて、人材育成費用やオフィス賃料の一部還付などの優遇策を打ち出しています。高市政権の先端技術への投資意欲と、インドの豊富なIT人材、そしてこういったGCC優遇政策などが組み合わされることで、日本企業によるインドでのグローバル開発拠点(GCC)の新規設⽴がますます増えていくのではないかと期待されます。日本企業がインドを活用したイノベーションの創出と同時に国際競争力を高めていくという戦略が、日本政府によって後押しされていくという構図ですね。

エネルギー安全保障を通じた協⼒強化

3つ目は、エネルギー安全保障を通じた協⼒強化です。

生成AIの活用やデータセンターにおける消費電力量がどんどんどんどん増えてきている中で、エネルギー安全保障はむちゃくちゃ重要なわけですね。

高市政権は、原発再稼働や次世代改革炉開発を含むエネルギー⾃給体制をとにかく強化しようとしています。これは、エネルギー安全保障とクリーンエネルギー推進を両立させるモディ政権の政策とも合致していると言えますよね。すでに、2017年に日本とインドとの間で原子⼒協定が発効していて、日本の原⼦⼒技術をインドの発電所建設に活⽤するという道が開かれているわけですけど、高市政権の下では、この既存の枠組みがさらに強化されて、エネルギー関連の日本企業にとってインド市場への技術供与や事業提携の機会がますます生まれるのではないかと期待されます。

さらに、核分裂が起こる原子力発電よりも安全かつより大きなエネルギーが得られる核融合のフュージョンエナジーの開発や、水素エネルギー、スマートグリッド技術とかのクリーンエネルギー分野でも、日本とインドとの間で共同研究や実証事業が促進される可能性があります。高市総理のエネルギー安全保障政策は、まさに日本が世界に誇る技術力を集結させる国家戦略として、日印関係をさらに強化する上で重要な要素になってくるものと期待しています。

【注意点】高市政権の「親インド」政策に潜む見過ごせない「3つのリスク」

さて、ここまで高市政権の政策が、いかに日本企業のインド進出にとって強烈な追い風となり得るか、というお話をしてきましたけど、こういった政策の裏側には、我々日本企業が注意すべき潜在的なリスクも存在します。日本企業がこの追い風を最大限に活かすためには、この光と影の両面をしっかりと認識しておく必要があるので、ここからは日本企業が注意すべき、高市政権とモディ政権の間で生じうる3つのリスクについて解説していきたいと思います。

ノンレッドサプライチェーン戦略の熱量のズレ

まず1つ目のリスクは、サプライチェーン再編の熱量のズレですね。

高市政権は「中国依存からの脱却」を強く求めていて、「ノンレッドサプライチェーン」の構築を政策の柱にしています。これは、冒頭お話をしたようにインドをその代替の生産拠点として活用する流れを強烈に後押しするわけなんですけど、一方で冷静に状況を見ていく必要性もありますよね。

つまり、インド太平洋の多くの国々にとっては、中国との安定した経済関係の維持は依然として重要であることに変わりはないので、対中依存という現実を短期的には変えられない、という現実もあるわけです。どれだけ高市政権が当時の安倍晋三元総理が提唱した「自由で開かれたインド太平洋戦略」や「中国・台湾依存からの脱却」路線を強く推進したとしても、インド政府が経済的な現実主義に基づいて中国とのバランスを重視すれば、戦略的な足並みが乱れて、期待通りにサプライチェーンの再編が進まない可能性もあるように思います。

高市総理の国内自律志向とインド人材受け入れのバランス

2つ目のリスクは、高市政権の国内自律志向とインド人材の受け入れのバランスです。

高市政権は国家としての自律性を重視するあまり、過度の国内回帰や外国人規制を強化していく可能性も指摘されています。今後10年間でインドに10兆円という新たな投資目標が設定されていますけど、国内ばかりに投資が集中してしまうと海外への投資にブレーキがかかってしまう可能性もありますし、インドからIT・高度人材を今後5年間で5万人受け入れるという目標に対しても、外国人移民規制によってインド人材の受け入れスキームの潮流に政策的なブレーキがかかったりしてしまう可能性もあります。

高市総理の国内自律志向とインド人材受け入れのバランス

なので、海外への投資においてどのような政策的支援を行なっていくのか、外国人材の受け入れについて排外主義にならないようにどのようなバランスを取っていくのか、こういった点については注視していきたいなーと考えています。

知的財産保護の意識の差

最後3つ目のリスクは、知的財産保護に関する意識の差、つまり規制環境と現場のギャップです。日本とインドの両政府がいくらハイレベルで経済協力を進めていったとしても、インド国内の現場レベルの課題は依然として残っているものと思います。

例えば、医療分野において、インドはジェネリック医薬品の製造を重視していて過度な価格競争が繰り広げられている中で、特許における係争・訴訟も多いという現実があります。日本が世界に誇る貴重な技術が、正当な対価を得られないまま供与されてしまうといったリスクについてもしっかりと保護していく必要がありますよね。

高市政権の技術立国戦略に対して、インド側の知的財産権の保護においてその制度や運用が追いつかなければ、政策の「追い風」とは裏腹に、現場の「悲惨な現実」を目の当たりにしてしまう可能性さえあります。

高市政権とモディ政権の親和性に期待をしながらも、こういった潜在的なリスクがあることを十分に理解した上で、企業様としては政策的な支援を積極的に活用しつつも、インフラや制度の未整備、文化の違いなど、インド特有の課題に対しての勉強や綿密なリスク対策を怠らな、こういった姿勢がむちゃくちゃ重要になってくるものと感じています。

 

さて、皆さん、いかがでしたでしょうか?今回は、高市政権の誕生によってインド進出の機運はどうなっていくのか?について解説してみました。インド進出に関心のある企業様はぜひ参考にしていただければと思います。そして、引き続き情報をキャッチアップしていきたいという人はぜひチャンネル登録もお願いをいたします。

本日ご紹介した内容はほんの一例ですが、こうした政策の流れを自社のインド戦略にどう組み込むかお悩みの企業様もいらっしゃると思います。私たちGlobal Japanでは、インド現地の実務を深く理解した日本人メンバーが多くインドに常駐しており、インド進出に関するご相談を積極的に受け付けています。

インドの市場調査から現地法人の設立代行サポート、経理代行や雇用代行、労務管理にいたるまでを一気通貫でご支援可能です。インド進出についてご相談したい方は、ぜひお気軽にお問合せください。

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