【新しい海外人材獲得戦略】低リスクで進めるインド人材獲得のEOR徹底活用術!
今回はですね、 日本企業の海外人材獲得とグローバル展開の鍵を握る、EORの活用方法について徹底解説したいと思います。
日本は少子高齢化や国内市場の縮小が言われて久しいですけど、労働人口の減少は特に深刻ですよね。IT業界や建設業界、ホスピタリティ業界などで慢性的な人手不足が顕著になってきています。
今回の動画を見ていただくことで、なぜ今、日本企業が海外、特にインドの優秀な人材を現地法人なしで、低コスト・低リスクで獲得できるようになったのか、その具体的な方法論と、それによって日本企業がどのように事業を立て直していけるのか、そのヒントまで詳しく解説をしていきますので、ぜひ最後までご覧ください。
※EORに関しては、こちらの記事(EOR活用と企業の対策とは?)もご覧ください。
低リスクで進めるインド人材獲得のEOR徹底活用術!
日本国内の経営環境がますます厳しくなっていく中で、海外でビジネスを展開すること、そして海外人材を活用することはこれまで以上に重要になっています。まずは、なぜ今海外人材の獲得が必要なのか、その背景から見ていきたいと思います。
需要が高まるインド人材と日本企業の課題
まず、周知の事実として、日本の国内市場は縮小傾向にあって、労働人口も年々80万〜100万人ぐらい減っている、むちゃくちゃ厳しい状況が続いていますよね。今、日本企業が海外進出、その中でも特にインドを目指すべき理由、それは主に3つあります。
1つ目は市場の観点。国内市場が縮小していく中で、圧倒的な成長市場であるインドに新たな事業機会を見出す必要があるからです。
2つ目は労働力の観点。日本は労働力不足が深刻化していて、ITリテラシーの高い若いインド人材を採用することが、DXやグローバル化を推進する上で不可欠になってきています。
そして3つ目が人事戦略の観点。世界中にフットプリントを持つインド人を仲間にすることで、インドをハブに、最初からグローバル市場を見据えた事業展開の可能性が拓けるからです。
そして、世界的なトレンドとして、海外人材の流動性はますます高まっていて、国境を超えて人材を獲得するというのはかなり一般的になってきています。例えば、アメリカ企業がリモートでフィリピン人やアルゼンチン人、インド人を雇って仕事をするのはもはや当たり前になってきているわけですね、そして、この流動性の背景にあるのが、何と言ってもコロナ以降のリモートワークの普及にあります。
従来の海外進出が抱える壁
では、なぜ日本企業は海外人材の獲得や海外進出が遅れているのか、についてあらためて整理しておくと、
まず1つ目は、なんといっても言葉の壁ですよね。日本人は英語に対する苦手意識がとにかく強いですよね、これ半分は単なる思い込みだと思っています。っていうのも、逆にいうと苦手意識が強いだけで、Slackやメールをつかった読み書きベースでの日本人の英語力はむしろむちゃくちゃ高いのが事実です。ここはぜひ苦手意識を克服して、ガンガン海外に打って出てほしいですね。
そして2つ目が、「海外に進出するなら現地法人を設立するべきだ」というこれも思い込みが、いまだに根強くあることです。
実際、現地法人を設立して事業を立ち上げていこうとすると、時間もコストもむちゃくちゃかかります。例えば、インドでは現地法人ができてちゃんと事業をスタートできる状態になるまでに最低でも半年、長い場合は1年以上かかることもあります。そもそも、事業計画を作成して、社内で役員決済をとって、現地法人を設立するという最終意思決定ができるまでにも半年から1年かかってしまうこともざらですよね。
さらに、一度、現地法人を設立してしまうと、経理や税務申告、会計監査、給与計算から労務管理にいたるまで、さまざまなコンプライアンス対応が求められて、駐在員にかなりの負荷がかかってしまうので、本来集中すべき事業の立ち上げに時間が割けなくなってしまって本末転倒、こういった状況になっている企業が後をたちません。
また、従来の海外進出には、
- 市場理解にかかる時間と労力
- 複雑な法規制リスク
- 文化的な違いによるチームづくりの問題
こういった3つのリスクがつきものですけど、インドは特に難しいとよく言われます。そこで、ここからは、こういったインドに立ちはだかる壁、コストとリスクをどのようにして軽減すべきかを解説していきたいと思います。
現地法人なしで海外進出する「EOR」という新たな形
従来の「現地法人設立」という大きな壁、そして「3つのリスク」を乗り越えるための新たな戦略が、EOR(Employer of Record)の活用です。
EORは日本語で言うと「記録上の雇用主」という意味になりますけど、これは、海外現地国の給与計算や労務管理・税務対応、そして、チームづくりも含めたバックオフィス業務を専門機能として持つEOR事業者が、日本企業の代わりに法的な雇用主となって、その国の拠点運営やコンプライアンス対応を代行するものです。
弊社関連会社INDIGITALでも、インド専門のEOR導入支援をご提供しています。EORを活用することの最大のメリットは、日本企業は現地法人を設立することなく現地の海外人材をリモートで獲得して、低コスト・低リスクで海外に進出ができるという点にあります。
例えば、INDIGITALのEORサービスを活用すればざっくりインド現地法人を設立する場合と比べても半分以下のコストでインドに進出ができますし、かつ、通常は半年から1年かかるインド進出も、2〜3ヶ月で実現できるので進出にかかる工数・労力を大幅に短縮することもできます。もちろん、弊社で人材採用から、代替雇用、そして、法人設立手続きの代行および拠点・事業の立ち上げにいたるまで一気通貫で伴走支援できますので、例えば、まずはEORでエンジニアを数人採用して、試験的に開発がうまくいくかどうかの機能実証をして、もしうまくいけば現地法人をつくってチームを子会社に全員転籍させることで、インド進出を着実かつシームレスに進めていくことができます。
EORを活用することによって、これまで海外進出に対する障壁になっていた大きな初期投資や複雑な手続きが一気に簡素化されて、中小企業やスタートアップ企業でも、「それなら行ける」ということで海外進出の可能性が広がってきたわけですね。
EOR活用の実践と事例
では、実際にEORを活用してインド人材をリモートで採用されたり、すでにEORを活用してインド進出を実現された具体的な事例をご紹介していきたいと思います。これまで弊社でも数十社以上の日系企業様のEOR活用をご支援してきましたけど、大きく分けると7つぐらいのパターンに大別できます。
インド国内顧客向けカスタマーサポート機能としてインド人を複数名雇用されているケースですとか、GCC拠点の立ち上げとしてインド人エンジニアを採用されるケース。また、ソフトウェア開発拠点の立ち上げとしてインド人エンジニアを採用されたケース。日系スタートアップ企業様でインド事業立ち上げ責任者として日本人自らが出向者として1名インドに赴任され、弊社がその出向者を受け入れさせていただいているケースもあります。最近では、日本の大手地銀様がインド市場調査やコンサルティングサービスの開発を目的に日本人出向者をインドに派遣するケースも出てきており、ここに記載している事例以外でもさまざまな新しい活用方法も生まれつつあります。
EORのメリットは、これまでご説明をしてきた低コスト・低リスクでインドに進出ができる、という経営の守りの観点ももちろんあるんですけど、それ以上に、経営の攻めの観点でもインド国内に人が常駐をしていることの意味はむちゃくちゃ大きいんですよね。
PE課税などの税務リスクには配慮が必要ですけど、インドの市場調査やインド国内におけるネットワーキング、マーケティング、カスタマーサポートなどの活動において、日本からの出張ベースではなく、インド国内に自社のサービスやプロダクトを理解している人材が常駐していることで、御社の存在感を圧倒的にアピールできますし、ビジネスの機会を引き寄せたり、人が常駐していなかったことによる機会損失をなくすことにもつながります。
EOR利用時の注意点と文化的な橋渡し
最後に、EORを活用する際の注意点についても解説しておきたいと思います。
PE課税リスクについて
一つは、EORを通じて雇用したとしても、その活動内容によってはPE課税リスクが発生する可能性があることです。PEっていうのはParmanent Establishmentの略語で日本語では恒久的施設って言ったりしますけど、例えば、企業様がEORでインド人トップ営業マンを採用して、インド国内でインド企業からプロジェクトを受注したりすると、その売上は企業様の日本法人に計上されますよね。つまり、インド人がインドで仕事をしたことによって稼いだ利益が日本にしか落ちないので、それに対する税金が一切インドには落ちない仕組みになっちゃいますよね?それはけしからん、ということでインドの税務当局がこのインド人トップ営業マンを「代理人PE」であると認定して、日本の事業所得に対して課税権を主張してくる、いわゆるPEに帰属する所得に対しては課税しますよ、これがPE課税、というわけです。なので、EORを検討する場合には、インド国内でどのような活動をするのか、あるいはすべきではないのか、事前に弊社のようなインドの税務に詳しいEOR事業者にご相談されることをお勧めいたします。
※PE課税に関しては、こちらの記事(インドへの出張者に対するPE認定リスクについて)も是非ご覧ください。
日印チーム作りにおける文化理解について
次に、チームづくりに対する工夫です。リモートで一緒に仕事をするからこそ、文化の違いをちゃんと理解をした上でどのようによい良いチームをつくっていくか、どのように日印チームでコミュニケーションを取っていくか、はますます重要になってきています。
インドは多様性の国だとよく言われますけど、時間や期限に対する感覚、仕事とプライベートのバランスなど、やっぱり全然違うんですよね。例えば、インド人は不確実な状況を怖がらずに許容してスピーディーに行動に移そうとする傾向があるのに対し、日本人は世界的に見ても異常なほどにとにかくそれを回避したいと考える傾向が強いです。また、インド人は家族の事情や健康状態によっては仕事を後回しにすることに抵抗を感じない傾向がありますが、日本人はプライベートを犠牲にしてでも納期や目標達成へのコミットメントが異常に高い傾向がありますよね。
弊社ではこのEOR事業者こそが、この文化的な架け橋として機能をしていくことが重要だと考えていまして、日印のすれ違いをなくすための文化知性CQ、つまり、文化的な背景が違う人たちと一緒に仕事をして成果を出せる力を身につけていただけるよう、さまざまな研修やワークショップを企画することで、日本人とインド人のより良いチームづくりに貢献したいと考えています。
先日、弊社関連会社INDIGITALでまさにそのワークショップを開催したばかりなんですけど、むちゃくちゃ好評だったのでぜひまた企画をしたいなーと考えています。
もしご興味ある方は、ワークショップの開催報告記事もぜひご覧ください。また、御社のチームづくりのためのワークショップを個別にご提案することも可能です。例えば、1年に1回の全社集会に組み込んでいただいて、インド人従業員全員のエンゲージメントを高めていただく機会としたり、役員会議のひとつのトピックとして設定いただいてインド事業を担うチームに向けたリーダーシップ研修としてご提案をすることも可能です。
さて、皆さん、いかがでしたでしょうか?今回の動画では、日本企業の海外人材獲得とグローバル展開の鍵を握る、EORの活用方法について解説してみました。ぜひインド進出の際の参考にしていただければと思います。そして、引き続き情報をキャッチアップしていきたいという人はぜひぜひチャンネル登録をお願いいたします。
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