Vol.0030 トヨタ、インドでカーリース・短期契約サービスを開始。低迷する自動車産業に新風を吹き込むことになるか?
コロナ禍の需要拡大を見込んだサービス発表
インド大手経済メディアのThe Times of India社の2020年8 月19日付報道によると、トヨタのインド法人であるToyota Kirloskar Motor(トヨタ・キルロスカ・モーター / 以下“TKM”という)は新型コロナウイルスの蔓延により自家用車の需要が高まることを見込み、車両のリースとサブスクリプションサービスを発表しました。まずはデリー首都圏、バンガロール、ムンバイの主要都市でサービスを開始し、1年以内にサービスの提供を10拠点まで増やす計画をしているようです。
TKMは、トヨタファイナンシャルサービス、ALDオートモーティブ・インド、そして住友三井オートサービスのグループ会社であるSMASオートリーシング・インディアの下で2018年11月に日本でサービスを開始した既存ブランドの『KINTO』と提携すると報道されています。
今回の新サービスによって、3年~5年の間月々の契約料を払うことで、好きな時に好きな車を利用することができるようになり、また、24ヶ月~48ヶ月の短期契約であるサブスクリプションプランもあります。サービス対象の車両にはGlanza、Yaris、Innova、Crysta、Fortuner、そして間もなく発売開始となるUrban Cruiser(アーバンクルーザー)などがあります。
自動車販売の落ち込みと配車サービス利用控えは後押しとなるか
インド自動車工業会(SIAM:Society of Indian Automobile Manufacturers)によると2019年度のインド国内販売は前年比17.9%減の大幅な落ち込みで5年ぶりの前年割れとなりました。原因として考えられるのは経済全般の不景気の長期化、金融セクターの信用不安露呈による金融機関の貸し渋り、今年4月より適用された新排ガス基準である『BS6(Bharat Stage 6)』に伴う現行モデルの在庫調整などがあります。
またインド政府はEV車の開発を推奨しており、各企業は製品開発コストの負担が不可避な状況でもあります。そんな中、追い打ちをかけるかのようにインドでは今年3月下旬より新型コロナウイルスの蔓延に対応しロックダウンを開始し、今年は去年以上に自動車業界にとって厳しい年となっています。
ロックダウンが解除されてからUber、Olaなどの配車サービスも再開していますが、ソーシャルディスタンスを確保するために乗車人数に制限があること、国民自身が感染を危惧していることなどから、配車サービス、相乗りサービスの需要は大幅に減っているようです。実際にプレコロナでは配車予約に30分以上かかっている地域もありましたが、現在ではドライバーが余っている状態で予約後、数分以内に配車マッチングが成立します。
今回のTKMの新しい動きは、これまで自家用車購入はハードルが高く踏み切ることのできなかった層にとっては嬉しいサービスだと思います。国民の配車サービスに対する不安感も後押しとなり、いい方向に進んでくれることを期待しています。
Source:
トヨタ、インドでのリース、サブスクリプションサービスを開始
インド、2019年の自動車販売、前年比17.9%の大幅減