Vol.0053 コロナ禍で存在感を増したフードテックは今後どうなるのだろうか
インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2020年11 月27日付けの報道で、近年のフードテック界隈の変化と、今後の見通しについて語っています。
テクノロジーの進歩は私たちの生活をより豊かに、便利なものにしてきました。これは食品産業においても例外ではありません。例えば、ここ数年フードデリバリー業界の動きが活発になってきており、オンラインでボタンひとつクリックするだけで美味しい食事が自宅に届けられるようになりました。オンライン注文では実際に店舗で食事するよりも割高になりますが、消費者はその余剰コストよりも利便性に魅力を感じています。実際にインドでは多くのフードテック新興企業が現れ利益を伸ばしています。利便性に加え、健康や環境問題に気を遣う人が増えている中で、フードテックの革新はそのニーズに応えることを可能にしてきました。忙しいワークスケジュールに追われている消費者、特にミレニアル世代はヘルシーかつ簡単に手に入る食品を求める人が多くみられます。フードテックは、そのような消費者にとって好みや、その日のカロリー摂取量に合わせた食品を簡単に検索し注文することを可能にしました。
また、今年一番の社会問題となっている新型コロナウイルスのパンデミックによって人々はフードテックの必要性とその存在感をさらに感じるようになりました。現在、インド国内のほとんどのレストランでは不要な接触を避けるためQRメニューを導入しており、決済時もコードをスキャンすることで携帯の画面上に請求書が表示されそのままオンライン決済ができます。コロナ対策として導入された手段ではありますが、実際に利用すると安全面に加え、決済のスムーズさや、見たい時に即時にメニューを確認できる点など、その利便性も体感することが出来ます。インドは日本ほど飲食業においてホスピタリティを重要視していないため、テクノロジー導入による効率化やサービスの向上は顧客にとって満足度を高める第一の要素かもしれません。
さらにAIが統合されたスマートカメラ技術を活用することで厨房での食品の無駄遣いや、従業員の制服の着用有無などを感知することが出来ます。コロナ渦でこれまで以上に安全面を考慮されるようになったことで、テクノロジーの統合が加速してきており、今後もこの傾向は続くと考えられています。Googleとボストン・コンサルティング・グループ(BCG)の最近のレポートによるとフードテック部門は2022年までに25~30%のCAGR(※1)で80億ドル(約8320億円)に成長すると推定されており、これからのフードテック産業のさらなる盛り上がりに期待が出来ます。
※1 CAGR:Compound Annual Growth Rateの略。年間平均成長率。
Source:フードテック産業の今後