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週刊インドトピックス

Vol.0107 インドで「懸念される変異株」と認定された新型コロナウイルス「デルタプラス」とは

感染拡大が懸念される新たな変異株

6月23日付のタイムズ・オブ・インディア紙の記事によると、インドの保健当局は、マハーラーシュトラ州、マディヤ・プラデーシュ州の各州から採取したサンプルのゲノム配列を解析した結果、デルタプラスコロナウイルスを「注目すべき変異株」から「懸念される変異株」へと格上げしました。

変異株は、感染のしやすさ、重症化のしやすさ、抗体による中和の低下、治療やワクチンの効果の低下など、いくつかの基準のうち少なくとも1つを満たす証拠を示した場合に、「注目すべき変異株」から「懸念される変異株」に格上げされます。

変異株は、ウイルスが定着している地域や陽性率の高い地域で出現する傾向があるため、持続的な感染が見られる地域でウイルスが検出されることは、大きな懸念材料となります。

第二波を引き起こした「デルタ」に関係

今回格上げされたデルタプラス変異株はインドでは4月に初めて発見されており、インドで感染第二波を引き起こした「デルタ変異株」に関係しています。

デルタ変異株が最初に発見されたのは2020年10月、その後2021年2月にマハーラーシュトラ州西部ヴィダルバで感染者が急増したことを考えると、デルタプラス変異株の感染拡大が明らかになるまでの潜伏期間は少なくとも4ヶ月はかかると思われます。

インド全国で見ると、医療施設が充実している南部の多くでは未だ5%以上の陽性率を記録している一方で、北部では第2波がほぼ収束しているという驚くべき偏りが見られます。医療施設の整っていない地域では、まだウイルスが検出されずに感染している可能性があり、十分な警戒をせず、広く検査を行わない場合は、新たな波を引き起こす可能性があります。

格上げには疑問の声も

しかし、主要なウイルス学者たちは、デルタプラス変異株が他の変異株と比較して、より感染力が強く、より重篤な疾患をもたらすことを証明するデータはまだないと述べており、デルタプラスを懸念すべき変異株として表示することに疑問を呈しています。

保健長官のRajesh Bhushan氏は、英アストラゼネカ社のコビシールドと印バーラト・バイオテック社のコバクシンの両方がデルタ型に有効であり、どの程度の割合でどの程度の抗体価が得られるかについては、近日中に発表するとの発言をしています。

この変異株が、利用可能なワクチンによって生成された抗体や、コロナウイルスの別の変種による感染によって中和されるかどうかを判断するために、より多くのデータを必要としています。デルタプラス変異株の感染はすでに日本でも確認されており、新たな懸念材料として注目していく必要がありそうです。

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