Vol.0119 インド:拡大するコネクテッド・フィットネス需要と、スタートアップ「OneFitPlus」が描くフィットネスの未来
巣ごもり需要で高まる「コネクテッド・フィットネス」に注力
タイムズ・オブ・インディア紙の9月9日付の記事によると、フィットネス製品の新興企業であるOneFitPlus(OFP)は、2023年3月までに売上高35億ルピーの達成を目指し、製品ラインアップの拡充と国内での製造能力の強化を進めていると発表しました。
ハイデラバードに本社を置くOFP社は、ランニングマシン、屋内バイク、自転車などのフィットネス機器を取り扱っており、特にコネクテッド・フィットネスに力を入れています。今年のディワリ(10~11月頃に行われるヒンドゥー教の新年の光の祭典)までにeバイク分野にも進出する予定であるとも公表しています。
「コネクティッド・フィットネス」とは、スマートフォンやウェアラブル機器などを使って運動データをオンラインで管理したり、自宅にいながらフィットネスジムのレッスンにリアルタイムで参加できたりするフィットネスの形態のことで、新型コロナウイルス禍の中で世界的な巣ごもりによる需要が高まっています。
ミッドレンジ高級路線の自転車ブランド「Urban Terrain」
OFP社は最近、Urban Terrainブランドで、マウンテンバイクやファットタイヤバイクを提供する新しい自転車「Bolt」を発売しました。Urban Terrainは2020年1月に設立されたブランド、バイクの価格は11,000ルピーからとなっています。Boltでは、ミッドプレミアムレンジ(9,000~15,000ルピー)の価格帯の市場開拓を目指しています。
OFP社の創業者であるCEOのMohit Mathur氏は、「当社は2022年度にこれまでの販売台数から3倍の成長が見込まれ、独自の製造ユニットを設立することで、さらに価値のある製品を提供し、需要の充足率を高めていくことができます」と述べました。
製造ユニットは年間で最大6万台のバイクを生産する能力があり、現在、生産ラインはBolt用に設置されています。
今後はディワリの時期までに25,000~30,000ルピーの価格帯のe-bikeの分野に参入し、生産量を増やしていく予定とのことです。
加えてMathur氏は、フィットネスアクセサリーやエクササイズバイクもインドで製造していることに言及し、「OFP社は、インド製であることに誇りを持てる、自立したブランドになることを目指し、製造に大きな力を注いでいくつもりです。OFPのようなブランドにとっては、ビジネスの観点から見ても、自社製造はサプライチェーンをよりよくコントロールすることができ、コストメリットを消費者に還元することができます」と述べています。
OFP社が目指すフィットネス・エコシステムの創成
様々な商品展開・サービスを通じてOFPが目指すのは、パーソナルトレーニングからダイエットや栄養プランまで、完全なフィットネスの『生態系』をお客様に提供することです。
OFP社のエアロバイクやランニングマシンを購入したユーザーは、スマートフォンやタブレットにアプリをダウンロードし、エアロバイクやランニングマシンに接続して、ワークアウトセッションのライブ配信に参加することができます。また、オンデマンドのパーソナルトレーニングや栄養・食事相談も提供しており、アプリ内で音声アシスタントを利用することも可能です。
他にもOFP社は、「Fitwarz」アプリの中で、マルチプレイヤーのフィットネスゲームも発売しました。このインターネット接続型ゲームは、同社のランニングマシンやエアロバイクでプレイすることができます。このプラットフォームは、競争力のあるリアルタイムのマルチプレイヤー体験を提供することでユーザーの運動意欲を高め、豊かなフィットネス体験を提供します。
Mathur氏によると、現在のOFP社の収益は15億ルピーで、来年3月までに20億ルピー、2023年3月までに35億ルピーの収益に到達することを目指しており、Urban Terrainブランドについては、23年度に10億ルピーの収益を上げることに期待しているとのことです。
新型コロナウイルス禍のフィットネス需要な世界的な高まりを見せ、スポーツジムへ行きにくい状況も重なって、コネクテッド・フィットネスは特に注目の分野だと言えます。
多大な人口を抱えたインドにおいて、その潜在的な商機にはこれからさらなる飛躍が期待されます。
ソース:フィットネス製品のスタートアップOneFitPlusは、23年3月までに350crの収益を見込んでいます
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