Vol.0123 インドで開発が進むドローン技術を活かした「空飛ぶタクシー」、その実現はいつになるか?
インドで開発進む「空飛ぶタクシー」
タイムズ・オブ・インディア紙の11月8日付の記事によると、スタートアップ・ePlane社では現在「空飛ぶタクシー」の開発が進められているとのことです。都市内のドア・ツー・ドアの通勤ももはやSFの世界ではないのかもしれません。
インド工科大学マドラス校(IIT-M)の航空宇宙学教授で、国立燃焼研究開発センターを設立したSatya Chakravarthy氏と、IIT-Mの学生、Pranjal Mehta氏が発案したもので、道路タクシーと同等の価格帯を可能にする電気式垂直離着陸機(EVTOL)の設計・製造を行っています。
政府の許可が得られれば、2024年までの実現を目指しています。
都市部の交通問題解決をコンセプトに
このEVTOLは2人乗りで、200kgの荷物を乗せて200km、交通機関の上を飛行することができます。通常のタクシーのわずか1.5倍の料金で、都市部の通勤を10倍速くすることができ、四輪駆動車を停められる程度のスペースがあれば離着陸が可能です。
教鞭をとることをやめ、ePlane社の最高技術責任者(CTO)となったChakravarthy氏は、このEVTOLはローターと翼の両方を使用し、「ドローンのように離陸し、飛行機のように飛行できる 」と語っています。
Mehta氏によると、電動モビリティの航続距離と、5km〜20kmの範囲での交通問題を考慮して、都市内モデルに焦点を当てることにしました。
インド政府もドローン開発に前向き
政府がドローンを使った貨物配送のルールを策定したことを受け、チームは最大積載量6kgの小型版の機体の試験を行っており、6〜9ヵ月後には完成する予定です。
ドローンに関するインド政府の動きは高い意欲と開放性を示していると、インド国内のスタートアップを熱狂させています。チームは、2024年初頭にe200エアタクシーを発売する予定です。
「インド政府がこの分野の新興企業と協力すれば、他の世界市場よりも早く、インドと私たちePlane社が最初の空飛ぶタクシーを離陸させることができるでしょう。ドローン輸送に関する政府の最近の発表を見て、私たちは前向きに考えています」とMehta氏は述べています。
何年もかけて開発され、数十億ドルものベンチャー資金が投入されたにもかかわらず、世界の空飛ぶタクシー企業のほとんどは、規制上の制約のために商業化に至っていません。
インド政府は、「ラストマイル配送」にドローンを使用することを支持しており、ドローンの総重量の規制を300kgから500kgに拡大しています。
さらなる資金調達で実現を目指す
このスタートアップは、昨年3月に、インド系アメリカ人の起業家で投資家でもあるNaval Ravikant氏とJava Capital社の参加を得て、ベンチャーキャピタルのSpeciale Invest社が主導で約100万ドルの資金を調達しました。
現在は、新たな資金調達を目指しています。
航空宇宙分野の研究開発を行う多国籍企業は、新型コロナウイルス禍のピーク時に人材の解雇を余儀なくされましたが、ePlane社はビジョンを共有する質の高いシニア人材を集めることができたと言います。
インドのキャンパスの教授と学生のチームから生まれた未来的な製品は、世界の大きな注目を集めることが予想されます。
日本においてもSkyDrive社によって「空飛ぶクルマ」の開発が進められており、2025年をめどに大阪ベイエリアでサービス開始が計画されていると発表されています。
これら有人ドローンは今後世界的な競争の激化が予想される次世代の分野であり、日本、インドそれぞれのスタートアップがそこにどう食らいついていくかが注目されるところです。