Vol.0148　地方都市が熱狂！Zudioによるオシャレの民主化

Zudioは、インドのファッション業界で急速にその名を馳せています。2016年にタタ・グループによって立ち上げられたこのブランドは、ファストファッションの市場において、国際的な大企業であるZaraやH&Mを凌駕する存在となりました。

インドのファストファッション市場は、ハイファッションのデザインを手頃な価格で一般消費者向けの服に早変わりさせることに特徴があります。

インターネット普及の拡大と、お金をかけずにトレンドを追い求める若者たちの存在がZudioの成功を生み出す環境を作りました。

Zudioの成功の秘密は、その市場浸透戦略にあります。タタ・グループの一員であるZudioは、ZaraやH&Mのような国際的なブランドと異なり、派手な広告戦略を採らず、代わりに計画的な店舗配置と顧客との関係を深めることに注力しました。特にTier2やTier3の都市*¹に住む、ファッションに関心が高いが、十分にサービスを受けられなかった層と深く直接的な関係を築いています。彼らは、インドでの消費者心理、好み、購買習慣を理解することに焦点を当て、競合他社よりも大幅に安い価格で、地元のファッション感覚に合った高品質な衣類を提供しています。そうすることで、瞬く間にZudioはインドの若者たちの間で主要なブランドとなりました。

このような戦略をとれた要因には、地元のファッション感覚に馴染みやすいハイパーローカライズされたコレクション、タタ・グループの豊富な調達能力とサプライチェーン能力を活かした破格の価格設定、そして最新トレンドに迅速に対応する柔軟なビジネスモデルがあります。これらにより、Zudioは品質を犠牲にすることなく低価格で製品を提供でき、Tier2・Tier3都市の若者たちにファッションを通じた自己表現を身近なものにしました。

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＊１　インドの都市では経済やインフラの発展度合、人口規模によってTier1・Tier2・Tiier3のようにカテゴリー分けされる。

 

Source:インドを席巻するファッションの新星

 

以前インドの地方都市を旅していた友人がベンガルールに到着して言ったのは、「サリーを着ている人が少ないね」でした。もちろんベンガルールはITの中心地であり、西洋式のドレスコードが求められる場面が多くあることが理由の一つだと想像できますが、グローバル化によってファストファッションが容易に手に入る環境が大きな要因だと思います。
Zudioによって、急速に地方都市や中級都市においても、手頃な価格でトレンドを取り入れたファッションを手に入れることができるようになっています。
今後は、大都市だけではなく、地方都市においてもトレンドファッションを着こなす若者の割合が急激に増えるのではないかと想像します。

 

（文責：大森太郎）