Vol.0162 スマホで蘇る伝説!Sutradharが紡ぐインド神話の新たな物語
Sutradharは、スマートフォンユーザー向けにインドの神話物語を短い動画で紹介するメディアコンテンツのスタートアップです。2020年にSatish Meena氏とGaurav Tiwari氏によって設立され、英語、ヒンディー語、マラーティー語、オリヤ語の4言語でコンテンツを提供しています。このアプリでは、約2分から10分のショート動画で、インド神話の物語を毎日ユーザーに提供しています。特に、メインヒーローだけでなく、重要な役割を果たしているがあまり知られていないキャラクターの話も伝えています。
COVIDロックダウン中にDoordarshan(インドの公共放送)で放送された「ラーマーヤナ」シリーズが最も視聴された番組となり、それに続く「マハーバーラタ」や「シュリ・クリシュナ」も同様に人気を博しました。このことから、地域言語でのインドの叙事詩への需要が高まっていることがわかります。Sutradharは、スマートフォンという媒体に合わせて神話物語を再構成し、インド5億人のスマートフォンユーザーマーケットを対象にしています。
Satish氏いわく、彼らの顧客層に見られるのは、一度Sutradharのコンテンツを見た人は、それを自分の子供や親と共有するということです
Sutradharは、コンテンツ作成者とフリーランサーのネットワークを持ち、アプリのダウンロード数は10万を超え、月間ユーザーは5万人に達しています。同社は、25歳から45歳の都市部に住む、オンライン取引に慣れた層を主な顧客基盤と見ています。また、エコシステムの構築を目指し、コンテンツクリエイターと消費者のコミュニティを作り、さまざまな製品やサービスのeコマースのような取引もできるようなプラットフォームを作りたいと考えています。
競争面では、ShrimandirやYouTubeなど、類似のコンテンツを提供する複数のチャンネルと競合していますが、Sutradharは今後1年間で100万人のアクティブユーザーを目指し、さらに4つの言語を追加する計画です。現在は無料でコンテンツを提供していますが、将来的には有料モデルへの移行を計画しています。また、11万ドルの資金をTitan Capitalとエンジェル投資家から調達し、さらなる資金調達のための交渉も進めています。
Sutradharは、インド神話だけでなく、その要素を含む他のジャンルの物語も消費者に届けることを目指しています。
Source:スマートフォンで繋がるインドの神話世界
インドの神話をスマートフォンを介して、ショート動画として再び伝える試みは、文化的遺産を次世代に伝えるとても効果的な方法だと感じます。
インドの叙事詩、神話を知ることは、インドの文化や歴史、慣習を理解するうえでとても重要です。
Sutradharのように、叙事詩をショート動画という新たなメディアの形式に適応させようとする取り組みや、ラーマーヤナがロックダウン中に最も視聴されたコンテンツであるという事実が示すように、インドの人々が叙事詩や歴史をとても大切にしていることが分かります。
私自身、彼らのようなサービスを活用しながら、インドのことに関して学んでいきたいです。
(文責:大森太郎)