C : インドの不動産事情
(文責:田中啓介 / Global Japan AAP Consulting Pvt. Ltd.)
インドに進出する日系企業が知っておくべき不動産事情としては大きく(1)日本人が住むための住宅や賃貸アパート、(2)日系企業が入居する事務所や工業団地、そして、(3)投資対象としての不動産業界や不動産開発、の3つに大別されると思います。それぞれの詳細については別途ご紹介をするとして、ここでは全体像を把握いただくために不動産事情の概要について簡単にまとめておきたいと思います。
(1)日本人が住むための住宅や賃貸アパート
まず、日本人が住む住居としては、日本人駐在員と現地採用で大きく分かれますが、日本人駐在員のケースでは概ね会社が規定した予算の範囲内におさまる物件を探す、もしくは、前任が住んでいた家をそのまま引き継ぐケースが多くなります。現地採用の場合は、家賃補助が出ないケースが多いため、自分の給与に見合った予算を設定して選ぶ場合はほとんどではないかと思います。住居のタイプとしては小規模アパートや高層住宅団地、ヴィラ風の戸建てなど様々ですが、勤務先や空港からの距離、渋滞が集中しやすいエリア、近隣環境の利便性など、優先すべき条件によって選択肢が大きく変わるため、明確な優先順位を決めておくことは大切だと思います。また、入居前にチェックしておくべき項目や、賃貸借契約締結時に気を付けるべき論点を理解しておくことと、物件のオーナーの人柄なども重要です。家賃の相場感なども含めて、より詳しい外国人向けの住居の実態については以下リンク先のページでご説明をしていますのでぜひご覧ください。
(2)日系企業が入居する事務所や工業団地
日系企業が入居するオフィスの種類には主に(A)賃貸用オフィスビル、(B)コワーキングスペース、そして、(C)住居兼オフィスとして使える戸建て物件、の3つのいずれかを選択することになります。日系企業および日本人起業家は、インドでの事業立ち上げ当初は初期投資が少なくてすむ(B)を採用されているケースが多いように思いますが、立ち上げ初期からある程度人材を雇用したり、在庫を保有しておくためのスペースが必要な場合などにおいては、(A)や(C)の選択肢について検討をされることになると思います。工業団地の選定については、以下のリンク先ページにて詳しくご紹介しておりますのでぜひご覧下さい。
(3)投資対象としてのインド不動産業界や不動産開発
2020年6月現在、インドの不動産市場に投資をしている日系企業や日本人投資家はまだ多くありません。インド政府が一定の不動産事業(Real Estate Business)に対して外資規制を実施してきたことも一因かもしれません。しかしながら、徐々に緩和がされており、現在では幅広い不動産開発プロジェクトに対して100%まで投資することが認められており、外資系デベロッパーや投資ファンドがインドに進出してきています。より詳しい外資参入状況とインド国内の不動産投資マーケットについては以下リンク先のページでご紹介をしておりますのでぜひご覧ください。