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NEWS LETTER VOL.5 GST申告フォーム「GSTR-3B」

グローバル ジャパン コンサルティング ニュースレター
INDEX
  • 第一章 地球上の誰と会話しても話題はたったのひとつ
  • 第二章 GST申告フォーム「GSTR-3B」について

Chapter.01
第一章 地球上の誰と会話しても話題はたったのひとつ

2020年3月25日のインド全土でのロックダウンがスタートし、Essential Serviceを除いては街中の文房具屋さんも例外なく休業5週間目に突入しました。インドにとっても世界にとっても未曽有の状況下で、先日スーパーマーケットでノートを数冊購入したのですが、各ページの左部に朱色の二重線が上から下まで引かれたタイプのものしか在庫がなく、家で開いてみて現金出納係のおばちゃんの気分になりました。ああ、インドでもいまだにほとんどの中小企業の現金出納帳は手書きなんだろうなあ、と思いを馳せながら。

企業経理の体系的な業務は、実はルール化された作業の無数の組み合わせで成り立っている側面もあり、高いAI技術は要らなくとも、今注目されているRPA(Robotic Process Automation)やHRテック、フィンテックなどに代表されるIT技術やSaaS(Software as a Service)をベースとした様々なアプリケーションを適材適所かつ有機的にはめ込んでいくことで、その自動化による仕上がりのスピードは格段に上がり、中には効率が数十倍も上昇した企業の例もあるほどです。そんな潮流のなかで、まさかと思うかも知れませんが、江戸商人のそろばん時代の遺物とも、企業出納部門の聖域ともいわれる「手書きの現金出納帳」を、今後も維持していくべきか、あるいはなくすべきかの議論は日本の企業内でも未だに繰り広げられているという話も聞きます。維持保守派の言い分は、「得てして現金の出納には、請求書のない支払いや小口現金(職員への仮払)・立替払いの精算関係が多く、事後のチェックや監査時に、会計帳簿との整合性がとれる資料が少ないため、手書きの出納帳がその証憑代わりとなるのよ。」、さらに「現金の出入りのたびに電卓をたたいて記帳していかなければ逐次誤りを発見できず、現物と記録上の残高が乖離してしまう可能性が出てくるわ。」などなど、聖域感がたっぷりです。むろん、撲滅革新派の根拠はこうです。

「システム残高の正確性を支持する根拠資料が、おばちゃんの手書きだろうがエクセルやロボットだろうが信頼度において何も変わらないじゃないか。そもそも電卓を盲信することに異議ありだ。」 正論です。そうですね、このような時は、いったんそのルールや習慣を思い切って中止してみてから、本当に重要なものだったか否かを本質的に見極めるのがいいかも知れません。

世界中が一連の新型コロナ禍に見舞われている現在、在宅勤務ばかりが注目されていますが、勤務どころか全てをいわば“在宅宇宙”で行わねばならず、喧嘩もおしゃれも放浪もすべて在宅ベースです。が、活動の強引な切り貼りは心身の不均衡を招きます。そこで個人の24時間をいったんゼロにもどして、時空を大胆に再デザインしていくのはいかがでしょう。雑事や不要事を完全に遮断しなければ、令和のニュートンは生まれないと思いますし、いったん棄却したものでも本当に重要なものならおのずと蘇ってくるはずです。アフターコロナ時代の手書き現金出納帳の行く末はわかりませんが、ひょっとしたらロボットによる正確無比の未精算追跡と自動督促メ―ルよりも、電卓おばちゃんからの電話呼び出しの方がよほど有効で怖かったという結論にたどり着くかもしれませんね。

Chapter.02
第二章 GST申告フォーム「GSTR-3B」について

さて、前回までご説明をしてきましたGSTR-1(顧客へ売り上げた商品やサービスの詳細を税務当局へ報告するための税務申告フォーム)に引き続き、今回からはGST申告を完結させるために、そして、納税を実施するために必要となる申告フォームである「GSTR-3B」について具体的にご紹介をしていきたいと思います。

GSTR-3B とは?

「GSTR-3B」は、対象期間に顧客へ売り上げた物品やサービスに関するGST Output(日本の課税売上に相当します)の詳細、および仕入先から購入した物品やサービスに関するGST Input(日本の課税仕入に相当します)の詳細を税務当局へ報告し、当月の納税額を確定させるための税務申告フォームです。

GSTR-3B の申告および納税期限

(※1)GSTR-3B の申告期限が毎月22 日となる15 の州・地域
アーンドラプラデシュ州、マディヤ・プラデーシュ州、グジャラート州、タミルナドゥ州、マハーラーシュトラ州、ダマン・ディーウ連邦直轄領、ダードラー及びナガル・ハヴェーリー連邦直轄領、ポンディシェリ連邦直轄領、カルナータカ州、ゴア州、ケララ州、テランガーナ州、チャッティースガル州、アンダマン・ニコバル諸島連邦
直轄領、ラクシャディープ連邦直轄領
(※2)GSTR-3B の申告期限が毎月24 日となる15 の州・地域
パンジャーブ州、ラジャスタン州、ウッタラーカンド州、ハリヤーナー州、ウッタル・プラデーシュ州、ヒマーチャル・プラデーシュ州、ビハール州、シッキム州、 アルナーチャル・プラデーシュ州、ナガランド州、マニプール州、ミゾラム州、トリプラ州、メーガーラヤ州、アッサム州、ウェストベンガル州、ジャールカンド州、オーディシャー州、ジャンムー・カシミール連邦直轄領、ラダック連邦直轄領、チャンディーガ連邦直轄領、デリー首都圏

延滞税

申告期限までにGSTR-3Bを申告しなかった場合には延滞税を支払わなければなりません。延滞税の金額は、対象月に売上取引も仕入取引もなかった場合(Nil Return)には1日あたり20ルピー(CGST 10ルピー、SGST 10ルピー)、対象期間に取引があった場合には1日あたり50ルピー(CGST 25ルピー、SGST 25ルピー)となります。但し、延滞税の上限は申告ごとに10,000ルピー(CGSTが5,000ルピーにSGSTが5,000ルピー)です。なお、延滞税を支払わない限り、翌月のGSTR-3Bの申告を実施することができません。

遅延利息

また、申告を期限内に実施したとしても納付すべきGSTの支払が遅延した場合には、年利18%の遅延利息を支払わなければなりません。

GSTR-3BにおけるGST InputとGST Outputの相殺

GSTには州間取引に係るGSTである“IGST”、州内取引に係るGSTのうち中央政府に納めるGSTである“CGST”と州政府に納めるGSTである“SGST”の3種類があり、GST InputとGST Outputの相殺順序には以下のようなルールがあります。

TN州に拠点を置くA社はTN州のP社およびAP州のQ社からスマートフォンを仕入れ、TN州のX社およびAP州のY社に販売しています。20XX年4月は、P社から600ルピー相当を、Q社からは500ルピー相当を仕入れ、一部をX社へは200ルピーで、Y社へは200ルピーで販売しました。スマートフォンを取引した場合、州内の取引の場合にはCGSTとSGSTが9%ずつ、州間の取引の場合にはIGSTが18%課税されます(2020年4月時点)。前月までのGST InputとGST Outputがいずれもなかったものと仮定すると、A社の4月末時点のGST残高は下記の通りとなります。

これを下記のとおり①→②の順番に相殺をしていくこととなります。

①まずはIGST OutputをIGST Inputと相殺します。すると残高は下記の通りとなります。

②まずはIGST OutputをIGST Inputと相殺します。すると残高は下記の通りとなります。

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執筆者紹介About the writter

吉盛  真一郎
吉盛 真一郎
慶応義塾大学経済学部卒。日本・香港・スリランカ・インドにて、日系企業の経理・財務・総務業務に約14年従事。スリランカにてCSR業務から派生したソーシャルビジネスの起業実績もあり、経営者として管理業務実績を数多く積んでいる。2019年よりバンガロールを中心とした南アジアに強い会計・税務コンサルタントとして日系企業のインド進出を支援している。
(第一章 担当)
木内  達哉
木内 達哉
東京大学経済学部卒。IT業界での営業職を経て、経営企画室にて予算管理や内部統制整備、法務コンプライアンス業務、また、財務経理部にて海外子会社の経理業務などを含む幅広い経営管理業務に約10年従事。2018年より南インドに移住し、インド会計・税務コンサルタントとして日系企業のインド進出を支援している。
(第二章 担当)