Vol.0170 Blinkit、Zomatoの支援で1,000店舗へ飛躍的成長を計画
インドで急速に普及しているBlinkitoやSwiggyなどのクイックデリバリーサービスは、忙しい日常に革新的な変化をもたらしています。これらのサービスは、スマートフォンのアプリを通じて簡単に注文でき、食品や日用品を平均わずか30分以内に自宅まで届けるという驚異的な速さが売りです。特に都市部ではその利便性から広く支持されており、時間に追われる現代人にとってなくてはならない存在となっています。
2022年6月にZomato(インドを拠点とする主要な食品デリバリーサービス)が買収したBlinkitは、クイックデリバリープラットフォームとしての成功を収めています。2024年3月期には営業利益が黒字に転じました。これを受けて、Zomatoはクイックコマース事業への投資を強化し、2025年3月までにBlinkitの店舗数を1,000店舗に増やす計画を発表しました。
ZomatoのCEOディピンダー・ゴエル氏は、2024年度第4四半期の決算発表で、同期間中にBlinkitの店舗数が526店舗に達したことを明らかにしました。彼らは今後、特にデリー、バンガロール、ムンバイ、ハイデラバード、チェンナイ、プネー、コルカタ、アーメダバードの主要8都市に焦点を当て、次の四半期には100店舗を新たに開設する予定です。
Blinkitは2024年1月から3月の3ヶ月間で前年同期比97%の総注文額(GOV:Gross Order Value)増加を報告しており、月間平均トランザクションユーザー数(MTU:Monthly Transaction Users)も690万人に達しました。
今後、BlinkitのMTUはZomatoのMTUを上回る可能性があると、ZomatoのCFOアクシャント・ゴエル氏は述べています。
Zomatoは、Blinkitの店舗拡大により短期的には既存店舗の注文処理能力が低下する可能性があるものの、顧客体験がより向上することにより、長期的には大きな利益をもたらすと見込んでいます。また、ZomatoはBlinkitのクイックコマース事業における販売商品をさらに増やす計画もあります。
また、Zomatoは広告費や販促費における出費も増加しており、これが同社の収益に対する負担を増加させていますが、この広告戦略が将来的に重要な収益源となることが期待されています。
一方で、Zomatoが運営する企業間取引プラットフォームであるHyperpureの成長は鈍化しています。利益率は改善していますが、収益成長率は前年比で146%から99%に低下し、今後も成長のペースは落ちる可能性が指摘されています。
Zomatoは、従業員のモチベーションを高めることでさらなる成長を促進することを目的に、従業員による株式所有計画(ESOP:Employee Stock Ownership Plan)の拡充も行っています。
ZomatoはFY24を通じて安定した利益を上げており、FY24第4四半期には175億ルピーの利益を報告しました。これは前年同期の188億ルピーの損失から大幅な改善となります。
eコマース業界では、SwiggyのInstamartやZeptoとの激しい競争が続いています。
Source:Zomato、Blinkitの店舗拡大計画を発表
ZomatoによるBlinkitの急速な拡大は、特にインドの都市部に住む人々の日常生活をより便利にすることでしょう。
筆者が暮らすベンガルールでは、過剰な人口の影響で、時間帯や降水時に、とてもひどい渋滞が発生します。Blinkitの店舗数を拡大することにで、日常の買い物がより便利かつスピーディーになることが期待されます。
(文責:大森太郎)