Vol.0171 未来を見据えた技術革新:Vector Technicsが描くドローンの新時代
インドのドローン市場は防衛、監視、農業など多岐にわたる分野において大きな成長が見込まれており、2030年までに世界のドローンハブになることを目指しています。
しかし、インド国内の製品でグローバル標準を満たす部品が少なく、輸入に大きく依存しているという点が経済的・戦略的な課題となっています。このギャップを埋めるべく、カーナ・ラージ氏、プルドゥヴィ・ラージ・パカラパティ氏、チャイタニヤ・レディ氏が2022年8月に設立したVector Technics社は、UAV(無人航空機)推進システムに特化した革新的な企業です。
Vector Technicsは、ブラシレスDCモーター(BLDC:Brushless Direct Current Motor)、電子速度制御装置(ESC:Electronic Speed Controller)、プロペラ、電源分配システムなどを提供しています。また、それらすべての製品が信頼性、効率性、厳格なグローバル耐空規格への準拠を優先し、緻密なエンジニアリングが施されています。パカラパティ氏は「インドには800以上のドローン企業が存在しますが、私たちは推進と電力分配に特化した唯一の企業です」と述べ、輸入依存を減らし、供給チェーンの混乱を防ぐための高品質な国産ソリューションの提供を実現することを強調しています。
Vector TechnicsのブラシレスDCモーターは、効率と重力出力比を最大化するように設計されており、信頼性と修理のしやすさを重視しています。
電子速度コントローラーは、ドローンの制御システムとモーターを結ぶ重要な役割を果たし、最適なパワー転送を実現します。また、プロペラは揚力、安定性、効率を最大化するように設計されており、電源分配システムも同様です。
すべての製品はグローバルな航空認証基準に準拠しており、信頼性、修理の容易さ、効率を三大原則としています。
そして、技術的進歩と規制の変化に対応するために、社内チームは常に最新の情報を追求し、積極的に市場を形成しています。
同社のビジネスモデルは、農業、配送、高負荷、さらには人を運ぶドローンの製造業者向けにオーダーメイドのB2Bソリューションを提供し、B2C向けには一部製品をEコマースページで販売しています。今後は、より幅広い用途に高品質な推進システムを拡大する計画があります。
また彼らの技術は、物流、監視、救助活動など、効率と信頼性が特に重要とされる分野で使用されています。
Vector Technicsは、単なる利益追求ではなく、業界に有意義な影響を与えることを最終目標としています。パカラパティ氏は「私たちは次の四半期ではなく、ドローン技術の大きな飛躍を見据えています」と述べ、未来のドローン技術の推進に対する献身を強調しました。
Source:Vector Technicsがもたらすドローン技術の進化
インドのドローン産業は、政府の積極的な支援と規制緩和や技術革新に支えられ、大きな注目を浴びています。しかし、ドローン専用のインフラや専門人材の不足、安全性とセキュリティーに関する問題など、様々な課題を抱えています。
そのような状況下でVector Technicsの成長によって、インド国内全体のドローンの信頼性と効率が向上し、ビジネスや研究活動において、安心してドローン技術を利用できるようになることを期待したいです。
(文責:大森太郎)