当地チェンナイを中心に障碍者支援を行うベンチャー企業「v-shesh」からの人材紹介を受け、当社は2019年3月に初めて聴覚障碍者を1名雇用しました。聴覚障碍者が他の従業員と同じように業務を行うことを難しいと感じるケースはあるかもしれませんが、メールやチャット、手書きメモ、顔の表情や身振り手振りでコミュニケーションを取ることができ、社内の協力が得られれば、様々な仕事を担っていただくことが可能です。
つまり、多くの日本人にとって英語ができないことが海外でビジネスをする障害になり得ることと同様に、耳が聞こえる私たちにとっては聴覚障碍者とコミュニケーションを取る際に手話ができないという障害を持っていることと同義。これは私たちの日々の生活の中に当たり前のように共存している数ある障害のうちの一つでしかないと考えます。日本とまったく違う文化や価値観、宗教観を持つインド人と一緒に働き、時間を共有する中にもすでに多くの障害が存在していて、私たちが一人ひとりの個性を尊重し、違いを受け入れ、共存するための努力をし、それを乗り越えることで、インドだからこその多様性ある職場環境を醸成できるのではないでしょうか。今後は、継続的に聴覚障碍者の雇用を増やしていけるよう、 v-sheshのアドバイスを得ながら、組織体制や職場環境の改善をしていきたいと考えています。
株式会社 manma 代表取締役。2014年に「manma」を設立。2015年1月より学生が子育て家庭の日常生活に1日同行し、生き方のロールモデル出会う体験プログラム「家族留学」を開始。”家族をひろげ、一人一人を幸せに。”をコンセプトに、家族を取り巻くより良い環境づくりに取り組む。内閣府・総務省・文部科学省 委員 / 「Forbes JAPAN WOMEN AWARD2017」ルーキー賞 / 慶應義塾大学大学院システムデザインマネジメント研究科 修了
V-sheshは障害をもつ方々に英語やパソコンなどのスキルトレーニングを提供し、企業の紹介を行うなど、適切な仕事を見つける支援をしている社会的企業です。日本との関係性の深いRajaとShashaankの二人で創業しました。南インド チェンナイを中心に、バンガロールやムンバイなどにも拠点を広げています。詳しくは下記ウェブサイトをご覧ください。
(WEB : https://v-shesh.com/ )
NPO法人クロスフィールズが提供する”留職”プログラムに参加し、V-sheshで二ヶ月半働く機会を得ました。私自身も日本で社会的企業を経営しており、国を超えて社会的な事業に取り組む先輩方から学びを得ること、また私自身もインドで貢献できることがあればという思いで、このプログラムに参加しました。
日本同様に、インドでも障害を持つ方は、適切なスキルを持っていなかったり、企業側の受け入れ体制が整っていなかったりして、就業が困難なケースが多くあります。2011年の国勢調査では、インドの障害者の数は約2700万人と推定されています。これは東京、埼玉、千葉の1都2県の総人口に匹敵する人数です。これだけ多くの方が、働く機会を失うということは、個人にとっても、そして、国という共同体にとっても大きな損失です。v-sheshがあることで、能力と人間的魅力を持った多くの障害者の方が、やりがいのある仕事に就くことができることは、多くの人を幸せにし、経済活動の活発化にも貢献できると考えます。