Vol.0177　女性囚人の未来を築く

ベンガルールに拠点を置く非営利団体The Justice Initiative Foundation (TJI)は、カルナータカ州の刑務所内外で女性囚人の生活を再建し、回復させるための活動を行っています。この団体は、修復的司法の原則に基づき、犯罪の被害を修復し、社会とのポジティブな関係を築くことを目指しています。
創設者のセシリア・デイヴィス氏は、「犯罪を犯した者を投獄するだけではなく、彼らの人生を再建することが必要だ」と述べています。
TJIは、犯罪の根本原因にアプローチし、癒しと和解を通じて犯罪予防を図ることを目指しています。

特に女性囚人に焦点を当てたTJIの活動は、性別に基づく暴力や心理的トラウマ、経済的依存など、犯罪を引き起こす要因を探ることに注力しています。
例えば、タミル・ナードゥ州のティルヴァンナマライ地区のカヴィタは、家庭内暴力の犠牲となり、やむを得ず子供たちとともに命を絶とうとしました。結果的に二人の娘を失い、自らは18年間の刑務所生活を送ることになりました。カヴィタは夫とその家族から男児を産むことを強要され、その結果として深い心理的苦痛を抱えました。
TJIは、このようなケースに対して、犯罪を犯すに至った経緯を理解し、彼女たちの再生を支援しています。

 

TJIは、女性囚人に法の知識を教え、重要な書類の準備方法や保釈手続き、財産の管理方法、子供の保護についてガイドしています。また、刑務所内のワークショップでは、囚人が犯罪によって定義されるのではなく、自身の自己イメージを回復するためのサポートを行っています。囚人が自分自身を再想像し、人生の出来事に対する反応を変えることを促しています。またこれにより、囚人同士の感情的な支援とガイダンスが促進され、元囚人が現在の囚人を支援することが可能になります。

 

TJIの活動は、刑務所内外での橋渡しを行い、元囚人が社会に再統合するための手助けをしています。セシリア氏は、「変革は必ずしも法制度から始まるわけではなく、犯罪を防ぐための敏感で堅実な方法についての対話から始まる」と強調しています。このように、TJIは女性囚人の再生を通じて、より公正な社会の実現を目指しています。元囚人たちが手作りの手芸品を販売し、その収益を囚人たちに還元することで、彼女たちの自己肯定感を高めています。TJIはまた、釈放された囚人の生活をサポートし、彼女たちが新しい人生を歩む手助けをしています。

このように、TJIは女性囚人の再生と社会への再統合を支援することで、犯罪の再発を防ぎ、より良い社会を築くためのモデルを提供しています。

 

Source:女性囚人の再生を支援するTJIの取り組み

 

TJIのこの取り組みは、単に囚人を罰するのではなく、犯罪の背景を探り、根本原因を解決しようとしています。また、様々な方法で囚人たちの自己イメージを回復させながら、社会復帰に向けた支援に力を入れています。
このような修復的司法を取り入れるノルウェーでは、それ以前より再犯率を大きく低下させています。
彼らの取り組みがインドでどのような結果につながるのか注視していきたいです。

 

（文責：大森太郎）