India Weekly Topics

週刊インドトピックス

Vol.0138  インド高級ブランドの新時代

昨年末、Vedant Fashions Limited(民族衣装ブランドのManyavarとMoheyを所有する)が高級メンズ・ウイメンズ衣類業界に進出し、Twamevの立ち上げを行いました。また、Duroflex(睡眠関連製品ブランド)は、富裕層をターゲットにした高級マットレスを導入しました。数年前には、Cholayil(伝統ブランドMedimixの製造元)も、プレミアムスキンケア・ヘアブランドであるSadhevを立ち上げ、高級アーユルヴェーダ業界へと進出をしました。このように、多くのインドブランドが一斉に高級業界に進出しています。

 

インドは、今後数年間で裕福な階級の大幅な増加が見込まれているため、ブランドはその大きなシェアを獲得しようと躍起になっています。Credit SuisseとUBSのレポートによると、2022年から2027年の間にインドで百万ドル以上を持つ人々の数は69%増加すると予想されており、Goldman Sachs Groupの先月の発表でも、インドの裕福な階級は今後3年間で1億人に達すると予想しています。

 

かつて高級セグメントは、40代50代の人々で占められていましたが、現在では都市部の若者が高級品や体験に関心が向いています。また、高級市場を牽引するのは富裕層だけでなく、膨張する中間層です。インド経済とともに拡大する中間層によって、高級市場は個人化され体験に重点を置いた進化を遂げると予想されています。

 

インドの高級ブランドは長期的な視点で運営されており、徐々に顧客と潜在顧客の心に存在感を確立しています。例えば、Sadhevはソーシャルメディア、Eメール、チャットボットを通じて顧客とのコミュニケーションを図り、よりパーソナライズされた体験を提供しています。このようなデジタルファーストのアプローチに力点を置くことで、世界的に認知された高級アーユルヴェーダブランドになることを目指しています。一方、Twamevはオフラインストアをバンガロール、ハイデラバード、プネ、デリーに設立し、オンラインプレゼンスも確立しています。

専門家は、インドがアメリカと中国に続く高級ブランドの顕著な市場として台頭することを予想しています。

 

Source: インドブランドの高級市場進出

 

インド国内の高級品市場やその拡大は、インドの経済発展を明確に表しているものだと感じます。国際的な高級ブランドと、国内の高品質な製品とがどのような競争をし、ライフスタイルの多様化に貢献していくのかが興味深いです。また、筆者が暮らすベンガルールは、IT産業の中心地として栄えており、その変化をいち早く体感できるのではないかと期待しています。

 

(文責:大森太郎)