India Weekly Topics

週刊インドトピックス

Vol.0155 職人の心をデジタルの力で繋ぐ:Fabindiaのeコマース変革

Fabindiaは、インドの伝統的な手工芸品を扱うブランドで、64年の歴史を持ち55000人以上の地方の職人たちを支援しています。同社は、インターネットの普及と伴い、オンライン市場への展開を進めています。しかし、多様な決済代行システムの管理や、決済成功率の低下といった課題に直面していました。特に、顧客が購入途中で離脱する理由や支払いエラーの詳細情報が不足していることが問題となっており、これらの解決策が必要でした。

このような状況の中、FabindiaはRazorpay(インドに拠点を置く電子決済取引をサポートする会社)のOptimizer(支払い代行管理ツール)を導入しました。このシステムは、AIを活用して決済処理をリアルタイムで分析し、効率化を可能にします。特に決済成功率の向上に貢献しました。Optimizerの分析ダッシュボードを通じて、Fabindiaは決済方法に基づく成功率の追跡や、成功率が80%未満に低下した原因の特定が一目で確認できるようになり、具体的な改善策を講じることができるようになりました。

結果として、Fabindiaの取引成功率は15%向上し、GMV:Gross Merchandise Volume(流通取引総額)は99万5千ルピー増加しました。Optimizerの導入により、Fabindiaは決済プロセスを効率化し、顧客満足度を高めることに成功しました。
Fabindiaは、地方の職人に仕事を提供し、彼らの作品を都市の市場と繋げることで、インドの文化遺産を守りながらビジネスを展開しています。RazorpayのOptimizerを通じて、Fabindiaはデジタル時代の効率性と伝統工芸の美しさを融合させ、顧客にとって魅力的なeコマース体験を提供しています。Optimizerは、Fabindiaが直面していたデジタル分野での課題を克服し、経済的な成功を収めると同時に、インドの伝統工芸を世界に広める手助けをしています。

 

Source:FabindiaがRazorpayのOptimizerで達成した画期的な躍進

 

筆者もFabindiaの服を普段から愛用しており、インドのテキスタイルとして有名で、均一な絵柄を保つのが難しいとされるブロックプリントのシャツなどを、高い品質で提供していて、とても信頼を置いています。
RazorpayのOptimizerは、このような地方の職人たちが作り出す高品質でありながらも、手作りの温かさが感じられる製品の価値をより世界中に伝えること可能にしています。
またこれは、インドのような急速にデジタル化が進む国において、eコマースがどのように地方経済に貢献し、伝統的な産業を保護しながら成長させるかのモデルケースとなると感じます。

(文責:大森太郎)