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週刊インドトピックス

Vol.0026 コロナ渦で注目を集める人工知能の重要性。AIビデオ分析プラットフォームのWobotが250万ドルを調達。

コロナ禍で注目。インドAIビデオ分析企業が250万ドル調達

AIビデオ分析によるコロナ感染対策システム

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2020年8月4 日付報道によると、デリーを拠点とし、AI搭載のビデオ分析プラットフォームを展開するWobot(ウォボット)はプレシリーズAの段階で250万ドルの調達に成功したようです。

新型コロナウイルスの蔓延で衛生面や食品の安全性への注目が高まっていますが、AIが搭載された同社の製品を既存のCCTV監視カメラやその他のカメラに接続することで、SOPs(Standard Operating Procedures:標準業務手順書)における異常を発見することができるというサービスです。

具体的には、ホスピタリティ産業のフロアやキッチンスタッフ、また製造業の工場労働者などを中心に、手袋や制服着用の有無、安全基準やコロナ対策の観点から各種業務手順書(SOPs)通りに作業ができているかどうか、正しい手洗いができているか、などを検出することができ、異常を発見した場合には通知が届くシステムになっているようです。

現時点で1万点以上の設置が完了しており、クラウドキッチン事業を手掛けるKitopi(キトピ)やRebel Foods(レベルフード)、フィットネス事業を手掛けるCultFit(カルトフィット)、衣料品チェーンのApparel Group(アパレルグループ)、不動産会社のMax Estates(マックス・エステイト)などで採用されています。

AIが透明性の高い職場環境を実現する

Wobotの共同創設者兼CEOであるAbit Chhabra氏は「弊社の製品によって透明性が高い職場環境の提供、完全なコンプライアンス遵守を実現することができるだろう。今回の調達で得た資金をもとに海外展開、独自のテクノロジープラットフォームを強化していきたい」と話しています。

Wobotの技術には他にも、現在の行動を基に将来起こりうる行動を推測する『アクティビティ・リコグニション』や、ディープラーニングのアルゴリズムを搭載した『顔認証システム』、特定のヒトやモノを写真や動画の中から判別する『物体検出機能』、特定のパターンに基づいて必要な画像を認識する『パターン検出機能』などがあるようです。現段階では衛生面が重要視されるフード産業や製造業を中心に導入されているようですが、今後さまざまな分野で活用されていくことが期待されます。

同社のAIを活用したサービスを導入することで業務の効率化、クオリティの向上、リスク削減などあらゆる利点が想定されます。しかし、それだけではなく今後顧客基盤がさらに拡大し、顧客を通じて得られる映像データが拡充されていくことで、膨大なデータとその解析によりさらに新たな付加価値の創造につながることも期待できます。DX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる昨今においても、多くの日系企業ではまだAIの導入が一般的に普及している状況とは言えませんが、一方で、実は私たちがUberやYoutubeなどを通じてAI技術による便益をすでに日常的に享受しているのと同じように、より幅広い領域においてAIに頼らざるを得なくなる時代もそう遠くないように思います。

Source:ビデオ分析プラットフォームのWobotが250万ドルを調達
Wobot:https://wobot.ai/

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