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週刊インドトピックス

Vol.0042 インドのインターネット人口を増やすためのGoogleの施策とは?Googleが見るインドデジタル産業の今後

インドのインターネット人口を増やすためのGoogleの施策とは?Googleが見るインドデジタル産業の今後

Googleが注目するインドの新世代のインターネットユーザー

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2020年10 月29日付けの報道によると、現在オンライン開催されているTeckSparks2020(※1)でGoogleのNBU(※2)の取組みを先導しているCaesar Sengupta 氏がインドの新世代のインターネットユーザーに関して見解を述べていました。

次の10億人のインターネットユーザーはアジアの発展途上国からやってくると予想されており、Google Indiaもインドのインターネット人口拡大に注力しています。GoogleがNBUの調査を行っている中で、これまでとは異なる種類のユーザーであるモバイルファースト(※3)とモバイルオンリー(※4)のユーザーが出現し始めました。

Caeser氏によると『これらの新ユーザーは欧米の伝統的モデルとは大きな違いがある。彼らはビデオなどのより視覚的なモノ、そしてより多くの関係性、自国の言語の情報やコンテンツを求めている。』と述べています。また『インドではスマートフォンユーザーの60%以上が音声検索機能を利用している。音声検索機能ではユーザーが慣れ親しんだ現地の言葉を介した対話を可能にしているため、ユーザーの生活にとって欠かせないものになっている。インド人は音声機能を好んでおり、実際にGoogleアシスタントで使われる言語の中でヒンディー語は英語に次いで2番目に多い。』と付け加えています。

インターネットのジェンダー格差をなくす施策

NBUのひとつに農村部に住む女性のインターネットユーザーを増やす取組みがあります。2015年にはインド農村部でのインターネットユーザーのわずか10人に1人が女性でした。Google Indiaは『Internet Saathi Programme(※5)』でインド農村部におけるインターネットジェンダー格差をなくす活動を始め、2019年4月時点で30万近くの農村部で2800万人以上の女性がアクティブユーザーになるために支援をしています。

2017年にはGoogle Payをローンチし、新世代のインターネットユーザーにとって迅速、簡単、安全な決済方法を導入しました。コロナ渦の中、Googleはインド保健省(Health Ministry)と提携することで正しい情報を届けることに貢献し、Google Payを通じてユーザーが希望する慈善団体や非営利団体に簡単に寄付ができるようにしました。

また『Nearby stores(近くのお店)』機能を利用することで地元のビジネスを支援できる仕組みも開発しています。Google Payの1日の合計取引数はまもなく10億件に到達しようとしており、Google Indiaはそのために『加盟店へのフォーカスを深め、ローカルビジネスのデジタル化を支援したい。競合ではなくユーザーのニーズに深く焦点を当てている。』と述べています。

さらに注目されるインドのインターネットの今後

Googleはインドのインターネット拡大の可能性に強い期待を抱いており、今年7月には100億ドルのファンド設立の発表、Jio Platforms(ジオ・プラットフォームズ)社への45億ドルの出資など強気な姿勢を見せています。先に述べたようなインターネット人口を増やす取組みである『Internet Saathi Programme』のイニシアチブをとったり、デジタルペイメントの『Google Pay』上でユーザーのニーズにマッチした新機能を適切なタイミングで追加するなど、現在のインドのデジタル社会にとって欠かせない存在になっています。

同社は新サービスの導入などでインドのインターネットテクノロジーを牽引していると同時に、アクティブユーザーを増やす底上げにも貢献しており、今後のインドインターネット産業の鍵を握っているのはGoogleだと言っても過言ではないように思います。

※1 TeckSparks(テックスパークス):YourStory社主催のインド国内最大級のスタートアップイベント
※2 NBU:Next Billion Userの略。Googleが行っているネット人口を増やす取組み。
※3 モバイルファースト:デスクトップやその他デバイスよりもスマートフォンをメインに使用するユーザーのこと。
※4 モバイルオンリー:デスクトップ、その他デバイスは使用せずにスマートフォンのみを使用するユーザーのこと。
※5 Internet Saathi Programme:農村部女性のデジタルリタラシーを向上を図ったプログラム。Google India、Intel、Tata Trustsが共同で行っている。

Source:Google Indiaが語るインドのインターネットの今後

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