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週刊インドトピックス

Vol.0075 注目のブロックチェーンコンサル企業のBlockpactとは?

Blockpact設立までの道のり

インド最大のスタートアップメディアであるYourStory社の2021年2月9日付けの報道で、ブロックチェーン関連ベンチャーのコンサルティングを行っている『Blockpact』を取り上げています。

昨年8月にバンガロールを拠点に設立されたBlockpactは、初期段階のブロックチェーンベンチャーに対して、アイデア出しの段階から法律関連、マーケティング、事業開発のソリューションを提供しています。またプロジェクトの資金調達支援も行っています。

創業者のAnurag Rao氏は現在22歳でバンガロールにあるCHRIST大学で法律を専攻しているようです。また仮想通貨取引には約3年の経験があり、Blockpact起業前はいくつかの法律事務所でインターンをしていました。その間にReserve.orgのブロックチェーンプロジェクトLGCYでのインターン経験も得ています。Rao氏はLGCYでの経験に関してこう語っています。『私は素晴らしいチームと働き、ブロックチェーンやそれに関わることがどのように機能するかについて多くのことを学んだ。最終的にはそのインターン経験を活かして、LGCY Networkというプロジェクトでフルタイムの役割を得ることになった。』

Rao氏と共同創業者のPranav Shivram氏は同じく法律を学んだ経験があり、National Academy of Legal Studies and Researchが主催する討論会に参加して以来、友人となりました。お互いに仮想通貨という共通の趣味があり、ブロックチェーン分野の開発について話し合っていく中で、成長を続けるブロックチェーン領域でのチャンスと同時に、規制、法的問題、ノウハウの面で多くの曖昧さがあることに気付きました。それがブロックチェーンコンサルタント会社であるBlockpactを設立するきっかけとなったようです。

 

Blockpactの現在の活動と今後の計画

現在、Blockpactは3つの主要クライアントを持っており、収益は10%のペースで成長しています。チームは他の短期プロジェクトにも取り組んできており、事業提案はすべて非公開で、クライアントの要望に合わせて行われています。『創業以来、約12のプロジェクトに携わっており、同時に初期プロジェクトのエンジェル投資家としても参加しています。今後はベンチャーキャピタルファンドの立ち上げも計画している』と述べています。またBlockpactの目的として、インドや世界中のブロックチェーン開発について人々を教育することを掲げています。

 

Rao氏は、Blockpact がクライアントに請求している費用は明らかにしていませんが、プロジェクトによってはサブスクリプション/リテーナーモデル(※1)を採用しており、その他のプロジェクトではタスクベースの内容を期間限定で請け負うこともあると述べています。競合にはブロックチェーンコンサルティングサービスを提供するAccentureのような従来型のコンサルティング会社や、Advomiのような法律事務所があります。

2019年のResearch and Marketsのレポートによると、インドにおけるブロックチェーンの支出は、2019年の2億8,900万ドルから2025年には43億5,000万ドルへと年間平均成長率47.3%で成長すると予想されています。インドのブロックチェーンスタートアップのほとんどは、仮想通貨関連で、Unocoin、Giottus、CoinDCX、Instadapp、WazirX、Nuoなどが挙げられます。 しかし、このようなブロックチェーンスタートアップが日々対応しなければならない規制上の課題点やグレーゾーンはまだたくさんあります。 『私たちは現時点ではまだ初期段階にあるニッチな領域にあり、Blockpactはこの領域の初期ステークホルダーであると考えている。』とRao氏は述べています。さらに『インドではより多くのブロックチェーンベンチャーが誕生すると考えており、それらの企業が規模を拡大して市場参入できるように支援することが私たちの目標である。』と付け加えています。

インドにおける仮想通貨の取引やマイニング、投資に関しては論争が続いており、今週火曜日には財務大臣のNirmala Sitharaman氏が『国家が発行した仮想通貨を除いて、すべての民間の暗号通貨は、インドで禁止されるべきだ』という提案を出しました。個人的に仮想通貨を利用した取引は、海外送金の際など、手数料がほとんどかからず、送金も数分以内でおわるため便利で利用しています。インドの仮想通貨に関する論争は長く続いていますが、今日全世界で仮想通貨が注目されています。最近ではテスラがビットコインに15億ドルを投資していたことが明らかになるなど、今やその便利さ、ブロックチェーンの安全性が買われ、多くの大企業や著名人が投資目的のみならず、国際間の取引や従業員の給与支払いとして利用しています。もちろん仮想通貨だけでなく、その仕組みであるブロックチェーンは今後あらゆる産業に取り込まれていくことでしょう。2021年、インドのブロックチェーン関連企業が複雑な政策の中、どこまで台頭してくるのか気になるところです。

 

※1 リテーナーモデル:仕事の依頼を受けた時点で「リテーナーフィー(着手金)」と呼ばれる手数料の一部を請求し、仕事完了後に残額を請求するやり方

 

Source:ブロックチェーンスタートアップのBlockpact

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