Vol.0083 拡大するインドのオンラインゲーム市場:2022年までに28億ドル規模に
コロナ禍で急拡大するインドオンラインゲーム市場
インドのオンラインメディア「mint」誌の1月19日付の記事によると、インドにおけるオンラインゲームの市場規模が2019年の11億ドルから、年平均成長率40%、2022年までに28億ドルの規模に到達する予想とのことです。
スマートフォンの普及や、安価な通信料、可処分所得の増加が主な要因となっており、この急成長により、メディア・エンターテインメント産業全体に占めるオンラインゲーム市場のシェアは4~5%拡大すると予想されています。
さらに調査結果では、新型コロナウイルスによるロックダウン中に娯楽の選択肢がない状態で、ユーザーがオンラインゲームに触れるようになったことが成長を後押ししたことが強調されています。
ゲームアプリに費やされた時間は、最初のロックダウン中に21%増加し、総ユーザー数は3億人を超えました。ワクチンの到着や経済活動の再開により、ゲームの平均利用時間が平時に戻ったり、減少したりする可能性もありますが、業界はすでにさらなる成長を期待している状態です。
ゲームストリーミングの台頭
インドは世界のモバイルゲーム市場のトップ5に入る市場で、全世界のゲームプレイ数の13%を占めるとされます。さらには2020年から22年の間に4000万人のオンラインゲームのユーザーが増えると予想されています。
Poker Sports LeagueのCEO兼共同設立者であるPranav Bagai氏は、インターネット普及率の増加、5Gネットワーク・ブロードバンドの普及がゲーム業界に革命をもたらし、オンラインゲームに参加するユーザーが増え、ゲームストリーミングの台頭により、ゲームへの想いを収益化することができる機会が生まれると述べています。
変化していくゲーミングプラットフォームのビジネスモデル
また、ゲーミングプラットフォームのビジネスモデルも変遷しているようです。ゲーム会社は、ダウンロードサイズと広告に依存するモデルから、ユーザーとのエンゲージメントと良質なゲーム体験に基づいた多様な収益源を持つモデルへと徐々に移行しており、有料の拡張パックや、サブスクリプションなどのゲーム内の収益源も徐々に広がっています。
インドのゲームプラットフォームは、過去6年間で4億5,000万ドル以上の投資を行っています。最近の投資としては、2020年にPegasus Tech Venturesなどから9000万ドルを調達したMobile Premier League、DSG、Jetline、Triveni Engineering & Industriesから4000万ドルを調達したJetSynthesys、モバイルゲームのスタートアップKrikeyなどに投資したReliance Jioなどが挙げられます。
インドに普及していくオンラインゲーム
リアルマネーゲーミング(※金銭のやり取りが発生するゲームプレイ)は2020~22年の間に年平均成長率40%で成長すると予想されています。主なトレンドとしては、ポーカーやラミーなどのゲーム(スキルゲームとして認知され、合法化される可能性が高い)への支持が高まっており、新規ユーザーへの普及が期待されていることが挙げられます。
Eスポーツの収益は、今後3年間で年平均成長率36%で増加すると予想されています。ゲームユーザーはテレビで伝統的なスポーツを見るよりも、他の人がプレイするプレイの動画や配信を見ている時間の方が長いという調査結果があり、インドのゲームユーザーは、1週間に平均3.6時間をEスポーツトーナメントの観戦に費やしているといいます。
また、ファンタジースポーツ(現実世界に実在する選手の中から自分でチームを編成して各試合、シーズンを通してポイントを競い合うゲーム)の収益は、流行前の2017-18年から2019-20年の間に9倍に増加し、1,650億ルピーに達しました。
このようにインドのオンラインゲーム市場は恐るべき成長を見せているようです。スマートフォンの普及とも密接に関係する事象であり、大きな成長を遂げているテック産業のひとつとして注目を続けたいところです。
ソース:インドで2022年までに28億ドルに達するオンラインゲーム業界
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